仕事の打ち合わせでスターバックスに来たという2人の黒人男性が、「不法侵入の疑い」で手錠をかけられ逮捕されてしまいました。

 カフェやバーで注文をする前に席を取り、友達の到着を待っていることは誰にでもあることです。

 2018年4月13日(米国時間)、ペンシルベニア州フィラデルフィアのスターバックスに来た2人の黒人男性も、同じように友人を待っていました。違うことはその後、彼らが手錠をかけられ連行されてしまったということです。 

 目撃者のメリッサ・デピーノ氏は、このときの出来事の一部始終を撮影した動画をTwitterに投稿。この中で、この2人の男性が待っていた仕事仲間であり、不動産デベロッパーのアンドリュー・ヤッフェ氏は「彼らはなぜ通報されたんですか?」と尋ね、「彼らが黒人2人で、ここに座って私を待っていたからでしょうか?」と驚きを隠せない様子でした。
  

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メリッサ・デピーノ氏のツイート: 
スターバックスにて。この男性たちが通報されたのは、まだ何も注文していなかったためでした。友達が来るのを待っていただけなのに。その友達が到着したときには、何もしていない彼らは手錠をされ、まさに連行されるところでした。店内の白人たちは、「自分たちが同じことをしてもこんなことにはならないのになぜ?」と疑問を抱いていました。  

 ウェブメディア「バズフィード ニュース」は、逮捕された2人の男性の弁護士であるローレン・ウィマー氏に話を聞きました。 

「2人の男性は、到着してすぐには注文しませんでした。ヤッフェ氏が来るのを待っていたからです。彼らが待っていたとき、この時間に働いていた白人女性のマネージャーが、2人に店を出ていくよう伝えました。2人が『もう一人が到着してから注文する』と言うと、彼女は警察に電話したんです」とウィマー氏。 

 動画のなかでは、この出来事を「最初から最後まで見ていた」とする女性が、「2人の男性はまったく何もしていない」と語っています。

スターバックスのCEOが逮捕騒動について語る

YouTubeには、さらに長い時間を撮影した動画も上がっています。 
  

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Black Guys Arrested in Starbucks
Black Guys Arrested in Starbucks thumnail
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 2人の男性は不法侵入の疑いで逮捕され、8時間にわたって勾留された後、4月14日の早朝に釈放されました。もちろん、彼らは何の罪にも問われませんでした。 

 動画がネット上で拡散した後、スターバックスは機械的な謝罪の言葉をTwitter上に投稿しました。この程度の内容では、この事件を受けたハッシュタグ「#BoycottStarbucks」の拡散に歯止めをかけることは困難なようです。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

ツィート文面: 
フィラデルフィアの店舗で、4月13日に起こったことについて、お二人とお客様の皆様に謝罪いたします。 

 スターバックスのケヴィン・ジョンソンCEOはその後、正式な声明を発表しました。
 2人の男性に謝罪し、自社ポリシーの徹底的な調査を行うことを約束。「数日以内に、フィラデルフィアの地域担当バイスプレジデントであるカミーユ・ハイムズと協力し、従業員や顧客、地域の代表者、警察などを交えた話し合いを行う」としています。 

「もっとも重要なことですが、逮捕された2人の男性にもお会いして直接謝罪したいと思っています」とジョンソン氏。 

  
 今回の件には、フィラデルフィアのジム・ケニー市長も言及。スターバックスの手続きについての調査を市に要請し、今回の件について「2018年の人種差別の典型とも言えそうなもの」と指摘しています。
  

賠償金1ドルで和解

 そして、人種差別との批判が出ていたことをめぐり、ペンシルベニア州フィラデルフィア市から黒人男性にそれぞれ1ドル(約107円 ※当時レート)の賠償金が“象徴的”に支払われることで和解が成立したのです。

 フィラデルフィアのジム・ケニー市長の報道官が2018年5月、『BBC』の取材に和解成立について言及しました。

 フィラデルフィア市はさらに、市内の公立高校に通う起業を目指す生徒たちを支援する新たな事業に20万ドル(約2190万円)を寄付すると約束したのです。

 スターバックスは、従業員たちに人種差別を防ぐ研修の受講を義務付けると表明し、2018年5月29日午後、全米の直営店8000店舗を一斉に休業し、人種差別を防ぐための研修を実施しました。

 今後、スターバックスで同じようなことが起こらないことを、ユーザーは望むばかりです。


From ESQUIRE US 原文(English)
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。