2020年1月6日(現地時間)、米国カリフォルニア州ロサンゼルスにあるビバリーヒルズホテルで開催された第77回ゴールデン・グローブ賞授賞式。そのセレモニーでは、ダニエル・クレイグはいつになくタイトなタキシードを着こなし、レッドカーペットへ登場しました。

 この名優は今では自身の代名詞とも言える映画「007」シリーズ最新作に、「もはや出演することはない」といった口ぶりで、ボンド役の卒業を匂わせていた時期もありました。が結局、もう1作出演することを決めたのでした。

 その「007」シリーズ最新作であり、クレイグにとって最後の作品となる『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が、2020年4月公開目前となったタイミングでもあってか、多くのメディアが彼の登場を心待ちにしていました。

 しかしながら、今回この場所にクレイグが登場したのは映画『Knives Out(ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密)』(2019年11月公開/日本では2020年1月31日公開)で、主演男優賞(コメディ/ミュージカル部門)にノミネートされたため…ということは忘れずにおきましょう…。

77th Annual Golden Globe Awards - Arrivals
Daniele Venturelli//Getty Images

 この日、彼が着こなしたダブルブレスのタキシードは、ロンドンの老舗アンダーソン&シェパードで仕立てたもの。セレモニーのドレスコードに合わせたブラックのボウタイと相まって、まさにゴールデングローブ賞…つまりは「地球・世界的に素晴らしい絶好の賞」にふさわしいスタイルを見事にこなしていたのでした。

 まさに、秘密エージェントを地で行っているかのようです。「男たるもの、こういう場ではこんなスタイルで…」の理想の答えがここにあります。

 しかし、批評家の中には、こんなことを囁くものもいました…。「この日の主役は、クレイグ自身でも彼の着こなすタキシードスタイルでもない…。真の主役は彼の手首に輝く腕時計だ」と。

 おそらくそれは、映画ファンの中でも腕時計フリークである者たちによる噂であることは間違いないでしょう。ですが、そのときのクレイグの写真を見直してみれば、件の時計フリークたちがおっしゃる言葉もまんざらでもないことが確認できるのでした…。

77th Annual Golden Globe Awards - Arrivals
Daniele Venturelli//Getty Images

 ご覧ください。クレイグがブラックのタキシードスタイルに合わせているのは、あのオメガ「シーマスター」ではありません。大方の予想は、最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でジェームズ・ボンドが着用する007エディションのオメガ「ダイバー300M」だったことでしょう。

 ですがこの日、クレイグはクローゼットから艶やかな輝きを放つタイムピースを選んだもようです。彼が選んだのは、現在は廃盤となっているオメガ「スピ―ドマスター DAY‑DATE」(ref.323.50.40.44.01.001)

 直径は40ミリでケース&ブレスレットともに18Kピンクゴールド製の、曜日・日付・月表示付きのトリプルカレンダー。さらに44時間のパワーリザーブを備えた自動巻きクロノグラフムーブメント(cal.3606)が収められています。

 黒い文字盤に、反射防止層が付いた傷に強いサファイアガラスの風防。防水性能は100m防水と…稀少性あふれるモデルなのです。

 こちらの時計の詳細は現在も、オメガのグローバル公式ウェブサイトで確認できます。が、先ほども述べているように、現在オメガでの販売は終了しています。もちろん、オンライン上でこのモデルを探すことは可能です。が、その価格はどれも2万ドルを超えるものが多い上に、「Sold out」の表示ばかりが目立ちます。  

 そのことを確認した後になると、ますますこの日クレイグの腕もとで輝いていたオメガ「スポ―ドマスター DAY‑DATE」こそが、この日の真の主役であったことが再確認できるでしょう。特に、時計フリークの皆さんにとっては…の話になりますが…。

 そしてきっと、このモデルが入手困難であることを知ったファンたちは、その欲望の照準を新たな007エディションであるオメガ「ダイバー300M」へとスライドさせることでしょう。

 ならばこれも、入手困難になる前に早く手を打たなくてはなりませんね。

Source / ESQUIRE NL