日本体育大学の学生でありながら同時に、バレーボールのイタリアリーグ・セリエA「パッラヴォーロ・パドヴァ」に期限付きで入団し、2023年9月からは同じくセリアAの「ヴェロ・バレー・モンツァ」に移籍。プロバレーボーラーとして活躍する髙橋藍選手は現在22歳。2001年生まれのルーキーは、10月のオリンピック予選でサービスエース、フェイクセット(スパイクフェイクのトス)、背面ショットなどで観客を沸かせ、見事16年ぶりとなる「自力五輪出場」の立役者になった。彼は日本バレーボール界これからの10年を牽引する選手として期待がかかっている。
そんな髙橋選手は、ディオールの香水「Sauvage(ソヴァージュ)」の愛用者。実際にプライベートで使用しているという彼に、その香りの魅力やイタリアで出合ったライフスタイル、そしてプロ選手としての在り方について訊(たず)ねた。
髙橋藍の香り
Esquire:普段から「Sauvage(ソヴァージュ)」を使ってらっしゃるとお聞きしました。そのきっかけを教えていただけますか?
2年前くらいですかね。そのとき香りへの興味が高まっていたのですが、これまで香水は使っていなかったので、先輩に訊(き)きました。そうしたら、「今人気なのはソヴァージュじゃない?」と言われて、すぐ探しに行きました。
Esquire:とは言え、香りは好き嫌いがはっきり分かれますよね?
そうですね。絶妙な出合いで、この香りがずばり自分の好みだったので速攻買いました。
--“野性的”を意味する「ソヴァージュ」。ワイルドさのなかにエレガントさもただよう香り。パプアニューギニア産バニラ アブソリュートが甘く官能的でありながら、ほろ苦いカラブリアン ベルガモットが力強く引き締め、力強い爽やさを両立させたもの。その香りとの出合いとは…。
Esquire:自分の個性とソヴァージュの間に、何か共通するものがあるとしたらどんなところだと思いますか?
主張もしすぎず、でもしっかり香り続ける。そんなところでしょうか(笑)。そして、とてもヨーロッパ的な香りだとも感じています。中でも今使っている(濃度が)中間のオードゥ パルファンは持続時間の長さは特に気に入っています。
Esquire:では、香水はどういうタイミングでつけてらっしゃいますか?
普段、競技をしているときはつけないのですが、オフのときやプライベートのときは基本つけて外に出かけるようにしています。
Esquire:気分転換になりますか?
そうですね。それもありますし、単純に自分の好きな香りをつけていると気分があがります。
イタリアの暮らしで気づいた「香り」の使い方
Esquire:イタリアに行かれて、香水の文化的な違いなどを感じたことはありますか?
ヨーロッパの人は日本に比べ、生活の中で日常的に香水を使っている印象がありますね。日本は毎日シャワーを浴びたり、お風呂の入ったりする習慣があって、身体の嫌なにおいを消す傾向にあります。ですが、そのようなことが習慣化されていないヨーロッパでは、自分のにおいを上手に利用するために毎日、習慣として香水を使用しているなと思いました。実際、会う人から「香水の香りがする」と感じる機会は圧倒的に多いです。
そして人それぞれ、香りの好みも全く違うのにも気づきます。なのでチームメイトでも、「この人はこういうにおいが好きなのか」「あ、こっちの人はこの香りなんだ」とか、香りで個性がわかるといった経験をよくします。やはりその人の香りと一緒に、印象も染みつくと言うか…記憶に残りますよね。
Esquire:イタリアのリーグでは、競技中につけてる選手もいらっしゃるのですか?
いますいます。そして試合後にはシャワーを浴びるので、そのあと香水をつけ直したりといったこともありますね。
Esquire:ちなみに香りは複数使い分ける派ですか?
僕はひとつを使い続けますね。
Esquire:一途ですね。そんな髙橋選手がイタリアで発見した新しい視点などあったりしますか? 選手として…
イタリアのリーグには世界中からトップ選手が集まっているので、チームとしてそれぞれ個人のやり方を尊重しているのです。日本とはちょっと違う、チーム運営の在り方を学びましたね。練習時間も非常にコンパクトで、効率的かつ計画的です。ルーティーンはしっかりやりつつも空いた時間は自分のために活用できるようにしていて、メリハリがしっかりしている。そこは勉強になります。
世界基準のマルチタスク
Esquire:コートでの活躍に加え、SNS配信からこういったファッション撮影までこなしていらっしゃいますが、そのタイムマネジメント方法を教えていただけるとうれしいです。
何もしない時間も好きなのですが、どちらかと言えば、(常に)何かしておきたいタイプでして…。オフになるとこの時間も「何か充実させたい」と思ってしまいます。前日にも予定をしっかり立てて、無駄な時間をつくらないようにしています。ひとりぼっちになる時間も好きなのですが、それも「この時間帯は一人になろう」と決めて行動していますね。
Esquire:パドヴァの街の魅力を教えてください。
大学の街なので学生がすごく多い。僕もまだ学生なので、楽しい街だと思いました。いろいろ夜になるとお店が出たり、バーなどがオープンしたりと、学生同士がつながれる環境があるところです。
Esquire:現地の人と交流されたということですよね? コミュニケーションをとるのはお得意なのですね。
喋(しゃべ)るのが好きなので。よく喋りに街に行っていましたね。
Esquire:イタリア語のトレーニングはされているのですか?
勉強はしているのですが、まだまだ(お店で)注文ができる程度です。少し会話ができるかな…くらいですかね。英語もイタリア語も、これから両方ブラッシュアップしていきたいです。
--偶然にも「ソヴァージュ」の“顔”であるジョニー・デップと髙橋選手には共通する趣味が…。
Esquire:ギターも趣味だとか?
コロナ禍に始めたので、ギターは3年ぐらいやっていますね。最近は海外遠征ばかりなので、なかなか練習ができてなくて…。イタリアにもファンの方が送ってくれたので1本あるのですが、練習時間が取れていませんね。でも、届いたときにはびっくりしました。パドヴァにいるときも各国からプレゼントを贈ってきてくださる方がいらっしゃって、ありがたく受け取っています。
Esquire:ファンの方々にはお国柄が出たりしますか?
その国によって、スポーツ選手の捉え方や考え方が違うなと感じることはあります。いい意味でアスリートの意味合いが異なるのかなと…。友だち感覚で「応援しているよ!」と声を掛けられたりすると、すごくうれしいです。イタリアもそうですが、地域がスポーツを応援している実感がとても大きい。パドヴァでも、ホームゲームだと会場にたくさんの地元のお客さんが入ってくれます。そこで一緒に戦ってくれてるというか、本当に応援してくれているのが伝わってきます。いい文化だなと思います。
Esquire:パリ、そしてさらにその先に5年後のオリンピックに向けての課題は?
自分自身のスキルレベルアップはもちろん、(日本チームは)アジア選手権で優勝して、ネーションズリーグでもメダルを獲ることができ、「世界」と戦える自信がもてました。常に自信を持ち続けて練習でもいろいろなことにトライしていきたいですし、日々進化していくことが日本の強さにつながっていくと思います。
「ソヴァージュ オードゥ パルファン」とは?
「ディオール」が放つ世界的名香のひとつ。濃紺に染まる夕暮れの砂漠からインスピレーションを得て、夕方から夜に変わっていくマジックアワーの濃密なアロマを思わせるフレグランス。その香りはみずみずしくもほろ苦い、カラブリアン ベルガモットがパプアニューギニア産バニラ アブソリュートに包まれたセンシュアルで神秘的なもの。力強くも、気高い香りの余韻を響かせます。ジョニー・デップをアイコンとして、キリアン・エムバペなど、各界のトップタレントをアンバサダーとして起用していることでも知られています。
●問い合わせ先
パルファン・クリスチャン・ディオール
TEL:03-3239-0618
【プロフィール】髙橋藍(Takahashi, Ran)
[プロフィール]2001年9月2日、京都府出身。小学2年でバレーボールを始め、2020年に春高バレーで優勝。そこで最優秀選手に選ばれ、同年2月に日本代表初選出。日本体育大学に進学し、翌年2021年東京オリンピックに出場。12月には学生ながらイタリア・セリエAのパッラヴォーロ・パドヴァに期限付き入団を果たし、2023年7月のネーションズリーグで46年ぶりとなる日本男子の世界3大大会におけるメダル獲得に貢献。2023年9月30日から東京で開催されたFIVBワールドカップバレーボール男子大会では、最終の対米国戦を除き全試合スタメン出場。2024年パリ・オリンピック出場権獲得に大きく貢献した。
衣装/P1:ニット 43万円、シャツ 16万5000円、パンツ 19万5000円 P2 :ジャケット 95万円 参考価格、タンクトップ 26万円、パンツ 33万円、シューズ 33万円、ソックス 4万6000円 参考価格(ディオール/クリスチャン ディオール TEL 0120-02-1947)
Photo: Maciej Kucia(AVGVST)
Styling: Masahiro Hiramatsu(Y's C)
Hair&Make: Jun Goto(OTA OFFICE)
Edit: Kazushige Ogawa, Keiichi Koyama, Hikaru Sato(Esquire)