2018年5月3日に起きたキラウエアの噴火は、崩壊の始まりの序曲に過ぎないのかもしれません。
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まずは2018年5月9日(現地時間)に公開された、Al Jazeera Englishの動画からご覧ください。
ハワイ諸島のハワイ島を構成する5つの楯状火山(緩やかに傾斜する底面積の広い火山)のうちの一つ、キラウエア火山。
2018年5月3日(木)に噴火が確認され、「Popular Mechanics」に記事では、2018年5月11日に公開された時点で26軒の住宅を含む35棟の建物が崩壊したとの報告がされています。溶岩はビッグアイランドの南東の住宅地へと噴出したそうです。
そして、同年5月9日(米国日時)には「火山活動は8日に停止した」とも一時報じられていたのですが、同年5月16日(現地時間)に再び、キラウエア火山は激しい爆発を起こし、マグニチュード(M)4.4の地震が発生。火口からは、3600メートル超の噴煙が立ち昇り、周辺には大量の火山灰や火山ガスによる被害によって深刻化しているそうです。
さらにUSGS(米地質調査所)によれば、「キラウエア火山では16日にハレマウマウ火口の溶岩湖に、火口壁から岩石が崩れ落ちた影響によって大爆発が発生。この影響により、数百メートル離れた国立公園の駐車場には60センチほどの噴石が飛び散り、さらに降り積もった火山灰の厚さは1センチ近くになった」とのこと。
また、住宅地のLanipuna Gardens(ラニプナ・ガーデンズ)付近では、地面の亀裂から危険な火山性ガスが発生。すでに避難している住民らに対して、近づかないよう呼び掛けているそうです。また、航空コードを危険度が最も高い「赤」へと引き上げられ、周辺を航行する飛行機に対しても火山灰への警戒を呼びかけています。
それでは最新(2018年5月16日)の状況を、ハワイ島のトラベルガイドを公開する「Big Island Flow」のFacebookの投稿からご確認ください。
このような状態のキラウエア火山ですが、ここで過去を少し振り返ってみました。そしてその記録から推測するに、この噴火はこの先も続くのではないかと予想できるのです…。
ハワイには他にも多くの火山が存在しますが、今回のキラウエア火山は溶岩流や有毒ガスの二酸化硫黄を噴出しており、過去にワシントン州スカマニア郡にあるセント・へレンズ山で起きたような…「急にピークがくるような噴火」の仕方ではなく、広いドーム形状になって流れ出してきている状況です。
そして、今回の活動はいままでの火山のサイクルで記録された61回の噴火の一つにすぎません。実のところ、1983年にキラウエア火山が噴火して以来、連続して噴火してています。米国地質調査研究所によれば、「この火山は、世界でもっとも長く連続して噴火している火山だ」と言います。
そんなわけで、キラウエア火山が過去35年の間にハワイの住民にもたらした被害を皆さんもご確認ください。
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「キラウエア火山」の歴史を振り返る
1983年―1986年
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写真は、1983年1月14日に最大20フィートの溶融岩を噴出するキラウエア火山です。
1983年1月3日のことです。キラウエアのイーストリフトゾーンで噴火が始まり、ビッグアイランドの南東の角に約4マイル(約6.5キロ)もの長さの亀裂ができました。当時の米国地質調査研究所によれば、 「数カ月のうちに噴火は1つの火口に集中し、最終的に噴火口の集中によって『プウ・オオ火口』と呼ばれる円錐状の火口ができた」と報告されています。
2018年4月13日に、Instagram@mauihiに投稿されたプウ・オオ火口の動画をご覧ください。
1986年―1992年
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写真は、1990年に起きたキラウエアの噴火で火がつくカラパナの住宅。
今回のキラウエアの火山活動では、2018年5月9日(米国日時)には「火山活動は8日に停止した」とも報じられていました。「この言葉に、安堵してはいけない…」ということは、その歴史から住民がいちばん実感していたことでしょう。
1986年7月20日のこと、「クパイアナハ」と呼ばれる新しい火口からの爆発的な噴火が起こりました。それは単なる序曲でしかなかったのです。溶岩流は連続的な噴出期間に入り、ハワイ火山国立公園の訪問者センターを破壊。ハイウェイ130を横切って、同年11月28日には海岸にまで到達したのです。
その地には溶岩畑が広がり、1990年3月にはカラパナの町を通り、100棟以上の住宅・教会・お店を80フィート(約24メートル)の溶岩の下に埋めるように破壊していったのでした。そしてこの状態は、なんと約5年半も続いていたのです。
それではYoutube@Big Island Video Newsから、当時、アメリカ合衆国国立公園局によって撮影された噴火(1983~1986年)の映像とともに、USGSハワイ火山天文台のティム・オーラーによるプレゼンテーション(2014年1月7日)をご覧ください。
1992年―2007年
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写真は2004年、キラウエアからの溶岩が太平洋に流れる様子。
1992~2007年の15年間で、火口は「クパイアナハ」から「プウ・オオ」へと戻ります。
そして、静かで連続的な溶岩の噴出が海に流れ続け、その結果としてハワイのビッグアイランドは、約418エーカー(1.70㎢)分の土地が広がったのでした。
2004年3月5日のキラウエア火山の様子を、Youtube@AP Archiveの映像でご覧ください。
2007年―2011年
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そして2007年には、「プウ・オオ火口」から約100フィート(30メートル)を越えて溶岩が噴出し、そして新しい亀裂が噴火し円錐形を北東につくりました。
2010年と2011年の後半には、再び溶岩流によって、旧カラパナの溶岩流の上に建設された多くの住宅を破壊したのです。
それではYoutube@volcanochaserに投稿された、2010年6月1日の映像をご覧ください。
2011年―現在
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写真は2014年11月7日に、キラウエアからの溶岩がパポアの町を流れていく様子です。
2011年から2013年にかけて何度か新しい溶岩流出を繰り返したのち、2014年6月に「プウ・オオ」の東側で大きな亀裂から噴出。翌7月には、溶岩はパホアの町に流れ込みました。
2014年に起きたこの噴火による破壊は、2018年5月3日に起きたレイラニ・エステーツ地区で起きた噴火と不気味にも似ているのです。
それでは、Youtube@USGSに2011年2月9日に公開された映像をご覧ください。
Esquire(原文:English)
BY LYNDSEY MATTHEWSMAY 17, 2018
Translation by Mirei Uchihori
※この翻訳は抄訳です。
Edit / Kaz OGAWA,Mirei Uchihori