instagramView full post on Instagram

 ワシントンD.C.のポトマック川の桜並木で撮られた写真。満開の桜のなか、その美しさを楽しむ女性ふたり。桜は額縁のような役割を果たし、被写体はその桜トンネルのなかに。紅、白、ピンクが配色された服を着た女性が、春の気配を楽しんでいる様子。とても美しく、観る人を幸せな気分にさせてくれる写真です。

 しかし、その写真の説明文には、「2017年3月27日、ワシントンのポトマック川にて。霧に包まれた朝に、桜の下で着物を着た女性が写真を撮っています(Women in kimonos take photos under the cherry blossoms along the Tidal Basin on a misty morning in Washington on March 27, 2017.)⠀」の文字。

 これに対し、日本人から「こんな種類の着物は日本で一度も見たことないわ…」、「それ、着物じゃないよ! たのむぜ!!」といったコメントが…。今回ばかりは、さすがの日本人でも見過ごすわけにはいかない様子…(!?)。

 今まで、過去にボストン美術館の「キモノ試着イベント」が人種差別だという抗議を受けて中止したり、米『VOGUE』誌で人気のスーパーモデル、カーリー・クロスが「芸者スタイル」を披露して、Twitter上で謝罪する事態にまで追い込まれたニュースが米国内でありましたが、どちらのニュースも擁護的なコメントをしたのは、日本に住む日本人からでした。いつもは、こういったことに寛容な日本人が、今回ばかりは少し“いただけない”には理由があります。

 アメリカ人が映画などアートの部分で描く日本のイメージには、不思議に感じるときがあっても、日本人の多くはあまり事を荒立てていませんでした。が、それはあくまで芸術の領域や一般市民から発信されたものだから。立場を弁えることを得意とする日本人らしく、寛容でいられたのです。

 でも今回は、(博識なジャーナリストが多く所属しているだろう)歴史ある、あの『TIME』誌が、このような表現で写真を公開してしまったからのようです。

 もし、“kimono”というワードが“着る物”、つまり単なる服という意味で使用されているなら問題ないのですが、この写真は、「桜」「アジア人女性」と明らかに日本を連想させる材料がそろっている上に、「着物(kimono)=日本の伝統的な和服」と名詞として広く普及していることを考えると、やはり、このkimonoは日本の和装の服を指していることとなるのですね。

 そうなると、誤った認識を植え付けてしまう可能性のあるこちらの写真は、日本人からしてみると、ちょっと残念な気持ちになってしまいます…。しかし、今回も日本の文化を楽しんでくれいる、ということをポジティブに受け取って、寛容におさめるという方が得策かもしれませんね。

 …そんなときは、「No, No….that is not “KIMONO(キモノ)”, “KINONO(キノノ)!!!”」と、アメリカンジョークで笑い飛ばしましょう。