大金をかけなくても、素晴らしいバケーションを楽しむことができるのです。
ホテル選びでは常に、手頃な料金と引き替えにどれくらいスタイルを我慢しなければならないか…という問題がついてまわったものです。が、このごろでは、この問題もほとんどなくなりました。
ブティックホテルというフォーマットが、ほぼ完成の域に達したからです。
親密な雰囲気でスタイリッシュなこと、美味しいコーヒーが飲めること、Wi-Fiがきちんと使えること、流行の界隈にあることといった条件を並べても、もはや欲張りすぎとはいえない状況になっています。これらのホテルはインスタ映えする空間に、ビジネスと快楽、地元民と旅行者、若年層と年配層といった相反する要素を上手にミックスしています。
今回、このリストに登場する米国のブティックホテルは、いずれも地元コミュニティの中心になっているのも注目です。そして1泊200ドル(約2万2000円)で泊まれるオプションが、少なくともいくつかは用意されているのです。
近々、渡米予定の方は、ぜひともチェックしてみてください。
デトロイト(ミシガン州)
Detroit Foundation Hotel
デトロイト・ファウンデーション・ホテル(Detroit Foundation Hotel)
デトロイトのダウンタウンにある、以前は消防の本部だった建物を再利用して、2017年に開業した客室100室のこのホテル。
消防車の赤い色に塗られた大きなガレージドア、大理石の床、そして壁のタイルは以前のままで、ぴかぴかに磨き立てられています。廃品を再利用した木製のヘッドボードから壁紙、飲料がびっしり詰まったミニバー(すべてミシガン産のものが用意されています)まで、地元の職人たちの手になる装飾が楽しめます。
ロビーの眺めは本物で、またミシュランで2つ星の評価を得たシェフのトーマス・レンツさんが舵取りする、「アパレイタス・ルーム(Apparatus Room)」というレストランはエンジン全開で営業しています。
ホノルル(ハワイ州)
Surfjack Hotel & Swim Club
サーフジャック・ホテル&スイム・クラブ(Surfjack Hotel & Swim Club)
のんびりとした雰囲気をもつ客室112室を誇るこのホテルは、バンライフ(#vanlife)の波にうまく乗り、ワイキキの海岸まで進出しました。
ワイキキでは、若くて日焼けしたビーチ・バムたちがカクテルを飲み、波乗りの情報を交換し、プールに飛び込んでいることでしょう。そして、一般的にレトロなアイランド・バイブ(トロピカルな植物のプリント、60年代風の家具)が象徴となっています。
このホテルのバンガロー(ベッドルームの数は3種類、シングルからトリプルまで)はいずれも、専用のバルコニー、冷蔵庫、ターンダウン・サービス、ローカル・トイレタリーを備えており、家族連れや団体客にも十分な広さがあります。
ニューヨークシティ(ニューヨーク州)
Arlo SoHo
AvroKOが設計したこのマイクロホテルは、スマート・テクノロジー、入りやすいパブリック空間、そして立地の良さがいちばんの売り物です。
ローアー・マンハッタンにあるこのホテルの客室はコンパクトですが、巧みに設計されています。貴重な空間のほとんどは、ミーティングや社交、それにラップトップでの作業のために使われています。
屋上のバーからは、ハドソン川が眺められます。
そして道路に面した「ハロルズ・ミート+ スリー(Harold’s Meat + Three)」では、カジュアルな南部料理が味わえるのです。ゲストはミニバーを使う代わりに、フロントデスクにある売店(地元産のスナック類が置いてある)で飲み物やちょっとした食料を買い込むことも可能です。
オースティン(テキサス州)
Austin Motel
オースティンのサザン・コングレス地区にある1938年開業のこのモーテルは、遊び心に溢れ、1930年代のスタイルと型破りの色遣いのおかげで努力しなくても格好のいいホテルです。
41室ある客室のすべてに、可笑しなビニール製の房のついたベッド、アナログ電話機、壁に掛かった不遜なプリントやポスター、それにキモノ風のバスローブが備えられています。
それらをすべて写真に収めた後には、ハイキングや自転車での外出、朝食のタコス、腎臓の形をしたプールで泳ぐなど、いろんな楽しみがあります。
マイアミ(フロリダ州)
Freehand Miami
「ブロークン・シェイカー(Broken Shaker)」は、マイアミでのナイトライフの定番スポットです。
正式なブティックホテルというよりも、むしろデザイン・ホステルというべきこのホテルの革新的なところは、大部分がこのソーシャルな空間に陳列されています。
ベッドルームはプライベートなものも、ドーム・スタイル(学生寮スタイル)のものもありますが、いずれもシンプルで潔い美しさが魅力です。ビーチには歩いて5分でいくことができ、道に迷うことはありません。
サンタバーバラ(カリフォルニア州)
The Kimpton Goodland
キンプトン グッドランド(The Kimpton Goodland)
158室ある客室のすべてに備えつけられたオーバーサイズのワークデスクは、仕事の時間を快適に過ごせることをゲストに約束する高貴なる試みかもしれません。
しかし、波にヒントを得た装飾をチェックし、フローズンカクテルを注文し、温められたスイミングプールに飛び込み…そして、いわゆる「カリフォルニアの気分」を味わえば、「仕事に夢中になる」なんて言葉は存在しないかもしれません。
おまけにライブバンド、ゲームナイト、DJ、そしてプールサイドでのヨガなども楽しめるので、仕事をしようという気すら起こらないと思います。ここには潔く、仕事は一切もちこまないことこそ最良の選択ではないでしょうか。
アシュベリー・パーク(ニュージャージー州)
The Asbury
ニュージャージー州のセントラル・コーストにあるこの海沿いのリゾートタウンは、現在、カルチャー的にも経済的にも注目を浴びている地です。ダウンタウンからボードウォーク、そして伝説的な音楽シーンまで、さまざまなものが再び熱を帯びているのです。
かつて救世軍のもち物であったレンガ造りの建物を改装したこの客室110室のホテルは、週末に大都市圏から郊外に出かける人たちのための地図に、アシュベリー・パークを再び夏の目的地として、各メディアに提案させることに役立っているようです。
ホテル内は採光が素晴らしく、余計な飾りはありません。
流行の料理と飲み物を楽しむプログラムやプールサイドのカバナがあり、そして、野外シネマもある4300平方フィート(約400平方メートル)のルーフトップからは大西洋も望めますので…。
リッチモンド(バージニア州)
Quirk Hotel
アート地区の、複数のインディーズギャラリーやカフェ、レストランが並ぶ一角にある客室数75室のこのブティックホテルは、コミュニティの中心であり、もともと地元のアーティストたちの作品を展示する場所としても想定されてところです。この狙いは、まさに的中したのです。
このホテルには時々入れ替わるアートのインスタレーションとともに、陽気なバー、地域の特産物を使った料理のメニュー、オーダーメイドのコーヒーブレンド、それにロフト付のスイートルームなど、旅の醍醐味で満たされています。
By Jeralyn Gerba on August 7, 2018
Photos by Courtesy of Detroit Foundation Hotel, Surfjack Hotel & Swim Club, Arlo SoHo, Austin Motel,
Freehand Miami, The Kimpton Goodland, The Asbury and Quirk Hotel
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。
編集者:山野井 俊