体幹の強度を目指すエクササイズ6種目|効果的なインナーマッスルの鍛え方
パソコンなどのデスクワークで前かがみの姿勢を長時間続けていると、背中に悪影響を及ぼす可能性があります。
いわゆる「猫背」による悪影響を、今回再確認しておきましょう。その要因はさまざまですが、そのひとつには背中の広背筋などの筋力の低下があります。特に日本人であるわれわれは、比較的平たい体型で背中やお尻などの後背部の筋肉が少ないほうだとされ、前肩かつ前かがみの姿勢になりやすいのです。
そこでなぜ、「比較的平たい体型で背中やお尻などの後背部の筋肉が少ないほう」なのか? その理由に関しては、「日本人は“農耕民族”なので収穫作業など昔から前かがみの姿勢で作業することが多く、前側の筋肉が強くなりがち。一方で欧米人は“狩猟民族”のため、パワーを出すために体幹を意識して後ろ体重になり、弓矢を引いたりなど背面の筋肉が発達した」というのが通説になっています。これはあくまでも推測の域と言えるもので、科学的な証明はありません。ですが、違和感なく納得できるものではないでしょうか? なので、われわれ日本人こそ、この「猫背」問題には真剣に取り組まなければなりません。
背中と肩を長時間丸めながら過ごしていると、背骨へのストレスが必要以上にかかってしまい体幹(コア)・胸・背中の筋肉を含め可動域が弱くなってしまう可能性があります。さらには胸郭が狭まり、その影響で内臓も圧迫されることも予想できるはず。これによって肺や気管支などの呼吸器・心臓・肝臓・胃などのみぞおち付近の臓器はもちろん、膀胱・子宮などの下腹部付近においても負担がかかってしまうことでしょう。内臓付近に違和感や痛みなどを感じて医師の診断を仰いだとき、その原因の候補として「猫背」かどうかを踏まえて上で診察を行う医師を少なくありません。なので、「猫背」を克服することは、より健康的な生活への第一歩とも言えるのです。
もちろん私たちはすでに、スマホやパソコンを使って1日に何時間も前かがみの姿勢を取ってしまうのが日常化しています。サイクリングを趣味としている人なら、オフの日にもストレスを与えているということになります。なので、日々のルーティンとして「ストレッチ」を行うことで、「猫背」から生じるストレスを軽減するよう心掛けるようにしましょう。
それだけではありません。ここでご紹介するストレッチとともに、特に「デスクワークをするときの座り方」と「スマホを操作するときの姿勢」、そして「寝るときの体勢」に関しては背筋を伸ばすよう実践することも大切。このように両面で実践してこそ、高い効果が期待できるでしょう。
プロトレーナー監修の体幹エクササイズ6種目
体幹(コア)と背筋を鍛えることができる簡単なエクササイズをやることで、悪い姿勢になること自体を防ぐ効果が期待できるのです。
ニューヨークを拠点にするのフィットネスジムの設立者で、ストレングス & コンディショニングスペシャリスト(C.S.C.S.)の認定を受けているトレーナーのノーム・タミール氏が、考案した6つの動きを取り入れたトレーニングメニューを紹介してくれました。
【1種目】フォアアーム(前腕)プランク|効果的なインナーマッスルの鍛え方
- やり方
四つん這(ば)いの状態からスタートして、肘(ひじ)が肩の真下にくるように、左右の前腕を手のひらを下に向けて地面につきます。
体幹コアを使って両足を伸ばし、プランクの姿勢になります。頭からつま先まで身体が一直線になるよう、腰と肩のラインを合わせるようにしてください。
- 時間は? …この姿勢を30秒間維持します。
- なぜ効果があるのか?
「これはアンチエクステンション(抗重力伸展活動)のエクササイズなので体幹を強くし、腰を安定させてくれます」と、タミール氏は解説します。おすすめ関連記事:正しい「プランク」のやり方
【2種目】バードドッグ|効果的なインナーマッスルの鍛え方
- やり方
四つん這いの状態からスタートし、肩の下で手をつき、腰の下で膝(ひざ)をつくようにします。
背中を水平に保ち、腰を安定させて左腕と右足をまっすぐ伸ばし、左腕のひじと右足のひざを互いにひきつけ合い、床の上で浮かせます。
- 回数は? …左右を入れ替えて(右腕と左足)、交互に合計20回繰り返します(片方10回ずつ)。
- なぜ効果があるのか?
「このアンチローテーションエクササイズは、ユニラテラル(左右片方ずつ行う)の動きに重点を置いたものです。私たちの身体は本来不均衡なものなので、左右逆の側を動かすと効果的なのです」と、タミール氏は解説してくれました。おすすめ関連記事:体幹と股関節を鍛える「バードドッグ」|効果的なやり方と注意点
【3種目】デッドバグ|効果的なインナーマッスルの鍛え方
- やり方
床に仰向けになり、肩を床につけた状態で両腕を天井のほうへ伸ばします。ひざを90度の角度に曲げたまま両足を上げます。体幹(コア)を使って左腕と右足を伸ばし、もとの姿勢に戻ります。
- 回数は? …反対側(右腕と左足)でも同じ動きを繰り返し、左右交互に合計20回やります(片方10回ずつ)。
- なぜ効果があるのか?
「これは腹横筋を鍛えるのに効果が期待できるエクササイズで、コア深部の筋肉が強くなるほどパフォーマンスも強力になります」と、タミール氏は説明します。おすすめ関連記事:腰への負担が軽減できる、おすすめの腹筋トレーニング「デッドバグ」
【4種目】グルートブリッジ|効果的なインナーマッスルの鍛え方
- やり方
床に仰向けになり、膝(ひざ)を曲げて足の裏を床につけます。かかとに力を入れ、臀筋を絞るようにして腰を天井に向けて突き上げます。身体が肩から膝まで一直線になるようにしましょう 。
- 回数は? …腰を下ろして、同じ動作を15回繰り返します。
- なぜ効果があるのか?
「この動きは腰をニュートラルな位置に保ち、姿勢をよくするのに役立つ臀筋を強くすることに重点を置いています」と、タミール氏は言います。おすすめ関連記事:可動性を高め肩の痛み予防を目指す「クラブリーチ」と、臀筋を鍛える「グルートブリッジ」の合わせ技
【5種目】ハーフニーリング(片ひざ立ち)・アンチローテーション・アイソメトリック・ホールド|効果的なインナーマッスルの鍛え方
- やり方
固定したケーブルかエクササイズバンドが身体の右側にある状態で、左ひざを90度に曲げて前に出し、後ろの右ひざを90度に曲げて床につけた90-90ポジションからスタートします。
身体を右に回転させてバンドを両手で握り、身体を左に回転させながら、バンドを握った両手を胸の前へ持ってきます。
- 回数は? …身体の正面で両腕をまっすぐ前に伸ばし、その姿勢を30秒間保持してから、また両手を胸の前に戻します。バンドの左側に移動して最初から繰り返します。
- なぜ効果があるのか?
「これもユニラテラル(左右片方ずつ行う)のエクササイズです。回転する動きに抵抗を加えることで、斜筋、臀筋、肩で身体を安定させることができます」と、タミール氏は説明します。
【6種目】ファーマーズキャリー|効果的なインナーマッスルの鍛え方
動画まとめ
動画で一連の流れを確認してみましょう。