1977年、NASAは2枚のレコードを制作しました。

 とは言っても、ビルボードのランクインを狙ったものではありません。いずれも自然音や人間の声、クラシックやロックなどの楽曲を収めたもので、そのレコードの溝には「To the makers of music—all worlds, all times(あらゆる世界、あらゆる時代の、すべての音楽制作者に」というメッセージが刻まれているものです。

 NASAはこれらの2枚のレコードを宇宙に送り出し、そのうち1枚はボイジャー1号に、もう1枚はボイジャー2号に乗せられたのでした。将来的に、文明をもつ地球外生命体によって発見されることを期待してのことでした。

NASAの「ゴールデンレコード」に注目

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 そうして2016年、この「ボイジャーのゴールデンレコード」の復刻を目指す「キックスターター キャンペーン」が公開され、なんと数百万ドルの資金を調達したのでした。

 同プロジェクトの出資者は、オズマレコーズから発売されたこのレコードのボックスセットを手にしました。そしてまもなく、このレコードは一般向けにもリリースされるようです。

 「ワシントンポスト」紙によれば、オズマは早ければ2018年1月にもこのボックスセットをライト・イン・ジ・アティック・レコーズから一般向けに発売するそうです(今回はCD2枚組のバージョンも発売されます)。 

レコード内には様々な音の他に、「ジョニー・B.グッド」などの名曲も

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NASA/JPL-Caltech 

 2枚のレコードには、地球を紹介するための様々な音が収められており、そのラインナップは現代も色褪せないものです。このレコードに収める内容は、故カール・セーガン氏をはじめとする複数のメンバーによって決められました。このうちの一人、サイエンスライターのティモシー・フェリス氏は最近、「ニューヨーカー」誌にこのレコードのトラックリストについて語っています。

 このレコードには、バッハやベートーヴェンの楽曲、ブラインド・ウィリー・ジョンソンの「ダーク・ワズ・ザ・ナイト」、チャック・ベリーの「ジョニー・B.グッド」などに加え、モールス信号、雨音、キスの音、赤ちゃんの泣き声、クリケットをする音、その他様々な自然音や世界中の民族音楽が収められたといいます。また、当時のジミー・カーター元米大統領の「われわれはいつの日にか、現在直面している課題を解消し、銀河文明の一員となることを期待する」というメッセージも入っています。

 これらのレコードは熱によるダメージやホコリから守るために、銅と金で制作されました。

 NASAによれば、「レコードは現在も2枚とも完璧な状態にあるはず」とのことです。また、レコードには画像や地球からのメッセージも収められています。ただし、残念ながらNASAはレコードプレイヤーまで送ることはできませんでした。このため、これを見つけた地球外生命体は、自分たちの手でプレイヤーを作る必要があることでしょう。

 現在、ゴールデンレコードの1枚は太陽系の「ヘリオシース」(太陽風と、外部より侵入する星間ガスが混合する領域)と呼ばれる領域にあります。一方で、もう1枚は2012年に太陽系を脱出し、地球から130億マイル以上の距離にあります。どちらも数十億年にわたって宇宙空間を漂うことになるそうです。人類の歴史、ひいては、宇宙や銀河の歴史においても重要なものとなる可能性もあるこのレコードを、あなたのコレクションに加えてみるのはどうでしょうか。そして、壮大すぎる宇宙空間の旅をお楽しみください。

Source / ESQUIRE UK
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。