ニューヨークとロンドンの間を、片道3時間半で行ける日が再びやってくるかもしれません。
2003年にコンコルドが商用運行を停止して以来、超音速旅客機による空の旅の復活をめざす試みは、その後いくつか登場してきました。ですが、そのなかで実現にこぎつけたものは、今のところありません。しかし今、ボーイングやロッキード・マーティンといった大手航空機メーカーの支援を受けた、いくつかの新興企業が超音速ジェット機による空の旅を再び現実のものにしたいと考えています。
たとえばアメリカコロラド州のスタートアップ企業である「BOOM TECHNOLOGY,INC(ブーム・テクノロジー社)」では、大陸間飛行にかかる時間を半減することを目指しているようで、「米西海岸とアジア(の諸都市)との往復旅行が、当日中に完了できる可能性がある。これは、本当に急いでいるビジネス・トラベラーのためのもので、豪華なキャビンにはプレミアム・シートしか用意しない」と、「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙は伝えています。
そしてブーム・テクノロジー社は、2019年後半にテスト飛行を開始したいという考えのようで、乗客を乗せた商用飛行の開始は、2023年後半になる可能性があります。これはもう、すぐ目の前です…。
問題は、超音速旅客機が繰り出すスピード、そしてそれに伴う「時短」という特典に対し、旅行者側が特別な料金を支払うのか?です。 これに関しては、正確な予想はつきません。
コンコルドは、2000年7月にパリのシャルル・ド・ゴール空港で墜落事故を起こし、113人の犠牲者を出しました。この事故が、コンコルドが撤廃された理由として皆さんの頭には刻まれているでしょう。確かに悲惨が事故でした。ですが、この事故に代表される安全面の問題だけではなかったのです。その裏には、料金の高さという問題も大きな壁となっていたのです。ロンドンーニューヨーク間の往復チケットに関していえば、2003年当時で1万2000ドルもしたのですから…。
Photograph / Getty Images
この料金を現在の金額に換算すれば、約1万6642ドル(約186万円)にもなりますので…。
エールフランスが1976年から2003年まで採用していた、コンコルドを動画で振り返ってみましょう。
NASAでも超音速旅客機による空の旅の復活に取り組んでいた
未来の超音速旅客機も、それだけ高額な料金となることは誰もが予想しているにもかかわらず…NASAも、新たな超音速旅客機による空の旅を復活させようと開発に取り組んでいます。
2018年4月上旬、NASAは超音速旅客機の開発とテストに関して、ロッキード・マーティンと契約を結びました。この計画では、超音速飛行時に発生する衝撃(コンコルドに対して挙がっていた批判のひとつ)を最小限まで減少させ、「自動車のドアを閉じたときと同程度の騒音にすることが目標」としています。
Photograph / NASA
この計画で開発されるテスト機「X-Plane(Xプレーン」)は、高度55000フィート(約1万6700メートル)の上空を時速940マイル(約1500キロメートル)で航行する設定で開発されています。
同機のテスト飛行開始時期は、2022年半ばになるとのこと。そのテスト内容は、米国内の複数の都市を選んで同機を飛ばし、各地域からのテスト飛行に対する反応についてのデータを集めるようなプランだそうです。
このような超音速旅客機の復活は、とても嬉しいことであります。多くのビジネスマンの力強い味方になることに、間違いないでしょう。あとは、安全性をどれくらい担保できるか? そして、どのくらい妥当といいますか、適正な料金設定ができるかにかかっているのではないでしょうか。
最後にNASAの施設のひとつ、エイムズ研究センターが作成した「未来の超音速機Xプレーン」の動画をご覧ください。
From TOWN & COUNTRY 原文(English)
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。