[目次]

▼ まずは自分の歩行速度を知る

▼ ウォーキングの利点は何ですか?

▼ 毎日どれくらい歩くべきですか?

▼ 1マイルを歩くのにどれくらい時間がかかりますか?

▼ 歩くペースを上げる方法は?

▼ 余談:歩くペースと年収の関係


お気に入りのコンビニや最寄りの駅が徒歩圏内にある場所に住んでいるのなら、歩いて移動する割合はかなり多いはずです。とは言え、中には車中心の生活を送らなければならないような地域に住んでいる人もいることでしょう。ですが、近くの公園や緑地で散歩する機会ぐらいはあるかと思います。

そこで「ウォーキング」です。これを単なる移動手段として考えるのはさておき、エクササイズとしての観点から、この「歩く」習慣にもっと意識を向けるべきだと考えています。なぜなら、そこにさまざまな効果が期待できるからです。

まずは自分の歩行速度を知る

その前に、自分の歩行速度や歩数が他の人と比べ、どのレベルにあるのかを確認しておいきましょう。アメリカの場合は、「まず、1マイル(約1.6キロメートル)を歩くのにどれくらいの時間がかかるか? を測ってみましょう」とウォーキングコーチのミシェル・スタンテン(MyWalkingCoach.com*1の創設者で、『The Walking Solution』の著者)は言います。そして、こう続けます。

「この基準値を知ることで、あなたにとってスニーカーを履いて歩く機会を増やすきっかけとなるかもしれないので…」

この数値を日本人向けに直すと、1キロメートルの距離を何分で歩くかを計るといいでしょう。もしあなたが1キロメートルを20分で歩いたのであれば…

1キロメートル÷20分 × 60=3.00

あなたの歩行速度は3キロメートル/時となります。最近では、ウォーキング速度が分かるスマホアプリもあるので、これを機に利用してみましょう。記録として残しておきたい人や計算するのが手間に感じる人におすすめです。

自分の歩行速度や1キロメートル当たりの歩数がわかれば、自分のライフスタイルに合ったウォーキングの目標を設定することができるはず。以下に、考慮すべきポイントを示します。

ウォーキングの利点は
何ですか?

ウォーキングを生活に取り入れたほうがいい理由について、何度も耳にしたことがあるでしょうが、それは何度聞いてもいいほど価値があるからです。以下は、スタンテンが教えるウォーキング関するティップス(コツやヒント)です。

◇ウォーキングは気分を高めるのに役立ちます

「外に出て身体を動かし始めると、ストレスや緊張が軽減されます」

◇ウォーキングは病気のリスクを軽減するのに役立ちます

「ウォーキングは有酸素運動であり、この種の運動は心臓病、糖尿病のリスクを軽減し、他にも血圧を下げるなど健康の向上につながるという利点があります」

◇ウォーキングは手軽で身近な運動です

「ウォーキングはどこでもできますし、すぐに実践できます。自宅や仕事からも簡単に始められます。1人でも、仲間と一緒でも、短時間でも長時間でも行えるように歩く方法は多岐にわたります」

◇ウォーキングは関節にやさしい運動です

「身体を動かすことで筋肉に血液が流れ、関節が潤滑になることが期待できます。そのため、痛みやこわばりの緩和へと導いてくれるでしょう。しかも、ウォーキングなら関節に問題がある人でも、ほとんどの人が調整しながら取り組める運動のはずです」

◇ウォーキングはクロストレーニングとしても最適です

「他の種類の運動を楽しんでいる人でも、ウォーキングは手軽で取り入れやすいエクササイズで、日々を活動的に過ごすのに素晴らしい手段です。ランナーや他の負荷の高い運動を行っている人々にとっても、ウォーキングは素晴らしいクロストレーニングとなるはずです」

毎日どれくらい
歩くべきですか?

ウォーキングをする男女
kali9//Getty Images

「どのくらい歩くべきか? を考えたり、目標を設定したりする前に、現在どのくらい歩いているか? を確認することが重要です」と、スタンテンは述べています。日常生活を送りながら、1日の終わりに歩いた歩数を記録してみてください。これを数日間続け、少なくとも1日は平日、1日は週末にします。その結果を記録することで、そこから増やすための基準値ができるというわけです。

そこで、「毎日どれぐらい歩けばいいのか?」と、素朴な疑問が浮かんでくるでしょう。世には「1日の目標は1万歩」という数値が、ウォーキングの伝説的目標となっているかもしれません。ですが、これには議論の余地があります。そこで歩数についてのみ考えるのではなく、身体活動ガイドラインを参考にすることを検討してください。

アメリカであれば、「Physical Activity Guidelines for Americans*2」というガイドラインがあり、そこでは週に150分の中程度の身体活動と週2日間の筋力トレーニングを行うことが推奨されています。有酸素運動は週に5日、約30分のウォーキングが目安ということ。「これは、一般的にはかなり実行可能な目標で、1日あたり10分間のウォーキング3回相当となります」と、スタンテンは述べています。

日本であれば、厚生労働省が「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023*3」を作成しており、そこでは「歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上することが推奨され、歩数としては1日8000歩以上」が推奨されています。

歩数を数えることがモチベーションを高めると考える場合は、「1日に500歩または1000歩を追加することを目標に設定してみよう」と、スタンテンは提案しています。実行可能だと感じるのであれば、ぜひ挑戦してみてください。

1マイルを歩くのに
どれくらい時間が
かかりますか?

腕時計を見る男性
blyjak//Getty Images

ウォーキングの効果を把握し、目標に向けて調整するためには「1マイルを歩くのにどれくらい時間がかかるか?」を計るといいでしょう。これはスタンテンの提案であり、次のように述べています。

「一般的に、大半の人が1マイルを15〜20分で歩いています。15分は速いほうですが、トレーニングをしている人にとっては、1マイルを15分で歩くペースは妥当なスピードです。もし1マイルを歩くのに20分近くかかることがわかった場合、そして、あなたの目標が毎日1マイルを歩くこと、または1マイルを追加することである場合は、10分のウォーキングを2回行うことを試してみてください」

要するに1マイルを歩くのにかかる時間や、それを一度に歩くか、また 1日の中で分割して歩くかは重要ではないということ。生活の中で活動量を増やし、長時間座っている時間を減らすことで、心と身体に大きな利益がもたらすという考えからです。

※このスタンテンの提案は、われわれ日本人は1マイル=約1.6キロメートで換算して行ってください。

歩くペースを
上げる方法は?

足元
boonchai wedmakawand//Getty Images

有酸素運動を行うことで健康や体力を向上させるため、または列車のドアが閉まる前に駆け込むために「ウォーキングのペースを上げたい」と考えている人に向け、「効果がすぐに期待できるテクニックやコツがある」とスタンテンは述べています。

◇腕を曲げる

「考えてみてください。走るときに腕を身体の横にだらりと下げて走ることはありませんよね。それと同様に腕を曲げれば、より速く歩けるできるでしょう」

◇短く速いステップを踏む

「スピードをアップさせるための最大のコツは、短く、素早いステップを踏むこと。人はより速く歩こうとすると、自然にストライドを大きくするようになりますが、これは実際には速度を遅くし、関節に多くのストレスをかけることになります。真っすぐ前に踏み出すことで、つま先を使ってよりスムーズなストライドを保てるでしょう」

◇腕をまっすぐ振る

「歩くときに腕を左右に振ったり、身体の前を横切るように振るのを避けましょう。手先はお尻の辺りまで後ろに振ってから前に振り戻しますが、その際には胸の高さより上には上げないようにしてください」

つまり、歩く方向と同じ方向で振ることで、力の無駄な分散をなくすという考えです。手を振る動く方向がブレれば、姿勢もブレだしてさらなる力の分散は生じることになるので。

◇正しい姿勢を保つ

「胸を開いて立ち、背筋を伸ばして、姿勢をよくしてください。そうすると呼吸がしやすくなるはずです。腹筋も引き締めると、さらに運動効果が上がるでしょう」

◇目線の目標を決める

スタンテンによれば、「人は周囲を見回すよりも前方に目標点を定め、そこに焦点を合わせると、より速く歩けます」ということ。自分の前を歩いている人を選び、彼らに追いつくように心の中で決めて歩いてみてください。

◇ペースを変える

最も激しいペース、適度なペース、リカバリー(回復)ペースのウォーキングを織り交ぜて行います。その後、インターバル前と後に設定したルートでの時間を記録し、それぞれのペースで繰り返します。そうしてそのたびごとに、向上度合いを確認して向上を目指していきます。

余談:
お金持ちほど歩行速度が高い説

「ウォーキング」は健康増進に有効なことは、ご理解できたはずです。その一方で、このような興味深いデータもあります。それは2016年11月に、ドコモ・ヘルスケア*4が発表したものになります。

そこでは、年収別に歩くスピードを算出しています。結果として、年収1000万円以上の人はなんと、「平均年収の人よりも、1.16倍速く歩く」ということ。ちょっと、その倍数も微妙と言えば微妙ですが…データはこう示しています。

この調査は腕に装着するだけで、歩数や消費カロリー、移動時間、睡眠時間、睡眠の深さなどを測定できるドコモ・ヘルスケア製の「ムーヴバンド3」を装着した1229人の記録と年収に関するアンケート結果をもとにしたものです。

調査結果を見ると、無収入の人は平均歩行速度が2.41キロメートル/時で、年収が400万円以上500万円未満の人は平均歩行速度が2.69キロメートル/時間。そして年収が1000万円以上の人は、平均歩行速度が3.13キロメートル/時となっています。

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doda

転職情報サイトおよび転職に関連したサービスを展開する「doda」が、本サイトに登録した約63万人のビジネスパーソン(会社員、サラリーマン)の平均年収データを集計した結果を参照すれば、日本人の全年代における平均年収は414万円*5

この二つの集計結果と照らし合わせれば、「平均的な年収の日本人よりも、年収1000万円以上の人のほうが歩く速度が速い」という仮説が立てられます。あくまでも限られたアンケートからの集計・分析なので仮説にはなりますが、指針にはなるはずです。

前者のドコモ・ヘルスケアによるアンケートには、「早歩きの人はゆっくり歩いている人よりも身体が引き締まっている」というデータもあり、「早歩きや走ることが苦にならない人のほうが、アクティブで前向きに行動する」という調査結果も得ています。

ウォール街
Leland Bobbe//Getty Images
ニューヨークのウォール街。実際、調査した結果はないですが…年収が数百万ドルまでに上るアナリストも少ないないこの街の人々は、やはり歩くスピードが速いイメージです。時折すれ違う、観光客と比べるとなおさらその速さが目立って見えます。

皆さんも、速く歩く人を想像してみてください。「仕事もテキパキと効率よくフィニッシュさせている」光景が浮かんだ人も少なくないはず。ですが、「速く歩けばすぐに年収が上がる」わけでないことも確かではあります…が、少なくとも生活改善の一環として「早足」を心がければ、健康ばかりでなく、さまざまな方面でシャキッとポジティブに対処することができるはず。そうなれば、成功への機運も上がるはずです。

つまりは、「ウィーキング」を侮ってはいけないとうことです。

ちなみに「ジョギング」はどうでしょう。高齢期を前向きに生活するための情報を提供する「健康長寿ネット*6」には、「ジョギングはゆっくりと快適なペースで走ることで、ウォーキングとランニングの間に位置する強度の運動です。ウォーキングでは少し物足りないと感じたり、ランニングはきつくて続かないと感じる場合に、有酸素運動として取り組むのに最適な種目といえます」とのこと。

「ウォーキング」との違いは、片方の足が地面に接しているのが「ウォーキング」であるのに対し、「ジョギング」や「ランニング」は両方の足が宙に浮いている瞬間がある運動になります。そして「ジョギング」と「ランニング」の違いは主に、運動強度によって分けられれます。もし「ウォーキング」では物足りなくなったら、「ジョギング」⇒「ランニング」へと移行するのもいいでしょう。

[脚注]

*1:My Walking CoachのWebサイト

*2:健康関連の情報を提供するポータルサイトHealth.govに掲載されている「Physical Activity Guidelines for Americans」を参照

*3:厚生労働省が発表する「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」を参照

*4:NTT東日本公式サイト内、法人のお客さまページのコラムを参照

*5:doda公式サイト内、「20歳~65歳の平均年収は? 平均年収ランキング(年齢・年代別の年収情報)【最新版】」を参照

*6:長寿科学振興財団 が運営する「健康長寿ネット」の当該ページを参照

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Translation / Yumi Suzuki
Edit / Satomi Tanioka
※この翻訳は抄訳です

From: Men's Health US