なんということでしょう。ライアン・ゴズリングはアカデミー賞で、「Mojo Dojo Casa*（モジョ・ドージョ・カーサ）」を舞台に生演奏し、会場をわかせました。彼は『バービー』のオスカー歌曲賞候補『I'm Just Ken』を生で披露したのです。当然ながら、演奏中に繰り返されるケナジー（Kenergy＝ケン＋エナジー）は高まり、私の心拍数も上がりました。
ゴズリングは、共演者のマーゴット・ロビーのすぐ後ろの席からパフォーマンスを開始し、ステージに向かっていきました。ゴズリングはキラキラと光るパール付きピンクスーツを着て、彼の多くのバックダンサー（シム・リウとキングズリー・ベン＝アディールも含む！）はピンクのカフリンクスと黒いカウボーイハットを身に着けていました。
ダンサーたちがステージの両側に移動すると、なんと、驚きのギターソロが登場します。それはなんと、ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュ。さらにバービースターたちは、マイクを監督グレタ・ガーウィグとアメリカ・フェレーラに向けると（エマ・ストーンにも！）、彼らと最前列で一緒に歌いました（そうでした！ ゴズリングは素手で2枚の板割りに成功したのです）。
*『バービー』劇中に登場する架空のケンの家。現実世界で男性中心社会を知ったケンがバービーランドでつくりあげる“男の隠れ家”的場所。
もしも今夜のオスカーで「I'm Just Ken」だけを見ていたなら、おそらく今、かなり満足していることでしょう。明日もこっそり何回も見直すことを考えると身震いします。それくらいの出来だったにもかかわらず、この”バービー俳優”は最初は全くといっていいほどパフォーマンスに消極的でした。
それは彼はショーの前、「私がやるのはリスクが高すぎるかもしれません」と『Variety』に語った*ことにも表れています。とは言え、彼は「常に可能性はオープンにしている」と述べていました。共演者のマーゴット・ロビーは後で、「彼は（この話に）飛びついたんですよ」と語っています。彼女は「彼はそれを見事にやりきるだろう」とも言いました。「とても興奮しています。彼が授賞式の夜のハイライトになりますよ。多くの人がこの特別なパフォーマンスのために調整してくことになると思います」
* 2024年3月10日配信記事
ゴズリングは家族のメンバーをオスカー授賞式に連れてきました。その中には母のドナ、姉のマンディ、そして義父のヴァレリオ・アッタナシオも含まれています。彼はオスカーのレッドカーペットには全身黒のグッチのタキシードを纏い、さらに4.9カラットのダイヤモンドが埋め込まれたタグ・ホイヤーの時計も身に着けていました。見事な衣装はそれだけで十分すぎるほどでしたが、彼は靴下でバービーカラーのピンクをプラスし、スイスの時計の中央にもう一つのピンクのダイヤモンドでそのルックスを引き立てていました。
自分“だけ”がノミネートされ遠慮がちになったゴズリング
ゴズリングは助演男優賞にノミネートされていましたが、ロビーとガーウィグはそれぞれ個人でのアカデミー賞候補（主演女優賞、監督賞）になれませんでした。「バービーなしにはケンはいないし、グレタ・ガーウィグとマーゴット・ロビーなしには『バービー』の映画もありえない。これは歴史的かつ世界的に称賛された映画を最も支えた二人ですから」とゴズリングは声明を出しました。「映画の中で誰もが彼らの才能、勇気、そして天賦の才なしにはどんな認識も不可能でしょう。彼らがそれぞれのカテゴリーでノミネートされていないことにがっかりしていると言うだけでは控えめな表現になってしまうほどです」
このことから、ゴズリングは助演男優賞へロビー活動に対し遠慮がちだったとも噂されてています。
とにもかくにも、 「I'm Just Ken」のパフォーマンスを下の動画でご堪能ください。
Translarion&Edit／Keiichi Koyama
