「火星に水素爆弾(熱核兵器)を落として、人間が住めるように改造する」というプランをかつて放ったテスラ社CEOを務めるイーロン・マスク氏。しかしこのたび、この計画が、かつて示唆していたほど素晴らしいアイデアではないことを科学者たちが発見しました。

「火星を人間が住めるようにすることが可能かどうか?」を調べる研究が、米航空宇宙局(NASA)の支援で行われました。

この研究では特に、火星のさまざまな場所に堆積している二酸化炭素を放出させることで温室効果を生じさせ、それを通じて、表面にある水を凍結もしくは蒸発する前に液体の状態で捕捉するという計画についての調査になります。

それを行った結果、このプランが最終的にはうまくいかないことを突き止めたのです。

「われわれの研究結果が示しているのは、火星にある二酸化炭素ガスを大気中に放出したとしても、温室効果による著しい温暖化を生じさせられるだけの二酸化炭素が残らないということだ」と、この研究で責任者を務めたコロラド大学のブルース・ジャコスキーさんは述べています。

さらに、「二酸化炭素ガスのほとんどはアクセスできるところにはなく、また、簡単に活用できない可能性がある。結果的に現在ある技術を使っても、火星を人間が住めるようにすることは可能ではない」とブルース・ジャコスキーさん。

火星を水素爆弾で破壊して
新しい地球に変えようと目論むマスク

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以前マスク氏は、「火星の極点にある氷冠(アイスキャップ)を極めて強力な武器を使って溶かせれば、火星の地表の圧力と温度を上昇させられるだけの二酸化炭素を放出させることができるのではないか?」との希望を口にしていました。

しかし、そうしても火星の大気の圧力が地球の大気の圧力の1.2%に上昇するだけでしかないことが、今回の研究で示されました。

さらに、火星の表面にある土壌や岩石のなかに閉じ込められたすべての二酸化炭素を加えても、大気の圧力は地球のそれの6.9%にしかなりません。また、火星の地殻の奥深くに蓄えられた炭素を掘り出して放出すれば、大気の圧力を地球のそれにさらに5%近づけることができます。が、その場合には火星の地殻の外側を100メートルも露天掘りしなくてはなりません。

この研究結果はマスク氏にとって、新たな打撃となるでしょう。

彼はこの1カ月ほど波乱含みの日々を送っていました。2018年6月、マスク氏はタイの洞窟に閉じ込められた少年サッカーチームの救出に当たったダイバーを、「小児性愛者」呼ばわりしたことを後に謝罪し、また、オナラをする一角獣の絵にかかわる著作権をめぐる論争を片付けなくてはなりませんでした。

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そんななか、イーロン・マスク氏が2016年に新会社として設立した「The Boring Company」(穴掘りカンパニー)では、本業とは全く異なる製品の火炎放射器、またの名を「火炎放射器じゃないヤツ」を実際に販売してしまったり、トンネル掘削で出た泥を材料にしたレゴブロックのようなレンガの販売に向けた動きを進めるなど、アグレッシブな展開を見せているうえに、2018年7月28日には、テスラブランドのサーフボードを発売しました。

予定数200枚・1500ドル(約17万円)で予約受付を開始したサーフボードですが即完売に…こちらは、少なくとも成功したようです。カワバンガ(やったぜ)!

このように…2018年も、色々な意味で世間を賑わせているイーロン・マスク氏です。が、彼の好奇心旺盛なところは、認めてあげたいところであることは確かです。

Source / ESQUIRE UK
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。