地球で起きている海面上昇は、かなり気にしなておかなくてはいけない状況です。そんな状況であることをいち早く察知している皆さんへ、こちらの情報に注目してください。

 この問題の糸口として挙げられている「南極の氷が大変なことになっている!」ことを調査している、ニュージーランド オセアニア ロス棚氷プログラムから…このたび研究の一部にあたる動画を公開したところ、瞬く間に多くの関心が寄せられたという内容です。

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CRAIG STEVENS, CC BY-ND

まず南極の話から…|南極大陸とは?

 南極点を中心として、南緯66度33分までの地域についてを南極圏と呼びます。そして、南緯50度から60度にかけて、不規則な形状を描く氷塊(ひょうかい=いわゆる氷のかたまり)の不連続線である南極前線とも言われる南極収束線があります。ここより南を、南極地方とも呼んでいます。

 南極地方は、南極大陸を中心として南極海および太平洋、インド洋、大西洋の一部も属する、いわゆる南氷洋を含んだ地域のことです。その南氷洋に囲まれた南極大陸は、地球で5番目に大きな大陸であり、約1400万平方キロメートルの面積。それはオーストラリア大陸のほぼ2倍に相当します。

 約98%は氷で覆われ、その厚さは平均2.00325キロメートルにもおよぶ氷原が広がる世界です。地球上で最も寒冷な地域の一つであり、およそ3000万年の間降り積もった雪が溶けずに1000~2000メートルの厚い氷の層となった氷床(ひょうしょう)に覆われた大陸なのです。

 陸地はほとんど氷床下にあって、わずかに岩が露出している程度。氷床は氷河(ひょうが)となってゆっくりと山の斜面をずり落ちて海へと押し出されて流出します。そして、その一部が陸上から連結して海洋上に浮かびます。それが棚氷(たなごおり)もしくは氷棚(ひょうほう)と呼ばれる氷の崖を形成しているわけです。ちなみに棚氷が沖へと押し出され、自らの重さによってひび割れます。その結果、海に漂う氷の塊を氷山と読んでいるのです。

 ※ここで、「氷塊」「氷原」「氷床」「氷河」「棚氷」など、「氷」のつくさまざまな用語が出てきましたが、もっと詳しく知りたい人はご自身でお調べください。今後のために、これらの氷は融けてもらいたくありませんが、皆さんの謎の塊は解けていってほしいので…。

では、棚氷の穴の中を覗いてみてください。

これはvimeoの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

 このプログラムで研究されているのは、「棚氷」の部分。その中でも最も面積の大きいとされているものが、調査にあたっている「ロス棚氷」になります。その規模は、フランスと同じくらいの面積と言われ、その下がどうなっているのかはまだあまり知られていないのが現状です。

 そこでニュージーランドの大学間のコラボレーションによって、棚氷に300メートルの深さの井戸を掘削(くっさく)。そこにカメラを通すことで、「氷下で何が起きているのか?」が確認されたのです。

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Getty Images

 チームによる最初の調査では、70年代に記録された測定値と比較して、棚氷の下の水温が温かいことが示唆されています。

 これは明らかに悪い兆候です。明らかに…。陸上の氷を制御し、海面上昇による大きな災害で制御不能になることを防ぐためにも、人類にはこれらのような大規模な棚氷の存続は必要不可欠なのです。

 棚氷はこれまで、どのようにして融解していったのか?――この答えは、いまだ明確にはなっていません…ですが、「もはや、この事の次第を調べる時間すらないのでは…?」と思えるぐらい、事態はかなり深刻。初期の測定でもうすでに、見通しは良くないというのです。

 注意すべきは、トランプ大統領だけではないのです。全世界が、このことを優先順位トップに据えて話し合いをすすめ、その打開策を急ピッチで進めなくてはならない状況であること…それは間違いありません。

Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Mirei Uchihori
※この翻訳は抄訳です。