軽量でバランスに優れ、信頼性と遊び心を兼ね備えたクルマをお探しの方に、ぜひ選択肢に加えていただきたい3車種をご紹介します。

 マツダ「ミアータ ND2(日本名:ロードスター)」、ホンダ「S2000」、トヨタ「86」(=スバル「BRZ」:トヨタ「86」はトヨタがスバルと共同開発したスポーツカー。スバルブランドから兄弟車のスバル「BRZ」として販売されています)こそ、その3台です。

 いずれも比較的手頃な販売価格でありながら、サーキット走行に対応した高性能を誇り、購入後のサポート体制も非常に充実しています。唯一の問題としては…、「この3台のうち、どのクルマを選ぶべきか?」とかなり悩んでしまう点となります。

 果たしてこの3台の中で、最高の1台と呼ぶべきモデルはどれでしょうか? YouTubeチャンネル「SavageGeese(サベージ・ギース)」が独自に行ったテスト結果から判断される勝者を、ここで観てみましょう。

savagegeese
savagegeese//YouTube

 この動画では、サーキットにおける走行性能、バランス、メカニカルな能力、乗り心地、インテリアのクオリティーなど、3車種を評価するための比較テストが行われています。40分にも及ぶ動画の中で、3台のクルマの個性が詳しく解析され、充実した情報に基いた評価が示されています。

 そして動画の最後では、「SavageGeese」の選ぶ究極の1台が選ばれています。どのクルマがその栄冠を勝ち得たのでしょうか? 以下の記事では、いきなりネタバレしていますので、スリルを楽しみながら結末を知りたい…という方は、先に動画をご覧いただくことをおすすめします。ちなみに結果は、米国版「Road & Track」編集部の予想を裏切るものでした。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
S2000 vs Toyota 86 BRZ vs Miata ND2 | Who Will Lose?
S2000 vs Toyota 86 BRZ vs Miata ND2 | Who Will Lose? thumnail
Watch onWatch on YouTube

トヨタ「86」が3位という評価に…

toyota 86
savagegeese//YouTube

 残念ながらこの動画の中では、トヨタ「86」は最下位という結果になりました。快適な車内空間とバランスに優れたシャシーを備えてはいるものの、「ミアータ ND2」「S2000」と比べると、どうしても特別さに欠けてしまうのがこの“トヨバル”(共同開発パートナーである「トヨタ」と「スバル」を掛け合わせた愛称=Toyobaru)という結論になったわけです。

 また、対抗馬となる他の2台と比べると、血の気が引くようなパワーバンド(エンジンが最も効率良く力を発揮できる回転域)を持ち合わせているわけではありませんでした。さらに、パワーを最大限に引き出したところで、驚愕(きょうがく)するほどの実感を得るには至らなかったということ…。トルクの谷間が大きいため、ギアを上げながら体感したい興奮が得られにくいという感覚だったようです。

 とは言え、このトヨタ「86」(=スバル「BRZ」)が素晴らしい1台であることに疑いの余地はありません。ただ実際に乗り比べたときに、「ミアータ ND2」よりも楽しいかと言えば、残念ながら少し疑問符がつく…といったことのようです。

予想外だったマツダ「ミアータ ND2」の2位

miata nd2
savagegeese//YouTube

 実は筆者自身(この記事を書いた、マック・ホーガン氏)もずっと、「『S2000』は、歴代のどの『ミアータ ND2』よりも優れている」と主張する立場でいました。実際にサーキットで「ミアータ ND2」に乗ってみるまでは、そう信じていたのです。

 しかし「ミアータ ND2」をサーキットで走らせてみた結果、筆者がこの5月に購入した「S2000」の神経質な乗り心地に比べ、「ミアータ ND2」のほうが公道においてもサーキットにおいても優れた反応を示しました。より雄弁で、よりパワフルであることを感じざるを得なかったのです。

 「S2000」が最高のパフォーマンスを発揮する瞬間の性能は、「ミアータ ND2」よりも高い次元にあることは確かです。しかし、「ミアータ ND2」の親しみやく情熱的な個性がその最大出力と噛み合った瞬間の魅力は、まさにマニア心をくすぐる1台と呼ぶにふさわしいものなのです。

 しかし、しかし…「SavageGeese」の視点は、私の視点とは少々異なっていたようです。

 彼らが挙げている第一の理由は、客観的に「ミアータ ND2」が「S2000」と比べて“実用性で劣る”という評価だったのです。収納スペースは「S2000」より少なく、脱着式カップホルダーは正直なところ、使い勝手もそれほど良いものではないということ。

 確かに、その点においては「S2000」にやや軍配が上がるとも言えます。

 ですが、2シーターのスポーツカーを購入しようとする方が、日常生活における実用性をどれほど重要視するというのでしょうか? この種の比較検討での評価基準というのなのら、そこにはないような気もします。それに、内装および乗り心地の良さという点において、「ミアータ ND2」のほうが実用的で優れたクルマであると、(あくまでも筆者は)感じていますし…。

僅差で「S2000」が1位という結果に

honda s2000
savagegeese//YouTube

 もちろん、「S2000」もまたサーキットを走るのに最高のクルマであることに疑いを挟む余地はありません。筆者の「S2000」は、まだレース用のサーキットを走ったことはありませんが、ライム・ロック・パーク(コネチカット州ソールズベリー、レイクヴィルにある自然の地形を生かして設計されたサーキット)のオートクロス・コースにおいてはバランス良く、正確で、かつ限界に達してなお、非常に優れたコントロール性能を発揮してくれました。

 とにかく、あらゆる意味において見落してはいけないクルマが、「ミアータ ND2」と「S2000」であることに間違いはありません。筆者がこれまで乗ってきた数々のクルマの中でも、「ミアータ ND2」と「S2000」は最高峰と呼ぶにふさわしいクルマであり、数千万円クラスのスポーツカーと比べても、その魅力には全く遜色がないと言ってよいでしょう。昨今、クルママニア向けにつくられている多くのモデルを遥かに凌駕(りょうが)していると言えるのです。

 いまスポーツカーの購入をお考えなら、この2台に加えて、より実用的なトヨタ「86」(スバル「BRZ」)も候補にぜひ加えてみてください。それらを比較検討しているうちに、きっと気づくはずです。この時代に生まれたことの喜びを。手頃な価格で、最高のパフォーマンスを手にすることのできる時代に…。

From Road & Track 
Translation / Kazuki Kimura 
※この翻訳は抄訳です。