2019年3月に、アメリカで発覚した史上最大の不正スキャンダルをご存知ですか? 人気ドラマ『フルハウス』のレベッカ役でも知られる女優ロリ・ロックリンや、『デスパレートな妻たち』のリネット役で知られる女優フェリシティ・ハフマンが、共に賄賂を払ってまでして娘たちをエリート校へ裏口入学させました。このことによって、定員からあぶれてしまった“不合格者”は怒りを覚えていることでしょう。
しかし、もしかしたら、それほど気を病む必要などないかも知れません。トップレベルの大学に進学できるほどの能力の持ち主であれば実際に入学しなくても、「有名校卒業生と同等の成功を収める可能性が高い」ということを示す研究結果もあります。
さらに、アップル社のCEOティム・クック氏も、トランプ大統領が主催した労働に関する諮問機関にて、4年制大学を卒業することが仕事に就く前提となっている現状に関して、「大学卒業者のスキルと、アップル社および他の企業も将来必要になると考えているスキルの間に、ある種のミスマッチがあると思っています」と述べたうえで、「アップル社のアメリカでの新規採用者の約半数は、4年制大学の卒業者ではない(2018年統計)」とコメントしています…。
つまるところ、人生において成功するか否かは、個々の能力次第ということなのです。
幸せを感じる力であったり、目的意識の有無であったり、さらには経済力といった、その後の人生の幸福度を左右する諸要素を見てみると、それらが出身校とはまったく無関係であることがある調査結果から確認することができます。
トップ100の大学だろうがワースト100の大学だろうが、実はあまり関係ないようです。関係するファクターがあるとすれば、それはあなたが興味を持って学ぶことができたのか、そして、応援し励ましてくれる教師と出会うことができたか否かによる…というものです。
ということで、学歴スキャンダルなどに負けぬよう、あなたを応援し、励まさせてください。それではここにコミュニティ・カレッジ出身で、大きな成功を収めた傑物たちをご紹介します。
ちなみにコミュニティ・カレッジとは、2年制の大学のこと。もともとは地元に住む人(コミュニティ)のために、州や市がつくった短大でしたが、いまでは幅広いニーズに対応するため、職業訓練的な意味合いがあったり、留学生を積極的に受け入れていたりと…とても幅広い存在となってきています。
トム・ハンクス(俳優)
シャボット・カレッジ卒(カリフォルニア州ヘイワード)
『フォレスト・ガンプ』は確かに、不正入学に恩恵に預かったかもしれません。冒頭の校長先生と母親のあのシーンは、ご存じですよね。しかし、フォレスト・ガンプを演じたこの名優は不正などせず、実力で地位を築き上げたのです。
カリフォルニア州立大学サクラメント校に編入する以前、彼が通ったのはシャボット・カレッジというコミュニティ・カレッジでした。その後、彼は2つのアカデミー賞、4つのゴールデングローブ賞、そして8つのエミー賞を手にするに至ったのです。そしていまや、ボックスオフィスの興行収益において歴代4位、累計総額400億円以上という輝かしい成功を収めています。
ロス・ペロー(実業家・政治家)
テクサーカナ・カレッジ卒(テキサス州テクサーカナ)
ペローが未だ幼きテキサン(“大阪人”や“江戸っ子”や“どさんこ”のようなニュアンスで、“テキサス州人”の俗称)だったころ、ボーイスカウトに入団ました。そこで彼は、そのわずか13か月後にイーグル・カウト賞を授っています。
IBMの営業マンとしてキャリアを開始した後には、年間のノルマをわずか2週間で達成したこともある傑物です。その後、『エレクトロニックデータシステムズ社(Electronica Data Systems)』という企業の立ち上げに成功へち導いた後、24億ドルで『ゼネラルモーターズ(General Motors)』に経営権を売却しています。そして、その4年後に『Perot Systems Corporation』を設立し、今度は39億ドルで『Dell』に売却したのでした…。
1992年には、ついに大統領候補として、ルーズベルト元大統領が野党候補だったころに打ち立てた以来の、野党候補としての最多得票数を記録しています。
キャリアのスタートというものは、「人それぞれ…」であることを我々に最も顕著に示してくれた方です。
モーガン・フリーマン(俳優)
ロサンゼルス・シティ・カレッジ卒(カリフォルニア州ロサンゼルス)
アフリカ系アメリカ人を対象として設立された歴史を持つ、ジャクソン州立大学からの演劇学の奨学金のオファーをモーガン・フリーマンは辞退しています。
彼が選んだ進路は、アメリカ空軍でした。そして4年後、ロサンゼルスへと移り住んだ彼は演技の勉強をする傍ら、ロサンゼルス・シティ・カレッジに籍を置きます。と同時に、事務員としても働いていたのです。
その後、神の役まで演じることとなる彼のキャリアについては、ご存じのとおりかと思います 。
ノーラン・アーチボルド(実業家)
ディクシー・ジュニア・カレッジ卒(現ディクシー州立大学、ユタ州セントジョージ)
ディクシー・ジュニア・カレッジのバスケットボールのスター選手だったアーチボルドは、同じくユタ州にあるウェバー州立大学に引き抜かれます。
そこで学業成績優秀なトップアスリートに与えられるAcademic All Americanに選ばれ、また、最優秀スポーツ選手賞であるScholar Athlete of the Yearも受賞しています。
1986年には42歳の若さで、『フォーチュン500社』(米国フォーチュン誌が年1回編集・発行するリストで、全米上位500社がその総収入に基づきランキング)の中に登場する最年少CEOとなりました。そして会長まで勤めた後、Black & Decker Corporation社のCEOに就任(現在は関連会社のStanley Black & Decker, Inc社の会長も兼任しています)しています。
現在、父として8人の子を育てた彼は、いまや28人の孫の祖父でもあります。
ジョージ・ルーカス(映画監督)
モデスト・ジュニア・カレッジ卒(カリフォルニア州モデスト)
56億ドルの富を得る以前(史上最高の歴代興行収入を誇る「スターウォーズ」シリーズを生み出す以前、またピクサーを生み出し、ルーカスフィルムをディズニーへと売却する以前、さらには“SFの殿堂”に名を連ね、アメリカ国民芸術文化勲章をオバマ前大統領から授与される以前)…、映画監督ジョージ・ルーカスはモデスト・ジュニア・カレッジの学生だったのです。
自らの人生を、実力で築き上げてきた人なのです。
アーノルド・シュワルツェネッガー(俳優・政治家)
サンタモニカ・カレッジ卒(カリフォルニア州サンタモニカ)
カリフォルニア州知事を2期務めた人物が、過去においては俳優であったのみならず、ボディビルダーとしても世界に名を馳せた経歴の持ち主であったことに衝撃を受けた方には、もうひとつ驚きの事実があることをお教えしましょう。
アーノルド・シュワルツェネッガーは、ジュニア・カレッジ(コミュニティ・カレッジと同様に2年生の大学になります。ことらは主に、4年制大学への編入を想定した進学コースを提供していました)の出身です。その後、自ら学費を稼ぎ学位を取得しています。
それらはいずれも、彼が20歳で史上最年少のミスターユニバースに選ばれた後、さらには「ミスターオリンピアン」(国際的なボディビル大会の中でも最高峰とされる大会名であり、そこで優勝した者もこう呼ばれます)の称号を初めて獲得した後の話になります。
ちなみにシュワちゃんは計7度も「ミスターオリンピアン」の栄冠を手にしています。「また戻ってくる(I’ll be back.)」を地で行く人生を歩んできたのです。
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From MEN’S HEALTH
Translation / Kazuki Kimura
※この翻訳は抄訳です。