英国出身のF1ドライバー、ランド・ノリスとのビデオチャットがつながると、どうやらそこは車の運転席、まさに完璧なロケーションです。とは言え、あの特注のマクラーレンでもなければ、グランプリのサーキットでもありません。なんと、オフの日のランド・ノリスが取材に応じてくれることになったのです。ハンドルを握る彼に聞きたいことなんて、山ほどあります。

世界最高峰のフォーミュラーカーのレースを戦うノリスですが、その実像はかなりクールな23歳の若者です。「僕のクローゼットの中身? パーカだらけですよ」とノリスはおどけます。「うまく説明はできないんですが、着心地がいいのと、あと目立たずに済みますからね。だから普段はパーカばかり。特にこだわりはないんですよね」

ランド・ノリス(f1ドライバー)
wearegrip
ランド・ノリス(f1ドライバー)
wearegrip

TUMIの最新キャンペーンのノリスは、「旅」と「レース」という彼の最も愛する二つのアイテムを、さりげなくもスタイリッシュに表現しています。

「僕にとってすべての始まりと言えばマクラーレンですし、TUMIと言えばマクラーレンのパートナーです。そのパートナーシップを、何かもっとパーソナルなものとして表現したいと思ったんです」とノリス。「デザインとか、クリエイティブなことが大好きなんです。僕自身は特にファッショナブルな人間ではありませんが、ファッションに興味がないわけではありません。だから今回はチャンスだと思って、いろいろ盛り込んでみたんです」

ところでノリスには、知る人ぞ知る、「第3の世界」とでも呼ぶべき領域があります。レースと旅の、その向こう側にある、いわば「ノリス・ワールド」とでも呼ぶべき領域です。F1ドライバーから直接その舞台裏について聞ける機会など、めったにありません。靴へのこだわりや、レース前に欠かさない習慣、フォーミュラーカーのシートに座ることの意味について、ノリスに語ってもらいました。それでは行ってみましょう。

- - - - - - - - - - - - - -

三つの世界

僕のスタイルについて言えば、そこには三つの異なる側面があると思っています。

まず快適さ。旅先でとにかく重要なのは快適であることですよね。なので、ファッションにこだわるというより、そのまま横になれる服装を選ぶことが多いです。F1ドライバーは旅から旅の生活ですから、見た目を気にし過ぎるのも面倒です。自分らしく、なるべく気楽に旅したいですね。最高のパフォーマンスを目指さなければなりませんから、睡眠がとにかく重要です。だから快適であることが、僕にとってはなにより大切なのです。

ランド・ノリス(f1ドライバー)
wearegrip

もちろんレースは仕事です。マクラーレンの一員としてサーキットに向かう際には、着るものだって指示されます。いつでも好きな格好をできるというわけではありません。でも、友人たちとの旅行はまた別です。特におしゃれを意識しているとは言えませんが、靴にはこだわりがありますね。たいてい10足から12足ほど、履き心地の良い靴を荷物に入れるようにしています。「持ち過ぎじゃね?」って笑われますよ(笑)。仕事の世界、快適な世界、楽しい世界、僕はこの三つの異なる世界を生きています。クラシックな装いに合わせるなら、ゼニアのスニーカーです。「トリプルステッチ」はおそらく全色持っていますね。仕事の現場でも、それ以外の場所でも文句なしです。

instagramView full post on Instagram

美意識と冒険心

レースの現場にTUMIのバッグやスーツケースを持ち込むことで、大好きな旅とレースを同時に楽しめるのはすてきなことです。TUMIの人々との仕事もまた、素晴らしい経験です。レーサーとしてのスタイルやパフォーマンス、そして美意識にはカーボンファイバーなどの軽量素材がよく合いますし、そこが何より気に入っています。

ランド・ノリス(f1ドライバー)
wearegrip

自分なりの創造性と遊び心を盛り込むのも楽しいですよ。手を加えるのは大好きで、使いながら気づいた点など、バッグの改良に役立ててもらえるのがうれしいです。そうして仕上がったバッグやケースに、とても満足しています。

譲れないこだわり

レースに挑む前に、必ず二つのことを徹底します。

レースの週末には絶対に同じ食事、同じ飲み物と決めています。食の好みは変わらないので、メニューは自(おの)ずと決まります。気になる人がいるかもしれないので打ち明けますが、「テリヤキチキンライス」と「水」です。

それから、日曜日のレース前にはチームのメカニック全員と拳を合わせるのが習慣になっています。とにかく、これをしないと始まりません。そのための時間は、無理をしてでも確保するようにしています。他のドライバーはやらないでしょうね。でも僕は、とにかくチームプレーヤーであることを大切にしたいんです。

ランド・ノリス(f1ドライバー)
wearegrip

ピットストップはチームワークのたまものですし、レース中はチームが一丸となって万全の管理体制を敷くわけです。というわけで、以上二つがランド・ノリスがレース前には欠かせない習慣です。どちらかでも欠けると、精神的にちょっとパニックになり、どうしたらいいかわからなくなってしまうこともあるほどです。

アティテュード

僕の性格ですか? 地に足の着いた、普通の人間だと思っています。立場とか役割は関係ありません。人間として最も重要なのは、優しさと敬意です。他の人々を見る際には、そのアティテュードの持ち主かどうかが気になります。相手を好きになるかならないかは、そこに大きく関わってきます。優しさと敬意とを備えた人とは仲良くなれますし、良い関係性が生まれます。

誇るべき瞬間

自分の立場は、とてつもない幸運のうえに成り立っています。そのことを常に忘れないようにしています。そして同時に、ものすごく難しいチャレンジに打ち克つことを目指しています。つまり、表彰台に立つことですね。

ランド・ノリス(f1ドライバー)
TUMI

まだF1での優勝経験はありませんから、次の目標は表彰台のセンターです。そこに立てる人間は、世界中に何人もいません。自分がその可能性のある数少ない人間の一人であることを自覚し、努力と時間を惜しまずに、目標のためにあらゆる犠牲を厭(いと)わない覚悟で挑んでいます。それが僕にとっての幸せであり、誇りです。

Source / Esquire US
Translation / Kazuki Kimura
Edit / Ryutaro Hayashi
※この翻訳は抄訳です