tumiクリエイティブディレクター ヴィクター・サンズ
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ヴィクター・サンズ◎幼少期から学んだ絵画、スケッチ、彫刻などを入り口に、ファインアートの世界に魅せられる。アートとデザインのさらなる追求をめざし、NYのアートスクール「Pratt Institute」で工業デザインを専攻。トゥミには2003年に入社し、2016年からクリエイティブ・ディレクターを務める。「アート、デザイン、ファッションの間にあるギャップをつなぐこと」をモットーに、トゥミのブランドビジョンを未来へと導いている。

Q:トゥミは幅広いコレクションが目を引きます。もし、これから初めてトゥミを使用するならば、最初に使うべきコレクションは何がおすすめですしょうか?

ヴィクター・サンズ氏(以下、サンズ):間違いなく「19 Degree(19ディグリー)」と「Alpha(アルファ)コレクション」ですね。

Q:「19 Degree」は旅に特化したコレクション、「Alpha」はビジネスユースに向けたトゥミの代表的なコレクションですね。この二つを挙げた理由は?

サンズ:これら二つは、“トゥミのDNA”を最も鮮明に感じていただきやすいコレクションです。トゥミユーザーの多くは、業界のリーダーのような方々や常にパフォーマンスを重視される方々です。デザイン的にはディテールにこだわり、スマートデザインを好まれます。そういった点からも、「19 Degree」と「Alpha」にはトゥミの魅力が余すところなく詰め込まれています。

Q:“トゥミのDNA”とは?

サンズ:1975年の設立当初から「人の暮らしの中の移動を簡単に、そして美しくすること」をものづくりの基本としてきました。それは海外旅行から毎日の通勤まで、移動規模の大小を問いません。そのためにも私たちは、常にお客さまの生活がどう変化しているのかについて、とても細かい観察や分析を行い、特に製品のディテールづくりに役立てています。

Q:例えば?

サンズ:世の中にiPadが出てきたとき、これ以降はもう重いノートPCを持ち歩く必要性が劇的に減ることがわかりました。それに向けて製品をアジャストし、バッグに入れる中身に合わせてアップデートを繰り返しています。コロナ以降の世の中に対しても同じです。コロナ後の社会では、旅の期間が長期化するという傾向がデータ上からも明らかです。それに耐えられる製品を出すことは必要不可欠となっています。トゥミは常にカスタマーベ―スと共にあり、その根底には“お客さまはミューズ(女神)”であるという考えがあるんです。

tumi表参道
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トゥミの最新スタイルがそろうグローバル初のコンセプトストアとして、2023年12月21日にオープンしたトゥミ表参道。
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パーセプチュアル・アートの先駆者として知られる、マイケル・マーフィーによる立体アートは、見る位置を変えることによって「19 Degree」のアルミニウムラゲージがトゥミの“T”ロゴへと変化。トゥミの創造性と文化的世界の象徴として、空間のアクセントに。
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明るい店内はミニマルなつくりで、機能性に富んだトゥミのアイテムを引き立てています。そんな空間の中にあって、「19 Degreeコレクション」を思わせる、流れるような曲線のモチーフが目を引きます。

Q:デジタルデバイスの進化に合わせて、最近では荷物が減っています。バッグを持ち歩く必要すらないほどです。逆説的ではありますが、「そんな状況だからこそ、選ぶバッグに対するこだわりが増している」という声も多く聞こえてきます。その中で、トゥミが他ブランドと決定的に違う点は?

サンズ:私たちはバッグだけでなく、アイウェアやフレグランスなど、いろいろなアイテムを発表していますが、そのどれにおいてもユーザーの体験が一番重要であると考えています。そのアイテムがどのように使われるのかというストーリーやシーンを想像することから、お客さまの体験へとアプローチをしていくわけです。つまり、“最初に製品ありき”という考え方ではなく、出発点にあるのは常にカスタマーの姿であり、お客さまが体験されるシーンやライフスタイルに他なりません。

Q:そのお話を聞いて、トゥミの「UNWIND 20:00GMT」という、グリニッジ標準時(GMT)の夜8時をテーマにしたフレグランスを思い出しました。

サンズ:あれは1日の終わりを迎える時間帯、あるいは旅を終えてホテルでリラックスする旅人が硬くなった気分を優しくほぐす、つまり“UNWIND(くつろぐ)”シーンをイメージして生まれた香りです。こういったユーザーが体験する暮らしに基づいた考え方が、トゥミの根底には流れているというわけです。

Q:トゥミのバッグには、「ご丁寧に、こんな所にも収納が…」とよく驚かされます。

サンズ:そもそも、ただ単に美しいオブジェクトは案外簡単につくれるかもしれません。でも、それがどう機能するのか、その点が大切。しかも私たちが目指すところの、シンプルでインテリジェントなアイテムとなっているか。そういった点へのこだわりにこそ、「他ブランドにはないわれわれトゥミの特異性がある」と思っています。

Q:トゥミらしさが詰めこまれた最新作は?

サンズ:「19 Degree」コレクションの中にある『ミノディエール』などはいかがでしょうか? クラッチバッグとして、また付属のストラップでショルダーバッグとしても使用可能です。しかもクラッチからショルダーへの変更も、スマートかつシンプルに行えます。中には、財布のようにも使用できるリムーバブルファスナーポケットも内蔵されています。シンプルに見えて実は使い方にまでこだわった製品、つまり“ノーマルの上を行く(Go Beyond the Normal)”製品はとてもトゥミらしいと思います。

Q:2023年12月21日(木)にはトゥミ表参道が全面改装し、グローバル初の新コンセプトストアとしてオープンしました。

サンズ:アジア太平洋地域では初となる旗艦店です。デザインに携わるにあたり大切にしたのは、“トゥミというブランドを常に前へとプッシュする”というメッセージでした。そこに、東京や表参道という要素を強く意識しながら、トゥミのプロダクトといかに結びつけて表現するかを考えました。ブランドとしての伝統は継承しつつ、フレッシュで独創的でもある。そんなバランスの良さに、トゥミらしさが表現されていると思います。お客さまにもきっと素晴らしい体験をしていただける場になったと、チーム一同胸を張っています。


表参道に「アジア太平洋地域初の旗艦店」がオープン
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トゥミ表参道が全面改装され、アジア太平洋地域初の旗艦店として12月21日(木)に新たにオープンしました。売り場面積およそ160平米。気持ちの良い自然光が差し込むワンフロアの空間は、トゥミの代表的なコレクション「19 Degree」からインスピレーションを得たデザイン。店内中央にはパーセプチュアルアートのマイケル・マーフィー氏によるオリジナルアート作品が展示されるなど、アートギャラリーを強く意識した空間に仕上がっています。トゥミが誇る豊富なアイテムとの出合いはもちろん、ブランド価値やその文化を体感しに足を運んでみてはいかがでしょうか。

●トゥミ表参道
住所/東京都渋谷区神宮前5-9-17
営業/11:00~20:00
TEL/03-3797-0052

公式サイト