純粋な男同士の絆を築くには、夜の飲み会だけでは不充分です。本当に友人と心を通わせるには、自然の中へ、別世界へと出かける必要があります。これは、男たちの休暇を充実した恒例行事にするためのガイドです(彼女の説得法もね)。

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  TIME FOR A MAN-CATION! ―By DAVID SAX  

 この16年間、毎年秋になると夫は「キャンプ旅行」に出かけます。わが家で公式にそう命名しました。夫の中年になった大学時代の友人たちは、近隣の3つの州に散らばって住んでいますが、年に一度、必ず集まって出かけるのです。

 抱えるローンや仕事と闘っています。その彼らが一年間埃も払わなかった寝袋やウイスキーのフラスコをつめて、一緒に森のどこかで親しく語り合って週末を過ごす。それが「キャンプ旅行」です。そこで焚き火をし、そして…。一度夫に尋ねてみたことがあります。「3日間何を話すの? 何をするの?」と。誰かがマリファナとアデロールを混ぜたとか、誰かがセックスレスの夫婦生活を告白したとか、そんなたぐいの話を期待して。ところが彼はニヤッと笑い、「本当に、面白いんだ」と言って、「ものすごい雨が降り始めたので、一晩中寝ないで“防水都市”を築き、水を出すための溝を掘ったんだ!」と興奮気味に話すのです。私もつられて笑いましたが、心の中では「バッカじゃないの」と思っていました。

 彼は毎年、いろんな旅をしています。夜中に10時間も車で走り、ウエストヴァージニアで急流下りをしたりカッツキルをバックパックで3時間歩き、どこだかわからない場所でキャンプをしたこともあるそうです。

 憎たらしいほど一貫しているのは、決まってタイミングの悪いときに出かけることです。9.11の3日後、夫は当時つき合っていた私を置き去りにして旅立ちました。ユタからニューヨークに出てきたばかりの田舎娘の私を置いて。こんな大変なときなのだから、きっと彼は日程を変更するかキャンセルするはずと私は思っていました。ところが、彼は旅立ったのです。

 私がキャンプ旅行を嫌っていると思われるかもしれませんが、実は羨ましいのです。最近、私の大学時代の友人たち──恥ずかしながら、下着をシェアしたこともある──と無数の携帯メールをやり取りした結果、今年の同窓会は中止せざるを得ないことになりました。残念です。夫の友人たちは誰ひとり、いわゆる山男ではありません。それでも、毎年彼らはためらうことなくシャワーも浴びずに週末を過ごすのです。子どもや妻、仕事には中指を突き立てて。不思議なことに、彼らの体験は男同士の絆を強め、そうでなければもろく壊れてしまう関係を維持するのに大きく貢献しているようです。彼はいつも“少しカッコよくなって”家に帰ってきます。

 だから実は、「キャンプ旅行」に私は賛成なのです。

Photography / Cultura Exclusive
Translation / Tomoko Kawaguchi
Edit / Kazumoto Kainuma, Yumi Matsubara