世界中のロイヤルファミリーファンが心待ちにしているハリー王子とメーガン・マークルの結婚式は、いよいよ2018年5月19日(現地時間)に。ウィンザー城内のセント・ジョージ礼拝堂にて執り行われます。
そのセント・ジョージ礼拝堂は、チャールズ皇太子とダイアナ元妃の結婚式が行われたセントポール大聖堂やウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式が行われたウェストミンスター寺院ほど壮大なものではないかもしれません。
ですがそこは、王室の歴史が深く残っている由緒正しい礼拝堂として知られているのです。そして、われわれ日本人にとっても…。
>>>世界中から熱視線が注がれる世紀のロイヤルウエディングに向けて、15世紀から続く由緒正しい礼拝堂の歴史についてお教えいたしましょう。
英国を代表するゴシック風垂直式の歴史的建造物
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1.「礼拝堂」と言われるセント・ジョージですが、その規模としては「大聖堂」とも言えるほどです。ウィンザー城下の大部分を占めていて、英国を代表するゴシック風垂直式の歴史的建造物のひとつです。
2.「聖ジョージ」として知られていますが、礼拝堂の公式サイトによれば、ここでは聖母マリアと証聖王エドワード(エドワード懺悔王)を祀っています。エドワード3世は1348年にガーター騎士団勲章を創設し、同年に「神を賛美し、聖母マリア、聖ジョージ、聖エドワードをたたえる」ためにカレッジ・オブ・セント・ジョージを設立しました。
そして、日本人なら思わず目が留まってしまうことでしょう。礼拝堂内を見上げれば、1348年にエドワード3世によって創始されたイングランドの最高勲章「ガーター勲章」に叙されたガーター勲爵士の旗と紋章の数々が、両脇に高くに掲げられています。そしてその中の一つの紋章に、目が釘づけとなるに違いありません。それはなんと十六八重表菊、今上天皇の「天皇旗」なのです。
それはなぜでしょう?
そもそもは1906年の日英同盟をきっかけとして、明治天皇が東アジアの国の元首として初めて贈られました。その後の歴代天皇も授与されています。大正天皇は1912年、昭和天皇が1929年にそれぞれ叙勲されたのですが、第2次世界大戦中は敵国となったため、昭和天皇の名前は騎士団の名簿から抹消され、バナーも撤去されていました。
しかしながら、1971年10月のイギリス訪問時に復帰。今上天皇も、1998年のイギリス訪問時に他国の王室に授けられる“Stranger Knights and Ladies”のガーター勲章に叙せられ、そしてセント・ジョージ礼拝堂に「天皇旗」が再び掲げられたのでした。
このように、日本とも関係が深い礼拝堂なのです。
3. 礼拝堂の建設は、エドワード4世により1475年にスタート。1528年のヘンリー8世の治世で完成しました。
英国王室メンバーが永眠する場所
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4. この礼拝堂は1348年に、エドワード3世が設立したガーター勲章の精神的故郷に。毎年6月にはガーター勲章の叙任式(通称“ガーターセレモニー”)が行われており、女王やロイヤルファミリーも参列しています。
5. 巡礼においても、重要な場所として位置づけられています。現在は礼拝堂南東角にある初期巡礼者の廟所には、ヘンリー6世のお墓だけが残っています。
6. この礼拝堂はヘンリー8世やチャールズ1世、ジョージ3世、エドワード7世、ジョージ5世など元君主10人が眠っている場所で、英国王室メンバーが埋葬される場所としても知られています。ハリー王子の曾祖父母ジョージ6世とエリザベス皇太后やマーガレット王女も埋葬されており、エリザベス女王もここに眠ることになっているのだそうです。
ロイヤルウエディングの会場としてひそかに人気
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7. 1861年にヴィクトリア女王は、夫アルバートが崩御した後に、著名な建築家ジョージ・ギルバート・スコットに依頼してセント・ジョージ礼拝堂の隣に並ぶ礼拝堂を改装。アルバート記念礼拝堂としました。
8. 収容人数は800人ほど(ウィリアム王子が結婚式を行ったウェストミンスター寺院は約2000人)で、 小規模なロイヤルウエディングを望む場合に選ばれる礼拝堂です。
9. これまで、十数組のロイヤルウエディングが行われてきました。最初は1863年のエドワード7世とアレクサンドラ・オブ・デンマーク。2005年には、チャールズ皇太子とカミラ夫人がギルドホールで民間婚を行ったことでも知られています。直近では、2008年にアン王女の息子ピーター・フィリップスとオータム・ケリーの結婚式が行われました。
一般のひとも観光や礼拝に訪れることができる
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10. 王族の洗礼も行われる場所で、1984年に生後3カ月だったハリー王子もこの礼拝堂で洗礼を受けています。
11. セント・ジョージ礼拝堂はエリザベス女王にとって、ウィンザーにおける玄関口のような場所。ですが通常は、ウィンザー・グレート・パークのロイヤルロッジ内にある王室礼拝堂に参列しているといいます。
12. このチャペルは現在も教会として機能しており、平日に自由に訪れ、日曜日に礼拝に来ることも可能になっています。
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From Country Living UK
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Translation / Ai Ono
Edit / Lumiere SATO