アメリカ・フロリダ州パークランドにある、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で起きた銃乱射事件。あれから1カ月となる2018年3月14日(現地時間)、全米の高校生が一斉に授業をボイコット。追悼集会や抗議デモ「ナショナル・スクール・ウォークアウト」に参加し、銃規制の強化を呼びかけました。この痛ましい事件に対する彼らの悲しみ・怒りは、ドナルド・トランプ大統領がとったリアクションに対しても…。
トランプ大統領はTwitterで一度投稿した後に、さらに付け加えるように事件に関しての投稿をしました。その内容は、「隣人やクラスメイトは、どれだけ容疑者の彼が問題児であったか知っていたはずだ。常にそのような例は当局に報告されるべきである、何度でも何度でもだ!」と…。
トランプ大統領のこの発言に対し、嫌悪感を抱いた多くの米国民。その理由は、「トランプが銃規制に関する議論から注意をそらし、ニコラス・クルーズ容疑者の以前からの問題を報告しなかったパークランドのコミュニティのなかにいる子供や人々を責めている…」といった、根本的な面から目を反らさせるためのミスリードが読み取れたからに違いありません。
この銃乱射事件以来、「全米ライフル協会」からの寄付や大統領、共和党下院議員らの祈りはありましたが、銃規制に関しては実際に行動する気配もなく、国民の怒りはさらに高まっているようです。
既に削除されやツイートではありますが、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の学生であった「サラ」という女子生徒は、「私はトランプ大統領の最低で感情のこもってない哀悼の意なんかいらない!」というものもありました。さらに、他の生徒との間でやりとりした内容を、スクリーンショットでシェアした人もいました。
そして「本来こんな会話は家族とするべきではない。私たちは学校へ学びに行っている。弾を受けるためじゃない!」と、ツイートする女子学生も…。
銃乱射事件の現場から生還した17歳のデイビット・ホッグくんは、米ニュース番組『CNN』でこう語っています。「僕たちは子供ですが、視聴者の多くは大人の皆さんのはずです。そんな“大人”の皆さんは、解決のための何かのアクションを起こし、役割を果たすべきではないでしょうか」と…。
そして、この事件で14歳の娘アリッサさんを亡くしたロリ・アルハデフさんは、『CNN』のインタビュー中にトランプ大統領にこう叫びました。「何かしてよ! 行動を起こして! 私たちはいまそれが必要なの! 若い子たちには、いま最も必要なのは“安全”なのよ!」と。
殺戮(さつりく)が行われていた最中、学校内のクローゼットの中に19人の子供を隠し、身を守った学校の先生であるメリッサ・フォーコウスキーさん。彼女は米ニュース番組『MSNBC』で、「事件が起こった際の訓練があったにもかかわらず、17人の子供たちが戻ってこられなかった…。議会、政府、誰かがアクションを起こすべきときがきたのです」と語っています。
これまでアメリカの学校で起きた銃乱射事件は、今回のパークランドで起きたこの恐ろしい事件を含め、18件目となってしまいました…。これを受けた学生たちの胸の痛み、悲しみ、そして怒りは、いま銃規制を求める抗議デモとして発展しているのです。
フロリダ州パークランド
2018年2月14日、銃乱射事件によって17人の命が奪われたマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校。校庭で行われた追悼集会には、多くの学生たちが集まった。
フロリダ州パークランド
同じくマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校にて。学生たちが一斉に授業をボイコットし、校庭に向かう様子。
カリフォルニア州ユニオンシティ
ジェームズ・ローガン高校では、抗議デモ「ナショナル・スクール・ウォークアウト」に集まった学生たちが路上に倒れてダイ・インで抗議。
コロラド州デンバー
イースト高校に通う学生たちは、コロラド州会議事堂までデモ行進を。
モンタナ州リビングストン
パーク高校とスリーピング・ジャイアント中学校の学生たちは手と手を取り合い、銃乱射事件の犠牲者や被害者たちに黙祷を捧げました。
バージニア州アーリントン
追悼集会が行われたワシントン・リー高校。なかには、敬礼する学生の姿も。
ワシントンDC
ワシントンDC、メリーランド州、バージニア州の高校に通う学生約2000人が、アメリカ合衆国議会議事堂に大集結。銃規制強化法案の成立を求めました。
ニューヨーク市内
ワシントン・スクエア公園の噴水の前で、円陣を組むハーベスト・カレッジ高校の学生たち。
ニューヨーク州ブルックリン
サイエンス・ランゲージ・アンド・アート・インターナショナル・スクール(SLA)に通学する幅広い年齢層の学生たちが、ともに抗議デモに参加しました。
コネチカット州サンディフック
2012年12月14日、銃乱射事件により28人が死亡したサンディフック小学校。学校の敷地内にはメディアが入ることはできませんでしたが、ここでも多くの学生たちがデモに加わったもようです。
ワシントンDC
アメリカ大統領の官邸、ホワイトハウスの前にも大勢の学生たちの姿が…。
ワシントンDC
参加者たちは思い思いにプラカードを掲げ、銃規制強化を求めました。
ペンシルベニア州フィラデルフィア
ハイスクール・フォー・クリエイティブ&パフォーミング・アーツ(CAPA)の学生たちが、教室から出て行く様子。
ペンシルベニア州フィラデルフィア
「学校における銃の持ち込み禁止」と、スペイン語で書かれたプラカードを掲げるCAPAの学生。
ワシントンDC
イースタン高校の学生たちは授業を抜け出し、アメリカンフットボールのフィールドにて。
ニューヨーク市内
ロウワーマンハッタンにあるズコッティ公園に集まったデモ参加者たちは、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の犠牲者をしのび、17分間の黙祷を行いました。
ニューヨーク市内
ズコッティ公園では、ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事の姿もキャッチ。所属政党は民主党です。
ニューヨーク州ブルックリン
ミッドウッド高校の学生たちが、デモ行進に向かうところ。
ニューヨーク州リロイ
雪が降るなか、リロイ高校の学生たちはマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の犠牲者たちの写真を貼ったプラカードで、プロテスト(異議を申し立て)。
フロリダ州ロックレッジ
アメフトのフィールドで、ハート型の円陣を組んだロックレッジ高校の学生たち。
From Seventeen, Good Housekeeping
Source : CNN Courtesy of LeRoy National School Walkout, News 6
Photography / Shutterstock, Getty Images
Translation / Reiko Kuwabara, Mirei UCHIHORI
Edit / Hikaru SATO, Kaz OGAWA