実は2007年以降から、南極大陸は「予想のほぼ3倍の速さで氷を失い続けている」という危険的兆候が出ているとのことです。

 国際科学誌の『Nature』の調査によれば2012年以来、南極大陸の氷河の年間損失量は約3倍に増加したということが発表されています。

 2018年時点での、候変動に関する政府間パネルは「南極大陸は海面上昇に寄与する」と推定し、2100年までに南極大陸の氷の損失によって6inch(15cm)海面が上昇し、地球に深刻な影響を及ぼすということなのです。

 「15cm海面が上昇する」と言われても、ピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。そこで明確な説明を加えてくれたのは、リーズ大学の地球観測教授アンドリュー・シェパード氏。彼が「二ューヨーク・タイムズ」紙に述べている内容をここに紹介すると…「ブルックリン周辺では1年に1度は洪水が発生しますが、海面が15cm上がった場合、年間20回起こるようになるでしょう」とのこと。

 1992年から2017年の間に南極大陸は3兆トンの氷を失ったため、海面の水位は0.3inch(0.76cm)上昇しています。この増加の40%は、氷の損失率が165%上昇した過去5年の間に起こっているのです。

 研究は、南極のさまざまな地域での氷の喪失に関する曖昧さを、明確にすることにも役立っています。

 西南極と南極半島は長い間氷を失い続けていますが、東南極は氷の喪失と増加が混在しており、これにより地球温暖化を懸念する必要がない理由として度々取り挙げられています。ですが、最新の研究では「東南極におけるさまざまな変動は、残りの大陸の地域の急激な氷の損失を補うには十分ではない」ということも強調されています。

 衛星観測も研究の助けとなり、「何が南極における氷の消失につながったのか」ということを見極めています。

 それによって考察できたことは、「南極大陸の氷が温かい海流に遭遇すると、じりじりとゆっくりではあるが大部分の氷が失われる」ということです。そのことについて、ブリティッシュコロンビア大学の雪氷学者であるミシェル・コッペス氏は「ニューヨーク・タイムズ」紙に対し、「その暖かな海流は、大気の温暖化よりもはるかに上回る速度で氷を溶かしているのです」と話しています。

2018年に撮影された南極大陸の様子をご覧ください

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Antarctica 2018
Antarctica 2018 thumnail
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 最近の世界で頻出している異常気象、そして、そこからの自然災害…もはや「地球温暖化」を他人事だと思ってはいけないところに、いわゆる窮地にわれわれは立たされているも同然ではないでしょうか。

 地球、そして大自然は未知にあふれています。それが魅力であり、同時にそれが脅威にもなるのです。しかも、資源は限られています。われわれは即刻、地球環境の改善に対して真剣に取り組む必要があるのではないでしょうか。いまも実践している人も多いはずですが、さらに強化すべきタイミングだと思うのです。

Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Mirei Uchihori
※この翻訳は抄訳です。