2022年に開催予定の、おすすめの美術展&展覧会15|東京、京都、金沢など日本全国版
旅行が難しい今だからこそ、これまで海外でしか見ることができなかった作品を、日本で観ることができる貴重な機会をぜひともお楽しみください。
2022年は傑作・名作が堪能できる、うれしい1年になりそうです。
大阪に続いて、いよいよ東京で開催されるメトロポリタン美術館展をはじめ、ドレスデン国立古典絵画館のオランダ絵画など、見逃せない初来日作品が続々公開されます。また、オープン記念や開館周年記念などで企画される特別展も印象的なものばかり。
500年を遡(さかのぼ)る西洋絵画から現代アートまで、作家たちが渾身の力を込めてつくり上げた世界に向き合えば、観る私たちもきっと力をもらえるはず。
※新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、会期および開館時間、内容などが変更になる場合があります。最新情報をご確認のうえ、お出かけください。
「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」
2022年1月16日まで、大阪市立美術館で開催されている「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」が、いよいよ東京へ。
世界三大美術館のひとつ、アメリカ・メトロポリタン美術館が所蔵する膨大な作品の中から、ルネサンスから19世紀ポスト印象派までの巨匠たちの名画65点が来日。西洋絵画史を彩った珠玉の作品群が、ここに勢ぞろいすることになります。
フラ・アンジェリコ、ラファエロ、クラーナハ、ティツィアーノから、カラヴァッジョ、レンブラント、フェルメール、ベラスケス、そしてゴヤ、ターナー、マネ、ドガ、ゴーギャン、ゴッホ…、西洋絵画の500年を語る作品のうち46点が日本初公開です。
♢概要
会期/2022年2月9日(水)~同年5月30日(月)
会場/東京・国立新美術館
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
※画像写真の無断転載を禁じます。
「ゲルハルト・リヒター展」
現代アートの巨匠ゲルハルト・リヒター。彼が90歳を迎える2022年、大規模個展が東京と愛知で開催されます。
具象・抽象絵画、写真やその上に描かれた作品、ガラスや鏡を用いたもの、さらに映像など、多岐にわたる表現方法で活動してきたリヒターの、60年にわたる画業をひも解くことになります。
注目は日本初公開となる、近年の重要作品《ビルケナウ》(2014年)。第二次世界大戦時、ユダヤ人強制収容所でひそかに撮られた写真のイメージを出発点として描かれた、幅2メートル × 高さ2.6メートルの作品4点で構成される巨大な抽象画です。
2022年6月の東京展に続いて同年10月15日からは、愛知での開催も予定されています。
♢概要
会期/2022年6月7日(火)~同年10月2日(日)
会場/東京・東京国立近代美術館
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
日本で最も人気の高い画家のひとり、フェルメール。寡作(制作数が少ないこと)の画家としても知られている彼のドレスデン国立古典絵画館から上陸する作品は、ファンならずとも観ておきたい特別な作品です。
ポスターにも起用されている、中でも有名な初期の傑作《窓辺で手紙を読む女》。実はこの作品の背景には、キューピッドの画中画が描かれていました。しかしながら誰かの手によって、それが塗りつぶされていたのだとか…。
そこで2017年から修復プロジェクトが開始され、それが2021年に終了。《窓辺で手紙を読む女》がキューピッドの描かれた当初の姿でよみがり、世界に先駆けて日本公開となります。
他にも、ドレスデン国立古典絵画館に所蔵されているザクセン選帝侯のコレクションの中から、17世紀オランダ絵画全盛期を彩るレンブラントやメツーなどの作品約70点を展示。東京展の後は、北海道・大阪・宮城へと巡回予定となっています。
♢概要
会期/2022年1月22日(土)〜同年4月3日(日) ※開幕日が延期となりました。
会場/東京・東京都美術館
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
「ミロ展―日本を夢みて」
近年、パリで回顧展が開催されるなど、改めて注目を集めている芸術家ジュアン・ミロ。日本でも20年ぶりとなる、大規模な回顧展が2022年2月から開催されます。
スペイン、バルセロナ生まれのミロは、シュルレアリスムを足掛かりとし独自の作品世界を築き上げました。ですが実は、創作活動の裏側に日本文化への深い造詣があったそうで…。日本への憧れを象徴する初期作品から、日本で初めて紹介された作品、さらにミロ本人のアトリエにあった日本の民芸品、批評家の瀧口修造との交流を示す多彩な資料まで、ミロと日本のつながりをひも解く展覧会となります。
♢概要
会期/2022年2月11日(金・祝)~同年4月17日(日)
会場/東京・Bunkamura ザ・ミュージアム
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
京都市京セラ美術館開館1周年記念展「森村泰昌:ワタシの迷宮劇場」
公立美術館として日本で現存する最も古い建築に、現代的なデザインの息吹が加わり、生まれ変わったのが1年前のこと。
開館1周年記念展に向けて、現代美術家・森村泰昌は「本展は、コロナの時代の閉塞した環境だからこそ見えてきた、なにが大切なのかという問いがテーマです。私にとって、そしてあなたにとって大切な宝物は何? 展覧会を通して捜しあてられたらいいなと思っています」と語っています。
名画の登場人物や歴史上の人物、女優に扮するセルフポートレートを制作し、ジェンダーや個人のアイデンティティの多重性を視覚化してきた森村。今回は、1985年から撮りためている秘蔵のインスタント写真も初公開されます。
♢概要
会期/2022年3月12日(土)~同年6月5日(日)
会場/京都・京都市京セラ美術館
問い合わせ先
TEL 075-771-4334
「めぐるアール・ヌーヴォー展 モードのなかの日本工芸とデザイン」
19世紀後半、浮世絵や工芸品などの日本美術は「ジャポニスム」として流行し、西洋に大きな衝撃を与えました。中でもアール・ヌーヴォー(新しい芸術)の誕生に、大きな影響を与えたことは有名です。
その一方で日本人にとってアール・ヌーヴォーは、文字通り最先端の芸術運動を意味するとともに、西洋の新たな様式とその流行の元にもなったのです。このようにアール・ヌーヴォーは、自らの姿を映しだす鏡のようなものだったのです。
そんなわけで、この展覧会のタイトルも「めぐるアール・ヌーヴォー」となってのでしょう。約150点の作品を通して、この東洋と西洋の「美の循環」を体感できるというわけです。
アルフォンス・ミュシャ、エミール・ガレ、ルネ・ラリックなどの代表的な作家と共に、アール・ヌーヴォーに素早く反応したことがうかがえる初代宮川香山や、二代横山彌左衛門らの作品も展示。また、図案家の杉浦非水や神坂雪佳の作品にも着目し、工芸からデザインまで、多様なアール・ヌーヴォーの世界を紹介しています。
♢概要
会期/~2022年3月21日(月・祝)
会場/金沢・国立工芸館
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
大阪中之島美術館 開館記念「Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―」
約40年の準備期間を経て、ついに2022年2月2日にオープンする大阪中之島美術館。「19世紀後半から現代までの美術作品を核としながら、収蔵作品は6000点を超える」と言います。
オープニングは、その収蔵作品の中から代表的な作品約400点を選び、作品にまつわる99の物語もあわせて紹介するというもの。佐伯祐三、マリー・ローランサン、ロートレック、ルネ・マグリット、モディリアーニ、倉俣史朗らの作品が、より身近に感じられる仕掛けとなっています。
2022年4月は開館記念特別展「モディリアーニ ─愛と創作に捧げた35年─」、7月には「展覧会 岡本太郎」と目玉の展覧会が予定されています。
♢概要
会期/2022年2月2日(水)~同年3月21日(月・祝)
会場/大阪・大阪中之島美術館
問い合わせ先
TEL 06-6479-0550
ポーラ美術館開館20周年記念展「モネからリヒターへ―新収蔵作品を中心に」
箱根の森に抱かれるように建つポーラ美術館は、2022年で開館20周年を迎えます。これを記念して、ポーラ創業家二代目鈴木常司が収集してきたコレクションと、近年、新しく収蔵された作品を一挙公開という、開館以来最大規模の大型企画が予定されています。
「光」をテーマにした作品群は、館内だけでなく、アトリウムギャラリー、森の遊歩道へと続いて100点以上が展示されるということ。
人気のクロード・モネやルノワール、マティス、岸田劉生、佐伯祐三、レオナール・フジタから、山口長男、白髪一雄、ゲルハルト・リヒター、アニッシュ・カプーア、杉本博司など、近・現代作家たちの作品も充実します。
♢概要
会期/2022年4月9日(土)~同年9月6日(火)
会場/箱根・ポーラ美術館
問い合わせ先
TEL 0460-84-2111
「ガブリエル・シャネル展―Manifeste de mode(仮)」
日本では32年ぶりとなる「CHANEL(シャネル)」の仕事に焦点を当てた回顧展が、2022年6月に予定されています。ガリエラ宮パリ市立モード美術館で開催された「Gabrielle Chanel. Manifeste de mode 展」を再構成する国際巡回展となります。
シャネルのファッション哲学を体現するツイードのスーツ、リトル・ブラック・ドレスなどをはじめとし、コスチューム・ジュエリーやN°5の香水などといった展示に、当時の記録映像が加わる展覧会となります。
♢概要
会期/2022年6月18日(土)~同年9月25日(日)(予定)
会場/三菱一号館美術館
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」展
20世紀最大の芸術運動「シュルレアリスム」と「モード」との関連を問いかける展覧会です。
20世紀の「モード」に最も影響を与えたデザイナーのひとり、エルザ・ スキャパレッリはシュルレアリストの芸術家ダリらとの親交も深く、ファッションとアートを融合させ、前衛芸術「シュルレアリスム」を自身のデザインに取り入れていきました。
トロンプ・ルイユ(だまし絵)や、内側と外側の意識を反転させたようなデザインなど、シュルレアリスムを契機としたユニークな発想力は、まさに「奇想のモード」です。
現代の私たちから見た<奇想>をテーマに、スキャパレッリの《イヴニング・ケープ》、ハリー・ゴードンの《ポスター・ドレス》、マルタン・マルジェラの額縁を首にかけてまとう《ネックレス》、レディ・ガガが着目した舘鼻則孝(たてはな のりたか)や串野真也(くしの まさや)のシューズなど、シュルレアリスムがモードに与えた影響とともに、「まとう」美の自由と可能性が味わえるでしょう。
♢概要
会期/2022年1月15日(土)~同年4月10日(日)
会場/東京・東京都庭園美術館
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
「バンクシー展 天才か反逆者か」
モスクワ、マドリード、香港、ニューヨーク、LA、日本各都市など累計300万人以上を動員してきた展覧会が、2021年末より東京でも開催中となっています。
社会風刺を込めたグラフィティアートや、ストリートアートで強いメッセージを発信。しかもその正体は謎…。さまざまな意味でいま最も注目を集めるアーティスト、バンクシーのコレクター所有作を中心とした貴重な70点あまりが集結しています。
警察のヘルメットと650個の小さな鏡を組み合わせたミラーボール型の立体作品《メット・ボール》や、アンディ・ウォホール作品《マリリン》からインスピレーションを得た《ケイト・モス》など、コレクター所有の貴重な作品を観ることができます。
♢概要
会期/~2022年3月8日(火) ※2月24日(木)休館
会場/東京・WITH HARAJUKU
「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」
好評の「アナザーエナジー展」に続いて、森美術館で開催を予定されているのが現代アートで注目を集めるアーティスト集団Chim↑Pomの大規模個展です。
2005年に結成されたこのグループのメンバーは、卯城竜太、林靖高、エリイ、岡田将孝、稲岡 求、水野俊紀の6人。独創的なアイデアと卓越した行動力で、数々のユニークなプロジェクトを手掛け注目を集めています。
今回は初期から近年までの代表作と、本展のための新作を一堂に集めて紹介。結成17年目を迎えるChim↑Pomの全貌を検証する世界初の試みとなります。
♢概要
会期/2022年2月18日(金)~同年5月29日(日)
会場/東京・森美術館
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
Chim↑Pom 《ブラック・オブ・デス》 2008年 ラムダプリント、ビデオ 写真:81×117.5 cm、ビデオ:9分13秒 Courtesy: ANOMALY and MUJIN-TO Production(東京)
特別展「宝石 地球がうみだすキセキ」
古くは魔除けやお守りとして、また、王女たちを彩るティアラから私たちの指先を飾る宝飾品として、長きにわたって人々を魅了し続ける宝石。
今回の特別展は、地球の奇跡が生み出した原石が、人の手を経てジュエリーになるまでのストーリーを科学的・文化的にアプローチし、宝石のすべてがわかる展覧会となります。
世界最大級の巨大な宝石やアルビオン アートコレクション所蔵のメソポタミアや古代エジプトでつくられた作品、さらにヴァン クリーフ& アーペル、ギメル、ミキモトなどの豪華絢爛なジュエリーまでを紹介します。
♢概要
会期/2022年2月19日(土)~同年6月19日(日)
会場/東京・国立科学博物館
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
※展示内容は変更になる場合もあります。あらかじめご了承下さい。
特別展「空也上人と六波羅蜜寺」
2022年は、平安京でまん延した伝染病を鎮めるために「南無阿弥陀仏」と念仏をとなえ民衆に尽くした空也上人の没後1050年となる年です。そこで、空也上人が開いた京都・六波羅蜜寺(創建時は西光寺と称した)に伝わった仏像の特別展が開催されます。
見どころのひとつは、東京では半世紀ぶりの公開という重要文化財 空也上人立像。運慶の四男康勝による、口から6体の阿弥陀仏が出た造形は仏像ファンにも人気が高いもののひとつ。
六波羅蜜寺では正面からのみの拝観できますが、今回の展覧会では360度全方向から観覧可能となるそうです。
♢概要
会期/2022年3月1日(火)~同年5月8日(日)
会場/東京・東京国立博物館 本館特別5室
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」
創立150周年という節目を迎える2022年、東京国立博物館では特別な企画が目白押しです。中でも注目なのが、2022年秋に予定されている特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」です。
150年の歴史上初めて、所蔵する国宝89件すべての展示(会期中展示替えあり)が実現するということ。
長谷川等伯《松林図屛風》、狩野永徳《檜図屛風》、尾形光琳《八橋蒔絵螺鈿硯箱》など…一度はその名を耳にしたことのある名品と対面できる、絶好の機会となります。
日本美術を代表する名品の数々はもちろんのこと、日本近代化の流れを反映した博物館の活動や日本文化の海外への発信、文化財保護や活用の取り組みなど、日本最古にして最大の博物館である東京国立博物館の歴史が、多面的に見えてくる展覧会となります。
♢概要
会期/2022年10月18日(火)~12月11日(日)
会場/東京・東京国立博物館 平成館(上野公園)
問い合わせ先
TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)