ドナルド・トランプ大統領は自分を元気づけるために、さまざまな決起集会を開くという行為が好きな人物です。

大統領の仕事よりも、あるいはトランプ氏が「縛り上げろ」と叫ぶ前から告訴されたり、有罪を宣告されたりしているたくさんの取り巻きに対応するよりも先に、集会を開くことのほうが好きなのです。それはなぜでしょう?

そのような集会には、トランプ氏に幻惑されたファンたちが大勢参加します。その無数の聴衆に囲まれることによって、トランプ氏は自分が大物であり、さらに重要人物であり、しかも頭のいい大人の男だと自覚できるだからなのです。私はそうに違いないと確信しています。

彼の決起集会では、通常、トランプ氏が大勢のファンの前に立ち、例えば選挙人団の獲得投票数とか、「塀をつくれ」といった台詞を叫ぶ…もしくはニワトリの料理の仕方についてなど、訳のわからないお喋りを続けるときもあります。

そして、そのような場面ではいつも、どこかのくたびれた白人男性が歌う曲に合わせて、トランプ大統領が登場するシーンから始まるのです。

2018年8月21日(米国時間)、トランプ氏はウエスト・バージニア州であった集会で、開会前にエアロスミスの『Livin' on the Edge』を流していました(これは当日に出たニュースのことを考えると、実に巧みな選曲です)。

しかし、その選曲の善し悪しは問うまでもありませんでした。なぜなら、この楽曲使用に対して、エアロスミスのボーカルを務めるスティーブン・タイラーの弁護士団が、エアロスミスの楽曲の許諾を得ずに政治集会で流すことを禁じるという、使用差し止め通告の書簡を送付したからなのです。

政治集会で開会前に
『Livin' on the Edge』を流したトランプ大統領

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

「依頼人の許諾なしに『Livin' on the Edge』を使ったことによって、われわれの依頼人は、トランプさんの選挙活動もしくは、彼が大統領であることを支持しているかのような印象を与えている。さまざまなソーシャルメディアにあがった依頼人のファンの反応から、実際にそうした混乱が生じていることも示されている」と、差し止め通知の書簡には書かれています。

スティーブン・タイラーの弁護団が、エアロスミスの楽曲使用に関してトランプ氏に警告を発したのは、今回が2度目になります。

1度目は2015年のこと。このときには、弁護団はトランプ氏に集会での『Dream On』の使用について、使用料を支払うよう警告していました。

「これは具体的に、ランハム法の第43条に抵触しています。許諾なしの使用が、このような人物と別の人物との交友関係、つながり、交際について混乱を招く、あるいは間違いを引き起こす、もしくは誰かを騙す恐れがあるからです」と、通告の書簡には書かれています。

「この違反をさらにひどいものにしているのは、トランプさんが2015年の大統領選挙戦の期間中に、われわれの依頼人の楽曲を使用してストップをかけられたことが、1度だけでなく2度もあったということです」と、スティーブン・タイラーの弁護団は語りました。

ときはすでに2018年。トランプ氏は最終的に、「スティーブン・タイラーとエアロスミスによって、やっつけられるだろう。もしくは端へ追いやられるだろう…」と、私は絶対的にそう信じています。

Source / ESQUIRE US
Translation / Hayashi Sakawa
※この翻訳は抄訳です。