「デジタル時代において、時計の伝統的な目的はある意味無用なものとなってしまった」とは思いませんか? というのも、iPhoneやコンピューターの画面はいつでも正確な時間を教えてくれるのですから。

「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙に掲載された記事によれば、時計コレクターの間では最近、時刻を告げるという時計の機能を完全に度外視して、その役割を果たすことさえない時計を身につけることがトレンドになっているそうです。

これは、「ステートメントピース」とも呼ぶべきものでしょうか。この記事を書いたコラムニストのジェイコブ・ギャラガー氏によれば、このようなスタイルのみを重視する傾向は、ファッションに精通した人々の間で強まっているそうです。

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『007 スペクター』でダニエル・クレイグが身につけた「オメガ シーマスター 300」。

つまり、時計への純粋主義者は減り、シンプルに「カルティエ」や「ロレックス」といったブランドの腕時計を欲しがる人が増えているというわけです。

とはいえ、誰も彼らを非難することはできないでしょう。スイスの高級ビンテージウォッチなど、なかなか見つかるものでもありません。さらに売値が高いだけではなく、整備にかかるお金も安くはありませんから…。こういった時計の場合、ショールームで新品を購入しても、その後、長きにわたってメンテナンス費用が必要ですし。

正確な時刻を示さない時計を身につけるということは、ある種「論理への侮辱」とも言えるでしょう。とはいえ、1980年代製の「オメガ シーマスター」を使っているような人々も、やっていることは同じかもしれません。潜ってないのですから。

デジタル化は時計業界にも、大きな影響を与えていることは事実です。

Source / ESQUIRE UK
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。