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伝説の航空機ファイル…男心がザワつくカッコよさ

1903年12月17日、ライト兄弟は12馬力のエンジンを備えた飛行機「ライトフライヤー号」によって、人類初の有人飛行を合計4回成功させたのです…。

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Scaled Composites ホワイトナイトツー
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 飛行機の歴史を紐解けば、1903年12月17日にアメリカのライト兄弟によって成し遂げられた偉業を思い起こす方も多いことでしょう(この偉業の約50年前に、イギリスの奇才ジョージ・ケイリー卿が有人飛行に成功しているという記録もありますが…)。この兄弟はこの日、12馬力のエンジンを備えた飛行機「ライトフライヤー号」によって、人類初の有人飛行を合計4回成功させています。…これを航空宇宙産業の初めの1歩とするなら…、この世界はここ1世紀余りで実に急速かつ膨大な進化を遂げたと言っていいでしょう。

 では、人が「鳥のように飛びたい」と思うようになったのは、いつごろだったでしょう。

「むかしギリシャのイカロスはろうでかためた鳥の羽…」と歌われているように、ギリシア神話の時代からその願望の存在は記録されています。ですが、この願望は誰もが幼いときに鳥を見て、「鳥のように飛びたいなぁ」と思ったように、ある種、本能に近い存在だったようなにも思えるのです。

 一方、宇宙飛行に関してはいかがでしょう。これも人が星や月を認識したとき以来の願いでは…。天動説・地動説などの論争が行われるかなり以前、紀元前1000年頃から紀元前500年頃にかけてインドで編さんされた一連の宗教文書『ヴェーダ』に宇宙生成論があったり…、紀元前4世紀ごろには数学学者・天文学者であるエウドクソスによって、地球を27の層からなる天球が囲んでいるとする天動説も唱えられてもいます。

 では、カレンダーを現在に戻しましょう。

 いまや飛行機は個人オーナーもいるほど。宇宙開発事業に関しては、国から民間企業へと移行している真っ只中です。この飛行機の定義に「ドローン」も加えるとするなら、ここ10年以内にそれが当り前になることでしょう(ちょっとオーバーかもしれません。法整備のほうも大変なので…)。

 そこで飛行機に的を絞って、本題に移りましょう。そんな急速な発展のなかに…、いいえ、「急速な発展のなかだからこそ」のことではないでしょうか。その時々に、一風変わったカタチの飛行機がいくつも開発されてきたのでした。それは現在も変わらず…。

 航空機を作るモチベーションの本質が経済的な理由であれ、機能的な目的のためであれ、栄光の追求であれ…人類はこれまで、多くのクリエイティビティ溢れる航空機を製造してきました。そこでここに、世界で最も野心的(?)な航空機をまとめてみました。普段見慣れないフォルムに、おそらくショックを受ける人も少なくないでしょう。しかし、これらを「傑作だ!」と思う人も多いはず。そんな向上心をくすぐる、ヘンテコな飛行機をご覧ください。

Airbus A300-600ST ベルーガ

Airbus A300-600ST ベルーガ
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「Airbus Beluga(エアバス ベルーガ)」は、究極の大型貨物輸送機です。このスーパートランスポーターは、ベルーガクジラ(シロイルカ)に似ているため、この名前となりました。   

「ベルーガ」はこのような設計のため、貨物室の最大幅と最大高はともに7.10メートル、床面の最大幅は5.11メートルになっています。円筒の前方と後方は、もとの機体形状に合わせてすぼめられており、完全な円筒部となる部分の長さは21.34メートル。貨物室の全長はというと37.70メートルに及びます。また、貨物室は非与圧式になっています。   

 床下貨物室にも、貨物の搭載可能となっています。貨物室の総容量は1,400立方メートルで、積載量は47トン。よって、エアバスが製造する他の航空機コンポーネントを運ぶことができるわけです。2人のパイロットと1人のロードマスターが、これらの航空機部品をヨーロッパのさまざまな生産現場から、フランスとドイツにある最終組立ラインへと出荷しています。  

 最初のA300-600STベルーガが初飛行したのは、1994年。そして1995年にEuropean Aviation Safety Agency(欧州航空安全庁)は、正式にベルーガのサービスを承認。その後ベルーガは、1年に1つの割合でさらに4つ製造されました。そして2014年に、エアバスは新たに将来の計画も明らかにしています。  

 それはA330ベースの新型「BelugaXL」機を5機、追加する計画があるというもの。そして2019年中頃には、さらにアクティブなサービスを予定しているようです。

Airbus A300-600ST ベルーガ

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BelugaXL - Airbus' next-generation cargo airlifter
BelugaXL - Airbus' next-generation cargo airlifter thumnail
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B377PG

B377PG
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エアロ・スペースライン「B377PG」は、その膨張した外観から”プレグナントグッピー(妊娠したグッピー)”として知られています。この一風変わった航空機エアロ・スペースラインは米国で製作され、1962年に初飛行しました。 

 この機はNASAの貨物輸送のニーズに応えるために製造され、その期待に見事に応えます。大規模なロケットステージを受託施設に出荷し、NASAのアポロ計画(月面着陸)の打ち上げ計画の実施に大きく貢献しました。この航空輸送の手段の前に候補に挙がっていたのは船舶によるものでしたが、この“グッピー”による航空輸送によって、見事にそして円滑に成し遂げることができたのです。  

 こうしてNASAのアポロ計画のほか、ジェミニ計画、スカイラブプログラムにおいても大いきサポートしたのです。  

 1965年になると、さらに進化を遂げた「スーパーグッピー」が誕生。エアロ・スペースラインのこの「グッピー」シリーズは、前出の「エアバス・ベルーガ」のデザインにも大きく影響を与えています。

 スーパーグッピーの映像をご覧ください。

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B377PG

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Super Guppy "Swallows" T-38s; Heads for El Paso
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EL / M-2075ファルコン

EL / M-2075ファルコン
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「EL / M-2075ファルコン」の特徴といえば、このピエロのような鼻。その中に詰め込まれたテクノロジーも、特別なものです。 

 イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAL)とエルタ・エレクトロニクス・インダストリーズ(Elta Electronics Industries)が、早期警戒命令および制御レーダーシステムを装備するこの鼻を開発しました。その目的としては、制空権に関する情報収集と監視。敵の航空機、船舶、および車両の信号を早期に警告してくれます。このシステムは360度の範囲で動作し、数百キロ離れたターゲットの追跡をすることも可能となっているのです。  

 この機が公開されたのは1993年。1994年にはチリが、この「ファルコン」のシステムを購入し、その機を「コンドル」と呼びました。 

 2000年には、このシステムを中国が購入しようと試みましたが、アメリカが政治的圧力によって阻止。2004年にはインドが、この「ファルコンレーダー」3機を計11億ドルで購入しています。

EL / M-2075ファルコン

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Chilean Air Force Boeing EB-707 Cóndor [904] | Takeoff at Santiago-Pudahuel Airport (SCL/SCEL)
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ドルニエ Do 31

ドルニエ Do 31
ドルニエ Do 31

 旧西ドイツの「Dornier(ドルニエ)」社により、こちらの「Do 31」は製造されました。この機は、垂直に離陸および着陸機能を備えたジェット輸送機の実験機になります。  

 1960年代始めの冷戦の最中、旧西ドイツ空軍は飛行場が社会主義諸国からの攻撃を受けやすいと懸念していました。そんななか、「Do 31」が北米条約機構(NATO)の規制に準拠した形で製造されたのです。ドルニエ社の狙いは、「緊急時の垂直離着陸を利用した、戦術的支援と輸送ができるように」というものでした。  

 この機は1967年に初飛行し、最高速度452mph(時速約727km)を記録しています。ですが旧西ドイツ空軍は、技術的な問題と資金不足のため、3年後このプロジェクトを中止しています。

ドルニエ Do 31

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Classix: Senkrechtstarter (1969) - Bundeswehr
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ハンドレページ ヴィクター

ハンドレページ ヴィクター
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 英国初の上場企業である航空機メーカー「Handley Page Aircraft Company(ハンドレページ)」社が、この「Victor(ヴィクター)」を開発しました。このジェットパワー戦略爆撃機は、イギリスの核抑止のための原子兵器プログラムに関連したものになります。そして、イギリス空軍「Vボマーズ(V爆撃機)」の3番手、最終メンバーとして加わっています。  

 その3機は「3Vボマー」と呼ばれ、1950年代に導入された核兵器を破壊することを目的とする航空機になります。その3機の名はそれぞれ、この「ハンドレページ ヴィクター」と「Vickers Valiant(ビッカース ヴァリアント)」、「Avro Vulcan(アブロ バルカン)」。これら3機は、長距離の正確な爆撃が可能だったのです。  

 こうして「ハンドレページ」社は、爆撃機、偵察機、タンカー機の3つの構想を同時進行させて、この「ヴィクター」を開発しました。 結果、爆撃機として34〜1,000ポンドと大量の爆弾を積載できる機体が完成。さらにレーダー、カメラ、およびその他のセンサーも装備することにより、より正確にターゲットを捉えることも可能でした。  

 時は経ち、イギリス空軍は1982年、この「ヴィクター」とともに編制された「3Vボマー」の任務を終了させました。

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ハンドレページ ヴィクター

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The Last Flight of the Victor
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NASA Hyper III

NASA Hyper III
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 NASAはカリフォルニア州のアームストロング飛行研究センターで、この「Hyper III」を製造しました。  

 翼に依らず、「胴体で揚力を得る」というリフティングボディのコンセプトに基づいて設計された航空機になります。また、この機は低コストでの製造可能な遠隔操縦機であったため、NASAの実験機である「M2」の開発にも大いに役立だったそうです。

「Hyper III」のフラットな基底と側面をみれば、その仕組みは明確に理解できるかもしれません。あたかも紙飛行機が強化され、機械的になったと思えるからです。  

 1969年にテスト飛行のため、ヘリコプターでこの「Hyper III」を10,000フィート上空まで運びました。そして、つながれたケーブルをヘリコプターから解き放ち、NASAの研究パイロットによるラジオコントロールでの操作が開始されました。

NASA Hyper III

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Hyper III Drop Test From SH-3 Helicopter
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 その結果、「Hyper Ⅲ」は5キロの区間を3分間滑空し、着陸することに。その着陸する様子は、「紙飛行機の理論が正しいことを証明したかのようだった」と伝えられています。 

 ですが、NASAの飛行研究センターはその後、「Hyper III」の製造を中止しました。それはなぜか?この機体がいくら低コストであったとしても、それ以上にNASAの資金は枯渇していたのでした。

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NASA Ames-Dryden (AD-1)

NASA Ames-Dryden (AD-1)
NASA Ames-Dryden (AD-1)

 NASAは1979年から1982年にかけて、この「Ames-Dryden(AD-1)」を飛行研究プログラムとして生産しました。「Heper III」と並んで、NASAは「Ames-Dryden」をカリフォルニアのアームストロング飛行研究センターでテストしたのです。

 ”シザーウィング(Scissor Wing)”と呼ばれる「AD-1」の翼は、スピードを上げると0度から最大60度の角度までグィ~ッと回転するのです。しかし、設計者は安全上の理由から、航空機を最高速度約170mph(時速約274km)に制限していたという話もあります。 

 このテスト機のアイデアは、NASAエイムズ研究センターのエンジニア、ロバート・ジョーンズ博士によるものです。風洞テストの際に、「最大マッハ1.4の超音速機に斜めの翼を取り付けると、燃料は普通の翼の半分で済む可能性がある」という結果が出たことにより、その仮説を提案。それが承認され、正式に実機を用意して実験する運びになったそうです。  

 この機の実験で知りたかったことは、「このような飛行機があったら、どんな問題が生じるのか? 操縦にはどんな制御法則が要求されるのか?」というところだったそうです。 

 製造は「Ames Industrial」社が請負い、デザインはNASAが行いました。そしてカリフォルニア州エドワーズのNASAドライデン飛行試験センターにて、1979年12月21日に初飛行。以来、合計79回テストを行っています。最終飛行は、1982年8月7日でした。

NASA Ames-Dryden (AD-1)

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X-36

X-36
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 この「X-36」は、マクドネル・ダグラス(現ボーイング)社とNASAが共同で開発した垂直尾翼をもたない無人戦闘機のテスト機になります。 

 統合打撃戦闘機計画への参加を見越した、次世代戦闘機としての研究のために開発された機体であり、予算の問題からフルスケールの機体は製造されませんでした。実機の28%ほどの大きさのリモート・コントロール・システムを使用した無人研究機として製造されたのが、この「X-36」になります。 

 この計画は1994年から開始され、1996年3月に1号機が完成。初飛行は1997年5月17日に、テストパイロットであるラリー・ウォーカー氏もよる遠隔操縦によって開始されました。そして1997年11月12日、31回目のテスト飛行をもってこの研究は終了。現在は、国立アメリカ空軍博物館に展示されています。   

 この戦闘機は、機敏性とステルス性についての研究に焦点を当てたものなので、このように男心をくすぐるデザインになっています。が、結局は戦争のために開発されたものだということは忘れずにいましょう。

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X-36

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X-36 Tailless Fighter
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Snecma フライング・コレオプテール (C-450)

Snecma フライング・コレオプテール (C-450)
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 こちらは、1950年代にフランスのSnecma(スネクマ)社が開発した「C-450 Colleoptère(コレオプテール)」になります。「コレオプテール」とは、フランス語で甲虫類という意味。カブトムシのように、垂直に離陸と着陸ができるよう意図されたデザインとのこと。 

 テイルシッター式の垂直離着陸戦闘機で、エンジンにはジェットを採用。 また、特徴的なのが円筒形の機体部品が、(全くそうは見えないのですが…)主翼だそうです。半分から下は、まるでドラム缶。最下部を四分割して、それぞれ車輪と尾翼がついている仕組みに。    

 上部には通常の戦闘機の機首だけが、唐突に切り落とて貼り付けたように設置されています。ゆえに、上部と下部の境目は急激に細くなっているそうです。   

 1959年にパイロットのAuguste Morel(オーガスト・モレル)氏によって、この「C-450」は水平飛行中に操縦不能となり、機体は大破してしまいました。彼の飛行スキルによって機体は安定させることができていたので、大規模な災害は避けることができたようです。また、パイロット自身も脱出することができました。 

 ですがこの事故のあと、「C-450」は新しいプロトタイプの資金をすべて失い、プロジェクトは終了せざるを得ない状況になったそうです。

Snecma フライング・コレオプテール (C-450)

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Avro Canada VZ-9 アヴロカー

Avro Canada VZ-9 アヴロカー
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在り来たりのコメントで申し訳ないのですが、あえて言わしていただきます。「まるでUFOのように見えませんか?」    

 こちらはもちろん、米国軍が秘密裏に進行していたプロジェクトです。ですがこれは、「遠く離れた星からやって来る、エイリアンに対抗するための宇宙船の開発」というわけではありませんでした。 

 1950年代半に米軍とカナダの航空会社「Avro Canada」とが冷戦初期に近くの敵国に対抗するため、「画期的な戦闘機を作る」というゴールを目指して進められていた極秘”プロジェクト1794”から生まれたテスト機になります。その名は「Avrocar(アブロカー)」。 

 アメリカ空軍は1959年、この「アヴロカー」の飛行能力をテストしました。しかし、そう簡単に円盤が飛ぶわけはありません。実際の到達高度は約1.5メートルが限界だったそうで、それ以上高くなると機体はぐらつき、制御できなくまりました。  

 プロジェクトの費用は、およそ1,200万ドル。そして資金は途中で途切れ、この機を改良して開発を続行することは困難に…。1961年に米軍は、この「アヴロカー」の開発チームを解散させました。そして時は経ち、2012年になって、ようやくこの”プロジェクト1794”の詳細が一般公開されています。 

「アヴロカー」の実機は多くの博物館を転々としたのち、現在は国立アメリカ空軍博物館に展示されています。

Avro Canada VZ-9 アヴロカー

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The Avrocar - Top Secret Flying Saucer (Canada/USA, 1952-1961)
The Avrocar - Top Secret Flying Saucer (Canada/USA, 1952-1961) thumnail
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