全長約230センチ、車幅約140センチという、かわいらしい“てんとう虫”のような車ですが、その最高速度はなんと時速53マイル(約85km/h)。1955年から1962年にかけて、あのBMWが製造していたイタリアンデザインのマイクロカー「イセッタ」をご存じでしょうか? 1955年にイタリアのイソ社の手によって誕生した小型車で、前側ドアから乗り降りするという独創的なデザイン。第2次大戦後に、BMWがライセンスを購入して生産していました。

参考動画:カスタマイズされていないBMW「イセッタ」
これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
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”珍車”をさらに大胆にカスタマイズ

その「イセッタ」が大胆な変身を遂げ、2台そろって「ホットウィール・レジェンドツアー」のファイナリスト入りを果たすという快挙を成し遂げています。まずは「ホットウィール(Hot Wheel)」とは何かを説明すると、1968年に販売が開始され世界中の子どもたちに親しまれてきたミニカーブランドのこと。つまり「ホットウィール・レジェンドツアー」とは、2018年にホットウィールの発売50周年記念企画としてスタートしたカスタムカーの祭典であり、日本国内でも2021年から開催されています。

いずれもかわいらしいグリーンのボディですが、1台にはハーレーダビッドソンのエンジンが積まれており、もう1台はフラットベッド(※編集注:側面と屋根部分がない平台型の荷台を持つトラックおよびトレーラーのこと)のトラック仕様となっています。

作者はPaper to Pavement(ペーパー・トゥ・ペイヴメント)という工房を構える自動車内装の専門家で、YouTuberとしての顔も持つマイキー・ブラウンさんです。ハーレーのエンジンを積んだ1台を「Big Dill(ビッグ・ディル」、フラッドベッド仕様の車両を「The Pickle Jar(ピクルス容器)」と名づけています。ブラウンさんはキュウリのピクルスが大好物なようで…。ちなみに「ディル」とは、キュウリのピクルスに欠かせないハーブのことで「ディルピクルス」とも言われています。

この2台の「イセッタ」は現在、アリゾナ州フェニックスで開催中の「ホットウィール・レジェンドツアー」のファイナリスト入りを果たし、優勝を目指して奮闘中です。

ただし、そのためには口うるさい審査員たちの厳しい審査を勝ち抜く必要があります。「独創性」「正統性」「ガレージスピリット」という基準を最も高く満たした車が、その栄冠を手にすることになるのです。