竜巻は他のどの国よりも、アメリカで多く起こります。   

 ですが、これらの強烈で集中的な風の仕組みは、いまだ理解されていません。その分析にたどり着くまでも、多くのデータが必要となりました…。  

 その膨大なデータを収集し、研究しているのがウィスコンシン大学マディソン校の気象衛星研究協同組合研究所(CIMSS)。中心となっているのは、科学者であるリー・オルフ(Leigh Orf)教授です。  

 彼はこの研究において、非常に重要なツールである巨大なスーパーコンピュータの助けを借りて取り組んでいます。  

 オルフ教授の最新データは、アメリカ オクラホマ州エル・リーノで2011年5月下旬に生じた竜巻です。約2時間にわたって地を這い、約63マイル(約101km)の範囲で破壊経路を残した「EF-5(もっとも最悪な竜巻と呼ばれた)」になります。  

 そして、その研究によって、新たな芸術的ともいえる記録が生み出されたのでした。 

竜巻の分析にかかせなかったものとは?

 動画(※下記紹介)を見ると、この「EF-5」が実際には、大きな気体にいくつかの漏斗のようなミニトルネードをつけた形であることがわかります。  

 最終的にオルフ教授はこの「Streamwise Vorticity Current」と呼ばれる流れの方向の新しい構造を発見しました。これらの風は、強いスーパーストームを維持するのに役立つのです。  

 動画では豊富な水分、不安定性、および風のせん断力のような竜巻の形成を、超正確に形どることによって可能となりました。 しかしオルフ教授は、このデータを一般的なデスクトップコンピュータで単純に解析することはできませんでした。  

 この分析は、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の米国立スーパーコンピュータ応用研究所の「ブルーウォーターズ(Blue Waters)」と呼ばれるスーパーコンピュータによって実現できたのです。  

 このデータの分析に一般のMacでは何十年もかかると予想されましたが、「ブルーウォーターズ」のスーパーコンピュータではわずか3日で処理されたのです。  

 最終的にオルフ教授は「Streamwise Vorticity Current」と呼ばれる流れの方向の新しい構造を発見しました。これらの風は、強いスーパーストームを維持するのに役立つのです。  
 

芸術的なまでの竜巻の仕組みを動画で分析

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Tornado Simulation of 2011 EF-5
Tornado Simulation of 2011 EF-5 thumnail
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 この研究の目的は、オルフ教授のような科学者たちが竜巻を理解することにあります。いかにその竜巻の凶暴さを食い止めるか? そして、その防遏(ぼうあつ)をいかに維持するのか?の手助けとなるのです。 または竜巻ばかりでなく、その他の気候変動などで生じた自然災害に対する対策というパズルに、ふさわしいピースを加えることにも役立つのです。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、「気候変動の要因が将来的にも竜巻に対し、どのように影響していくのか?」、これを判断するにはまだまだ十分な情報は揃っていないということです。ですが、このようなデジタルレクリエーションは、長年謎に包まれていたものを答えへと導く大きな第一歩となるでしょう。

Source / POPULAR MECHANICS
Photograph / UW-Madison
Translation / Mirei Uchihori
※この翻訳は抄訳です。