『マトリックス レザレクションズ』の最初の予告編が2021年9月上旬に公開されましたが、コアなファンの間では「これはシリーズ第一作と似通ったものになるのではないか?」という推測が飛び交っています。と言うのも、映画『ジョン・ウィック』出演時と同じような長髪にヒゲスタイルの年配のキアヌ・リーブス演じるネオが謎の女性(観ているほうは謎ではなく、これはトリニティです)と出会い、追いかけっこをしているうちに、ネオはそれまで住んでいた「偽物」の世界を捨て、「本物」の世界に入っていく…という構成の予告編だったからです。

そしてネオは、着物を着たモーフィアスと戦います。さらに、選ばれし者が時空間の力を使いこなそうとすると、黒服のマトリックスのエージェントが追いかけてくる…。『マトリックス レボリューションズ』の最終決戦であるネオとエージェント・スミスの地下鉄での決闘シーンも、この続編では再現されているようです。

つまり『マトリックス レザレクションズ』のストーリーは、「オリジナル作品のリブートかリテリングとなる可能性が大いに高い」ということになります。

ですがプロデューサーや俳優たちは、「監督はこの最新新作で、映画『マトリックス』の世界感をさらに拡大した!」と報道機関に断言しています。なので、インターネット上では今のところ、この「レザレクションズ(復活)」で大いに盛り上がっています。

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それはさほど問題ではありません。

「マトリックス」シリーズの多くファンは、『マトリックス リザレクション』がこれまでのシリーズと同じくらい、むしろそれ以上に楽しいものになることを期待しているに違いありません。ですが…悲観的と思われるかもしれませんが、予告編が流れた時点で、この問いに対して頷けない5つの理由があります…。それぞれが厄介な問題です。

あなたはここで、その現実に直面する勇気はありますか?

もし「勇気がある」と思った人は、続けて赤の錠剤「スクロール」を飲み込んで、下へと目を移していってください。

1.シリーズ映画の傾向として、
4作目は駄作の可能性が高いから

de cast van matrix reloaded, warner bros
Warner Bros.
『マトリックス』は、シリーズではなく1本の映画で完結しておくべきだったかもしれません。

      「マトリックス」のシリーズ第1作目は世界的な大ヒットを遂げ、アカデミー賞4部門(視覚効果賞、編集賞、音響賞、音響編集賞)を受賞。殺陣やワイヤーアクション技術だけでなく、カメラを200台近く使用した撮影方法“バレットタイム”を駆使したスローモーション映像を効果的に使用するなど、アクションシーンの撮影技法はその後のハリウッドに多大な影響を与えました。

      そして、続いて2003年公開の『マトリックス リローデッド』と、その半年後に公開された続編『マトリックス レボリューションズ』は、第1作目がつくり上げた神秘的な世界観を薄めてしまったと一部のファンの間では嘆かれていたのは事実です。そのため、コアなファンはこの2つの映画を受け入れていません。なので、最新作の『マトリックス リザレクションズ』もその一部となる可能性が高い…と言えるのです。

      また、これまでの映画業界の傾向を振り返っても、「シリーズ作品の4作目が最高だった」といったことはほとんどないのも事実ですから。

      2. ローレンス・フィッシュバーンの不在

      lawrence fishburn as morpheus
      Warner Bros.
      ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世には申し訳ないですが、モーフィアスを演じられるのは1人だけです。

        "あのモーフィアス"は、もうこの映画には出てきません。キャラクター自体はいますが、このキャラクターの名前を聞いて誰もが思い浮かべる俳優、ローレンス・フィッシュバーンが彼を演じていないのです。彼の後任には、ドラマ「ブラック・ミラー」や映画『キャンディマン』でおなじみの、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世が就任しています。フィッシュバーンは出演を希望していましたが、出演に誘われることはなかったようです。その理由は、いまだにわかっていませんが…。

        3. ウォシャウスキー姉妹の別行動

        us director lana wachowski left checks a steadycam on the set of the netflix tv sci fi series sense8 at the mergellina  station on the naples metro, italy, 26th october 2017 photo by salvatore laportakontrolab lightrocket via getty images
        KONTROLAB//Getty Images
        ウォシャウスキー姉妹の片方だけが、『マトリックス リザレクションズ』の制作チームに戻ってきました。

          これまでの「マトリックス」シリーズ3作は、ラナ&リリー・ウォシャウスキー姉妹が脚本・監督を担当していました。しかし第4作目では、姉のラナだけが制作に参加しています。2015年公開の映画『ジュピター』と同年配信されたドラマ「センス8」以降、姉妹で制作している作品はありません。

          4. 政治に囲まれている映画業界

          これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

            シリーズ1作目となる映画『マトリックス』が登場した1999年は、大ヒット映画が単に超大作として扱われるだけの時代でした。しかし2021年では、ハリウッド映画は現実世界を反映し、政治的なメッセージさえ発信しなければなりません。

            2020年5月、イーロン・マスクが「Take the red pill(赤い薬を飲め)」とツイートすると、当時の大統領補佐官であったイヴァンカ・トランプが「Taken!(飲んだわ!)」とコメントしたように、「マトリックス」内のシンボルについて小ネタにされる時代なのです。

            「マトリックス」ファンにとっては、ネオが「シミュレーションから抜け出すため赤いカプセルを飲む」という行為は、「マスクを着用すべき」などといった体制側のプロパガンダに対して抵抗することと同義なわけです。なので、こんなやり取りが体制側で行われること自体、許されないことと言えるでしょう。

            ちなみにこのやり取りに対して、妹のリリーのほうが嚙みついています…。

            5. ウォシャウスキー姉妹にとって
            1作目の『マトリックス』は
            特別な意味を持っていた

            keanu reeves in matrix 1, warner bros
            Warner Bros.
            1999年公開の映画『マトリックス』では、ネオは自分が思っていたとおりの人間ではないことを自覚していきます。

              2019年にリリーはインタビューの中で、2つの世界の架け橋となる映画『マトリックス』を書いたことで、「自分も妹もトランスジェンダーであることを自覚し始める勇気を得た」と語っています。第1作目の『マトリックス』は、明らかに個人的な興味関心から創出されたものであったのに対して…この最新作『マトリックス レザレクションズ』はもはや、「お金を稼ぐためにつくった」と解釈されても仕方ないかもしれません。

              上記のように、理由を5つ挙げさせていただきました。ですが、これらはあくまで個人的なものであり、さらにコアファンとしてのいち意見になります。「面白い!」か「面白くない!」かは、鑑賞してからあなた自身が決めることですので…。

              そんなわけで、『マトリックス リザレクションズ』の日本公開日が近づいていることだけは確かな事実です。このような、いちファンの憶測で自らの愉しみの火を消す必要などありません。まずは2021年12月17日(金)公開の日まで、期待に胸をふくらませましょう。

              これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
              The Matrix Resurrections – Official Trailer 1
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              Source / ESQUIRE NL
              ※この翻訳は抄訳です。

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