※本記事は、米国人エディター、アレックス・パッパデマス氏(Alex Pappademas)による取材をもとに構成されています。

 

 ニコライ・コスター=ワルドー (NIKOLAJ COSTER-WALDAU)
は、HBOの壮大なファンタジードラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』において、およそ10年にわたってジェイミー・ラニスターを演じてきました。このキャラクターは同シリーズの20〜30人の中心的キャラクターの1人でしたが、彼は2018年6月をもってジェイミー役としての仕事を終えました。このような立場にある俳優として、コスター=ワルドーには大役を経験し、やり遂げることに関するそれなりの持論があることでしょう。このことは間違いありませんが、彼にあるのは現実的でバランスの取れた、おそらく典型的なデンマーク人らしい持論です。

 とはいっても、彼がいま迫られている決断は「マッシュルームコーヒー(フィンランド発のスーパーフード)を飲むかどうか」というものです。

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「そのコーヒーを飲んだらハイになるものなんですか(笑)?」とコスター=ワルドーがたずねると、このコーヒーを提案した店の男性は何となく申し訳なさそうに「いいえ。健康的なドリンクです」と答えました。この男性はノースハリウッドで人気の斧投げバーのマネージャーで、コスター=ワルドーと私(筆者アレックス )は金づちほどの大きさの片刃斧を木製の標的に投げる遊びを楽しんでいたところでした。店のドアには酒類の販売免許を申請中であることも示されています(流血沙汰まっしぐらではないでしょうか…)が、いまコスター=ワルドーが欲しいのは温かい飲み物であり、ここにあるのはアダプトゲンたっぷりのサナギタケパウダーを溶かした水を使った健康的なブレンドコーヒーだけなのです。

 店の男性は「野性的な味わいです」とし、腕でエネルギーが高まるようなジェスチャーをしながら「通常カフェインには覚醒作用がありますが、これはとにかくいい気分だと感じられるだけです」と語ります。

「それは素晴らしい。最高でしょうね」とコスター=ワルドー。こうしてその男性はコーヒーを作りに行きました。そして、しばらくして出てきたコーヒーは、飲料とスープの間の「不気味の谷」現象を引き起こしそうなものでありながら、驚くほど飲みやすいものでした。

「誰かにきのこを食べるかどうか聞かれたときには注意しなければなりません」とコスター=ワルドーは指摘します。私が「幻覚剤のマイクロドージングをする人について聞いたことがありますか?」と聞くと、彼は知らなかったようですが、最近初めて大麻の販売店を訪れたときの驚きを「信じられない」といった様子で語ってくれました。

「アップルストアに入るようなカジュアルさなんです。それで彼らはマリファナを売っているんです。昔は駐車場の片隅で売るようなものだというイメージでした…」とコスター=ワルドー。

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 コスター=ワルドーは、90年代のデンマークにおける薬物販売事情について話したかったわけではありません。単に私たちの会話が行き詰まっていたのです。私の仕事は、HBOが4月から放送する『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章の6つのエピソードについて彼に質問することでしたが、彼は仕事上の守秘義務からほとんど何も語ることはできませんでした。コスター=ワルドーはもちろん結末を知っており、それが素晴らしいものだと考えています。このドラマのセットでの撮影最終日は美しく、感動的なものだったそうです。

「目にほこりが入ったんだと思います」と彼は涙したことを示唆しています。打ち上げの様子についても聞くと、彼は何度かの打ち上げがあったことや多くの参加者がいたことを教えてくれました。そして──彼はこのとき、間違えれば何かが失われてしまうような様子で、ゆっくりと時間をかけて言葉を選んでいました──「楽しかった」とだけ語りました。

 もしかしたら、シリーズが終わることへの感慨はまだ彼に訪れていないのかもしれません。あるいは、今後も訪れることはないのかもしれません。彼にはわからないといいます。「たぶんこの秋、ベルファスト(『ゲーム・オブ・スローンズ』のロケ地)に戻ることがなくなったとき。そのときになれば、本当に終わりだと感じるのかもしれません」とコスター=ワルドー。

 いまの彼にあるのは何より誇らしい気持ちだといいます。「『ゲーム・オブ・スローンズ』のプロデューサーであるD・B・ワイス氏とデヴィッド・ベニオフ氏は自分たちの信念を曲げず、『これこそが我々の伝えたい物語であり、引き伸ばすつもりはない』と言いました。HBOはこのシリーズをさらに数年続けたかったことでしょうし、間違いなくこれを望む視聴者もいたことでしょう。ですが、この最終章を見るあらゆる人がその結末の素晴らしさや、我々が83ものエピソードからなる1つの物語を語り終えたことの価値を認めることになるでしょう」と彼は語っています。

 コスター=ワルドーに「あと数年間持ちこたえることもできたと思いますか?」と聞くと、「わかりません」という答えでした…。
 
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From Men's Health
Translation / Wataru Nakamura
※この翻訳は抄訳です。