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「複雑化する世界がよくわかる」大人こそ読むべき、子どものための本15選
ウクライナのこともSDGsも、子どもの本を通して見れば心に真っすぐ届くはずです。
気候変動にパンデミック、そして戦争…と、世界は100年に一度ともいわれる大転換期。これまでの知識や価値観だけでは通用しなくなってきた現在、子どものように頭も心もやわらかく、そして強くありたいもの。
毎年4月2日は、「国際子どもの本の日」。これは子どもの本を通しての国際理解を深めるために、「人魚姫」や「マッチ売りの少女」などの童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンの誕生日に定められました。
詩人 谷川俊太郎さんやまど・みちおさんが紡ぐ平和へのメッセージから、池上彰さんが監修した仕事やSDGsについての解説まで、大人も読んでおきたい子どもの本をいくつかまとめてご紹介します。
「戦争が終わって平和になるんじゃない 平和な毎日に戦争が侵入してくるんだ」
悲しいことに、詩人 谷川俊太郎さんのこの言葉が現実となった今。「へいわのワタシ」「せんそうのワタシ」など、人物や物、場所を「へいわ」と「せんそう」と見開きごとに対比した絵本です。
最後の数ページだけ、「みかた」も「てき」も同じ「え」が描かれていることに、強いメッセージを受け取ります。戦争を起こすのは子どもではなく大人、だからこそ大人に読んでほしい1冊です。
たにかわしゅんたろう ぶん
Noritake え
1982年生まれのポーランドの絵本作家夫妻による、現代版『世界図絵』。世界62カ国の地図にその国の食べ物から、歴史的な建物に有名人、動物、植物…がぎっしり詰め込まれています。古地図を感じさせる紙を使った大型本で、すでに世界33カ国で翻訳されています。
繰り返し眺めてもそのたびに発見があり、まるで旅するように多様な世界の姿を感じ取ることができるでしょう。
アレクサンドラ・ミジェリンスカ&ダニエル・ミジェリンスキ 作・絵
徳間書店児童書編集部 訳
著者は、イギリスの王立植物園で研究をし、自給自足の生活を実践。庭、野菜畑、森、農場、畑、池、果樹園、街の8つのフィールドで、一年の四季を通じた情景が、色彩豊かなイラストとこまやかな文章で繰り広げられます。
自然とわたしたちの暮らしは、つながって循環していることが可視化され、ストレートに伝わってきます。環境問題の重要性を再認識させられる1冊です。
ケイ・マグワイア 著
ダニエル・クロル イラスト
さいとうみわ 訳
森の中、雪の上におじいさんが落としてしまった片方の手袋。そこに、暖を取ろうといろんな動物が住み始めて手袋はぎゅうぎゅうに…。
いま話題を集めているウクライナ民話が伝えるものは、「分かち合う」気持ちです。
エウゲーニー・M・ラチョフ 絵
うちだりさこ 訳
激動の今、世界で起きていることの背景を大まかにでも理解しておきたいもの。イラスト & 手書きのノート式でわかりやすいデザインになっています。
ゼロからの学び直しがしたい人におすすめです。
ワークマンパブリッシング 著
千葉敏生 訳
いじめや虐待から自分自身を守るため、「少しでも子どもたちにその周辺の法律を知っていてほしい」という想いで描かれた1冊です。
大人でも知らないことがたくさんある法律の世界。難しいことを理解する入口として、また、わかったつもりになっている社会のルールを振り返る機会として、ぜひご一読ください。
山崎聡一郎 著
伊藤ハムスター イラスト
絵も文章も、ユーモアとやさしさ、そして示唆に富んだ作品が人気のヨシタケシンスケさん。人はそれぞれ違う感情や言葉を持っているのに、大きな流れや「みんな」に飲み込まれて自分を見失ってしまいがちです。
「逃げずに戦うことが大事」とされる一方で、「逃げることで新しい可能性に出会う」こともあるということ。それは自分が選択すればいいのです、例え大人であっても…。
ヨシタケシンスケ 著
山口大学医学部附属病院のプロジェクト、「ホスピタルアート」から生まれた詩画集。国民的な詩人である、まど・みちおさんの心に真っすぐ響く詩と、独自の世界観を持つデザイナーの渡邉良重さんが描く絵から、言葉とアートの力を再発見できるはず。
世界と自分のつながりを自然と感じる、美しく喜びにあふれた作品です。
まど・みちお 詩
渡邉良重 絵
名作絵本『ちいさいおうち』の作者による、『せいめいのれきし』の改訂版。地球が生まれてから、この瞬間までの長い命のリレーの壮大な物語。
恐竜研究の第一人者である真鍋真氏を監修に据えて、地質時代区分、進化の歴史や気候変動についての説、生物の名前(学名)など、日本語版独自の改訂が加えられました。地球の物語の続きを描くのは、わたしたち自身であることを再認識させられます。
バージニア・リー・バートン 著・イラスト
まなべまこと 監修
いしいももこ 訳
現在、気候危機は一刻の猶予もない重要課題です。このまま温室効果ガスの排出が続けば、地球の平均気温は3~4℃上昇し、人類の生存が脅かされると言われています。そんな中、地球温暖化を防ぎ、SDGs達成のためにも必須とされているのが脱炭素です。
「難しいことをわかりやすく」をコンセプトにしたこの本で、脱炭素を「見て」「知る」。わたしたちにできることが図解で説明されているので、日々の行動のヒントとしても読むべき1冊です。
すなだゆか 作・絵
森川 潤 協力
映画『天気の子』の気象監修者としても知られる著者の荒木健太郎さんは、防災・減災のため災害をもたらす雲の研究者。
虹は半円形ではない、雨滴のてっぺんはとがっていない…などなどのトピックから、近年増えてきた豪雨や巨大台風、大雪のことまで、生活と切り離せない天気や気象をわかりやすく解説しています。
荒木健太郎 著
日本人の金融リテラシーは、先進国の中でも低いほうだと言われています。お金のことはややタブー視され、学ぶ機会も少なかったという人が多数でしょう。一方で人生100年時代を前に、お金はより重要性を増してきているのが事実。
イギリス発、世界13カ国で翻訳された原書は8歳以上が対象ですが、投資でお金を増やす、現金はまだ必要か? 暗号通貨ってなに? などなど、大人も知っておきたいことが網羅されている金融入門書です。
エディ・レイノルズ 著
マシュー・オールダム 著
ララ・ブライアン 著
マルコ・ボナッチ イラスト
浜崎絵梨 訳
伊藤元重 監修