今回発見された生命体は、明らかに魚でした。しかしながら、まだ学名はありません。今のところ「ピンク」「ブルー」「パープル」と、その色をニックネームとしています。
TRUSTEES OF THE NATURAL HISTORY MUSEUM, LONDON AND THE IMAGING AND ANALYSIS CENTRE, NHM
人類にとって海もまた宇宙のごとく、まだまだ謎に満ちた世界なのだと思い知らされます。
太平洋の深海で、未知の魚が新たに発見されました。そして17カ国から40名の海洋学者や科学者が集い、アタカマ海溝の深海から、未だかつて存在を知られていなかったクサウオ科の魚を3匹持ち帰ってきたのです。
現在のところ、その魚は色で呼ばれています。しかし、すぐにクサウオ科の新たな種として学名が与えられ、学会誌等で発表されることになるでしょう。(次ページへ続く)
New Translucent Fish 01
Newcastle University
7500メートルの深海を調査していた科学者たちが発見したのは、深海魚に関するあらゆる先入観を覆す姿をした生物でした。小型で半透明で、鱗を持たない魚です。
「クサウオ科の魚には、深海で生きるのに適したなんらかの特性があるようです」と話すのは、この調査に参加したニューカッスル大学のトーマス・リンリー氏。
「他の魚類が存在しないほどの深さにおいては、外敵に襲われる危険もありません」とのこと。
人類を取り巻く環境問題を中心とした情報サイト「Earther」にも。
New Translucent Fish 02
Newcastle University
「映像が示すとおり、深海には数多くの無脊椎生物が生息しており、クサウオはその中にあって最強の存在なのです。非常に活動的ですし、十分な栄養状態であることがうかがえます」とリンリー氏。
また、「ゼラチン状の身体構造を持つこの魚は、極めて高い深海の水圧に適応しています。体の中で最も硬いのは、バランスを保つために存在する内耳の奥にある骨、そして歯です。超高度の水圧と冷たい水温のおかげでその体を保つことができています。ですが、海底から引き上げれば、この体は非常に脆く、あっという間に崩れてしまうのです」と説明します。
New Translucent Fish 03
Courtesy of Newcastle University
ペルーとチリにまたがる海岸線の先にある海底8000メートル超という深さの、6000メートルの距離に及ぶアタカマ海溝で魚の調査を行うことは容易いことではありません。
HDカメラを搭載した2機のランダー(=海底調査用のロボット/機械)を用いて、この調査は行われました。調査船から海に投下されたランダーが海底まで自然落下するのに費やした時間は、なんと約4時間になります。
New Translucent Fish 04
Courtesy of Newcastle University
12時間から24時間におよぶ海底でのサンプル収集を終えたランダーに信号を送ると、重りが切り離されます。海面まで浮上してきたランダーは、採取した魚のサンプルと、海底の生命体を撮影した映像記録とを持ち帰りました。
しかし、そのような深度においてさえ、魚類は人間からの影響に生命を脅かされているようです(科学調査以外の話です)。
クサウオの体内に残る捕食された端脚類の中には、マイクロプラスチックを取り込んだ小型の甲殻類が混じっていたのです。マイクロプラスチックとは、大きさが5ミリメートルより小さなプラスチック片と定義されます。生物物理学的な環境下に存在する極めて微小なプラスチック粒子であり、世界中の海のあらゆる深度に存在することが科学調査によって判明しています。
2015年の段階で、「51兆個のマイクロプラスチックが世界中の海を漂っている」という発表もされています。
New Translucent Fish 05
Newcastle University
「それが、地球規模で私たち人類が及ぼしている影響です」と、環境ニュースに特化したアメリカのニュースサイト「Earther」の取材に対し、リンリー氏は語っています。
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Courtesy of Newcastle University
New Translucent Fish 07
Newcastle University
Source: Earther
From POPULAR MACHANICS
By David Grossman
Sep 11, 2018
Courtesy of Newcastle University
Translation / Kazuki Kimura
Edit / Lumiere Cooper, Kaz OGAWA