「学生時代にはよく規則を破る問題児だった」と言われる元英国首相は、新たな国民投票の実施を促そうとしているのでした…。

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Former PM Tony Blair Is Warning Britain Of A Return To Dark 1930s Politics

 トニー・ブレア元英国首相が、英国政治の現状と先行きに関し、「1930年代に見られたような暗黒の政治状況に逆戻りすることも、まったくあり得ないことではない」とする、厳しい警告のメッセージを発しようとしています。 

「ガーディアン」紙によれば、ブレア元首相は英国の将来についてかつてないほど憂慮しており、そのことをロンドンのシンクタンク「チャットハム・ハウス」に対して行うスピーチの中で表明するそうです。 

「グローバリゼーションと、それを支持する人々が後退している」と、ブレア氏は話します。

 また、「左派と右派それぞれのポピュリズムは、自由貿易の取り決めや移民政策、国家間の協力体制に対して批判的であり、その点で両者には一致する部分がある。すべてが各国の国益を第一に優先する考えとは正反対のものとしてが描かれている」と、ブレア氏はコメントしました。 

 
「ポピュリズムは怒りのはけ口にすぎず、効果的な答えを提示するものではないため、ポピュリズムでは結局うまくいかないだろうが、そのことがはっきりするとポピュリズム的な考えの人々は、『徹底的にやり切っていないからうまくいかないのであって、同じことをもっとたくさんやればうまくいく』と主張して、掛け金をさらにつり上げてくるかもしれない」とトニー・ブレア氏。 

  
「そうしたシナリオの働きによって、われわれがどこに行き着くかははっきりしている。そうなったときには、1930年代と比べられてもおかしくない状況になっている」と、ブレア氏は続けて語りました。(次ページへつづく)

ブレア氏の思いは、左右両派の団結を促す素晴らしい力になるかもしれない

 かつて英労働党のリーダーを務めたブレア氏は、ブレグジット(英国のEU離脱)に対する自らの不快感を過去に何度も明言しており、EU離脱のプロセスを逆戻りさせたいと発言したことさえありました。そんなブレア氏の発言は、同氏を忌み嫌うコービン支持派の人々からも、そしてブレグジットを支持する人々から同じように怒りを買っていました。 

 「こうした状態を続けていくことはできない。私はわが国の将来をかつてないほど憂慮している。そして、私のなかでは不安と怒りというふたつの感情がせめぎ合っている」とブレア氏は、英国のEU離脱に関する交渉の現状に関してそう話します。 
   

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Photograph / Dan Kitwood(Getty Images)

  
「今の政府では、あらゆるものが計算で動いています。でも、この計算は保守党内の派閥間での力のバランスについてのものであって、わが国の国益についてなされたものではありません。そして、テリーザ・メイ現首相はリーダーというより、人質というほうが相応しい状況に置かれている」と、ブレア氏はコメントしました。 

「いっぽう労働党のリーダーは、文字通り英国の将来を決する問題について、決定的な役柄を演じられる可能性があるにも関わらず、この問題をめぐる国内での戦いで率先して戦おうとはしていない」とも話していました。 

 ブレア氏のコメントが、イギリスの全国民が待ち望んできた左右両派の団結を促す、素晴らしい力になることは間違いないかと思われます...。 

 今後の彼の行動、そして、国民の行動の変化にも注目していくべきだと考えます。

By Olivia Ovenden on June 27, 2018
Photos by Getty Images and Simon Emmett
ESQUIRE UK 原文(English)
TRANSLATION BY Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。 
編集者:山野井 俊