2017年10月にNASAの天文台は、潜在的に危険な小惑星を観測中に初めて謎の天体「オウムアムア」を発見しました。さて、その正体とは一体何なのでしょうか?

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European Southern Observatory / M. Kornmesser

  Harvard Scientists Say That 'Oumuamua Could Have Been an Alien Probe

「Oumuamua(オウムアムア)」という言葉を、まだ知らない方も少なくないでしょう。「オウムアムア」とは非公式な名称でありますが、ハワイ語で「遠方からやってきた最初の使者」を意味します。勝手な解釈をすれば…「エヴァンゲリオン」で言うところの「パターン青」、つまり「使徒」と言えるのではないでしょうか。ですが、そこまでの危険はなさそうなので、「使者」という認識のほうがいいかもしれません。
    
 話は本題へ…。
 
「太陽系外から飛来した天体『オウムアムア』の正体は、異星人の探査機かもしれない」と、アメリカのハーバード大学の研究者が驚くべき論文を10月26日に発表しました。それは2017年10月にハワイ大学のマウイ島の天文台で、潜在的に危険な小惑星を観測中に発見したものであり、太陽系外から飛来した観測史上初の恒星間天体となります。 
 
 その長さが400メートル以上ある極端に細長い葉巻型の「オウムアムア」は、超高速で惑星間を移動する岩の固まりであり、そのスピードは人類がこれまでに宇宙に送り込んだあらゆる宇宙船を上回るものでした。この天体がどこから来たのかはわかっていませんが、太陽系外から飛来したと見られており、観測史上初の恒星間天体とされています…とにかく奇妙な天体なのです。 
  
 2017年9月に太陽系外から飛来したと推測され、太陽の重力の影響を受けてUターンして、再び太陽系外に出ていったとみられています。が、この天体には奇妙な点がありました。それは、太陽から遠ざかりながらも加速したということなのです。
 
 NASA(アメリカ航空宇宙局)などの観測チームは2018年6月28日、ハッブル宇宙望遠鏡や地上の望遠鏡による観測によって、ここでも意外な事実を明らかにしています。それは…太陽から遠ざかるにつれて、この「オウムアムア」の速度は落ちていくというもの。ですがその減速の割合が、重力の影響だけを受けている場合の値よりも小さかったということなのです。
 
 そして、彗星の特徴であるガスを吹き出していなかったのです。「nature.com」によれば、「長さ約400m、直径約30mほどという小さな天体を加速できる程度のガスが噴き出していても、それは観測できるほどの現象にならないないかもしれない」と観測チームは説明しながら、この「オウムアムア」は彗星の一種だと主張したと掲載されています。

 
NASA関係者が「オウムアムア」の軌道などについて動画で熱く語る

これはThird partyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 
 ですがその一方で、ハーバード大学の天文学者であるエイブラハム・ローブ教授らは2018年10月26日に、論文投稿サイト「arXiv」に驚くべき論文を投稿しています。
 
 この天体の形状は他の小惑星とは似ても似つかないものであり、彗星とも違うとのこと。それは彗星なら、加速の際にガスを放出するはずです。が、この「オウムアムア」にはそんな兆候が見られなかったということなのです。この天体は、2019年初めにも太陽系外から出ていく見込みですが、研究者たちは現在もその正体やこのような回転・加速をしている理由を解明しようと必死になっているようです。
 
 また、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームが発表した新たな論文にも注目が集まっています。この論文は今のところ、学術誌には掲載されていません。ですが、この天体について異星人の関与を含むいくつかの説に言及しているのです。 
  

これはThird partyの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 研究チームは最初に、「『オウムアムア』が太陽系ではまだ観察されていない何らかのプロセスを経て、自然に生まれた可能性がある」と前置きしつつも、その異様さを説明。そのうえで、「この天体が異星人の高度な技術で人工的に作られた『ライトセイル』であり、地球の周辺を探査している可能性もある」と指摘しています。ちなみに「ライトセイル」とは、風ではなく光によって推進する帆船と考えてください(複雑物理学では、光にも推進力があると説明されています)。 
 
 研究者たちによれば、似たような形状の「ライトセイル」は人類の文明でも設計・建造されてきたと言います。これらの「ライトセイル」は、惑星や恒星の間での物質の輸送に利用することができ、役目を終えれば制御不能にして宇宙空間に放つことができるとのこと。
  
 そして最後に、研究チームは「『オウムアムア』は、異星人の文明が地球の周辺に意図的に送り込んだ完全に操作可能な探査機かもしれない」と記しているのです。
 
 ちなみに、この「オウムアムア」が最初に見つかった2017年の10月に、米国では何が起こっていたか覚えていますか?
 
 そうです。ドナルド・トランプが戦没者遺族を中傷し、米議会が大規模な減税に投票し、オルタナ右翼指導者のリチャード・スペンサーがフロリダ大学で憎しみを助長していたころなのです。おそらく、そんな状況の地球や人々の憤りを間近に見た異星人は、この惑星には立ち寄らないことにしたのでしょう…それは懸命な判断です。 
 
 とは言っても、実際のところは「『オウムアムア』は他の太陽系に向かって、成り行き任せに飛んでいる無人の(あるいは異星人とは関係ない)巨大岩石に過ぎない」というハーバードが出した最初の仮説が真実に最も近いのではないでしょうか。 
 
 きっと、次に訪れる別の太陽系でも、「オウムアムア」を見つけた生命体はきっと「異星人が送り込んできたのでは!?」と疑惑の念を持つことでしょう…。無限の彼方へ乾杯しましょう!

By Sarah Rense on November 7, 2018
Photos by European Southern Observatory / M. Kornmesser
ESQUIRE US 原文(English)
TRANSLATION BY Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。
翻訳者:山野井 俊