トランプ政権が推進する「クリーンコール」とは、「死」に値するほどインパクトのある政策のようです。

その詳細については、「NBCニュース」からの文言でご確認ください。

【NBCニュースの引用】

― ジョージ・W・ブッシュ大統領政権下やバラク・オバマ大統領政権下で、鉱山の安全性を監視する委員会のメンバーを務め、2018年9月に任期を終えたロバート・F・コーエン氏。彼はいま、アレクサンダー・アコスタ労働長官を痛烈に批判しています

コーエン氏はアコスタ労働長官について、「炭鉱労働者の安全性に関する規制を緩和する違法な試みを行っており、『米国の炭鉱夫の命を守るための最も強力なツール』を弱体化させる恐れがある」と非難。この批判はウェストバージニア炭鉱の採掘施設において、「極めて重大な」違反が発見されたにもかかわらず、この炭鉱が重要な労働者安全規則を遵守する必要がないよう規制緩和を進めているトランプ政権の動きを受けたものになります。

― 労働省はポカホンタス石炭事業者のアフィニティ炭鉱について、労働者の安全性や健康に関する法律に繰り返し違反し、POV(pattern of violations)通告を受けてきた炭鉱に取られる、重い強制措置の対象にならないことを決定しました。

このPOVルールこそ、トランプ政権が明らかに無力化を狙っているものであり、ウェストバージニア州の南部に位置する郡内にあるアッパー・ビッグ・ブランチ炭鉱で2013年に29人の炭鉱夫が亡くなった爆発事故を受けて、オバマ政権のもとで強化されました。トランプ政権に交代したからこそ、当然、このルールは再び緩和しなければならなかったということになります。その理由は、「オバマ大統領が定めたから」ということで。

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実際、鉱山安全保健管理局の責任者に指名されたのは、POVで2度も罰則を受けた鉱山を経営していたデヴィッド・ザテザロ氏です。この指名の際には、石炭業界と関係の深いジョー・マンシン上院議員でさえ反対票を投じました。マンシン議員はこのとき、次のように語っています。

「ザテザロ氏が石炭業界にいた時代の能力や安全記録をチェックした結果、彼が鉱山の安全性に関する法律や安全基準をつくり、守らせる連邦機関の監督役を務めるのにふさわしい人物とは思えない」とのこと。

「クリーンコール」を提言するトランプ大統領

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Trump: We’re putting our great coal miners back to work
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炭鉱夫たちは悪運続きです。

炭鉱業という極めて危険な業界は、何世代にもわたって彼らの家族の生計を支えてはきましたが、すでに時代遅れとなっています。炭鉱街は、「業界の死」とともに荒廃が進んでいるのです。

ジャーナリストのエリック・エアー氏がピューリツァー賞を受賞したレポートで伝えたように…ウェストバージニア州のような場所では明らかに、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)中毒によって多くの人命が奪われています。このような街では、水も飲用には適しておらず、空気も汚染されています。また、子どもたちは街を出たら、2度と戻ってくることはありません。

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アメリカの石炭工場の様子。

そんな状態の街へ、騒々しくも自信に溢れたトランプ氏が街を訪れたら。そこで、「自分なら、街に昔のような活気を取り戻せる」と甘い言葉をかければ。すでに万策尽きている炭鉱労働者たちは、自然と彼に投票してしまうはずです。事実、そうして彼は大統領となったのです。そして、なればばったで、鉱山での仕事をより危険にするばかりか、水や空気をさらに汚染し、医療保険制度さえ弱体化させてしまいました。そして帰ってきたトランプ氏は、彼らに「今ほどあなたたちにとって最高の時代はない」と語るわけです。

以下も、「NBCニュース」からのものになります。

―「『極めて重大な』違反、と呼ばれることには理由があります。人々が死に、手足を失うのです」と語るのは、米炭鉱労働者組合のフィル・スミス氏。同組合は労働省に、安全基準の変更を疑問視する書簡を送っています。

―『あらゆる鉱山の安全性に関する法は、炭鉱夫たちの血で書かれているのです』(スミス氏)

― ワシントンのリベラルなアドボカシー団体である『デモクラシーフォワード』の報道官カリスマ・トロイアーノ氏は、「トランプ大統領は炭鉱労働者の安全性について、無関心であることをすでに行動で示しています。炭鉱労働者の安全を脅かしていると繰り返し指摘されている、ウェストバージニア鉱山事業者に対するルールの適用を拒否しているからです」と語っています。

―「トランプ大統領が労働者保護の約束を破ったことは、違法な可能性があるだけでなく、危険かつ致命的な結果をもたらすかもしれません」(トロイアーノ氏)

結局のところ、トランプ大統領が述べるほとんどの条件は、本質的に裏切り行為であることは全くもって否定できないのです。

Source / ESQUIRE US
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。