それでは早速、本が明らかにしたいくつかのエピソードを見ていきましょう。

チャールズ国王は、キャサリン妃の華麗なファッションが彼の活動に影響を及ぼすのではと気を揉んでいた

ダイアナ妃と結婚したときにも経験した、英国メディアによる英王室に対する執拗なまでのアプローチ、すなわち新たに加わった女性ロイヤルへのファッションチェックに対し、チャールズ国王は当時戸惑いを感じていたのです。そうしてそれは、ダイアナ妃の死後はキャサリン妃へと引き継がれていきます。

そしてチャールズ国王の当時の思いとして、「キャサリン妃のファッション記事のほうが自分の仕事よりも、メディアの関心を引くことにいらつきを感じていた」と、著者でありロイヤルファミリーのエキスパートとして知られるケイティ・ニコールはつづっています。さらに孫たちにあまり会えないことも、その気持ちに拍車をかけていたようです。

キャサリン妃はジョージ王子の誕生後、孤立して孤独だと感じていた

ジョージ王子誕生後のキャサリン妃は、しばらく実家のバークシャーで家族からのサポートを得ていたものの、その後はアングルジーにある自宅へと居を移します。ウィリアム王子は空軍の仕事で、家を空けることもしばしば。それはジョージ王子をメディアの目から遠ざける効果はあれど、キャサリン妃のほうは「社会から断ち切られ、孤立感を味わっていた」とも、ニコールは記しています。 

チャールズ国王がメーガン妃の鋼のメンタルにあだ名

メーガン妃が英王室に入ったときから、彼女がその実力を発揮するであろうことを知っていたチャールズ国王は、この未来の義理の娘に対し「タングステン*」というあだ名をつけていました。それは2018年2月に行われた、ウィリアム王子とキャサリン妃そして夫のハリー王子と出席したロイヤル・ファウンデーション・フォーラムでのことであり、そこで自信に満ちあふれていた彼女の姿を見たときのことだそうです。

このことを記事にしていた「デイリー・メール」には、「強くてしなやかな金属として知られる『タングステン』をあだ名にしたのは、メーガン妃に対する愛情の表れだ」と論じています。

*タングステンとは原子番号74の金属元素のひとつで、最も強い元素の一つとして知られています。 

エリザベス女王はメーガン妃に結婚前に父親と和解して欲しかった

ハリー王子と婚約するとすぐに、父親トーマス・マークルとの確執が明らかになったメーガン妃。結婚式に先立ち、ハリー王子が未だトーマス・マークルと会っていないことに不安を感じたエリザベス女王は、メーガン妃に父親との関係を修復するよう言い渡します。ですが結局は、メーガン妃の父親が結婚式に出席することもなく、メーガン妃との関係も修復されないままになっています。

ハリー王子はアーチーの誕生の秘密を守ることに病的なほどに執着

ハリー王子はメーガン妃との生活に対して、否定的な意見や人種差別、さらに王室内の衝突にさらされないよう努めていました。なぜなら彼はすでに、自身の母親であるダイアナ妃の死をメディアがどうように扱い、そして必要以上に助長することを経験しているから。「ハリー王子のメディアに対する信頼度は、すでにゼロだった」とニコールは述べています。

情報筋によると、ハリー王子はアーチーの出生をできるだけ秘密にすることに“ほとんど病的なほどの執着”し、王室と国民との間の不文律(暗黙のルール)を破ったと言われています。2019年5月6日にアーチー・ハリソン・マウントバッテン=ウィンザーが誕生したとき、ハリー王子とメーガン妃は先例には従わず、病院の階段で世界に彼を紹介することを避けました。その代わりに2人は2日後、セント・ジョージ礼拝堂の中で一人の記者と一人のカメラマンを起用し、生まれたばかりの長子を世界に紹介するための素材を自ら用意したのでした。

「メーガン(当時)妃は写真撮影のときには疲れ果てており、時折、居心地の悪さを感じていました。キャサリン妃の場合は、生まれたばかりの赤ちゃんと一緒にそのような姿を見せるのは義務だと考えていました。ですが、彼女は『それが挑戦でもある』と認めたことを思い出してください。 彼女は自身がいつか女王となり、その後王の母になるという、より公共的な立場へと進む未来を見据えて黙認したのです。 ですがメーガンは、王位継承権の順位も低い次男ハリーと結婚したのです。彼女が普通の新たな母親と同じように、安全な暮らしを優先したのも理解できます」とも、ニコールは著しています。

エリザベス女王はハリー王子とメーガン妃が立てた王室を去る計画に疲弊していた

ハリー王子とメーガン妃の2人は、新年早々の2020年1月8日にインスタグラム上で「王室からの離脱」を宣言します。具体的には、「王室一族のメンバーから退き、イギリスと北米を行き来する生活を始め、経済的な独立を試みる」というものでした。そして2021年2月19日には、ハリー王子とメーガン妃は王室一族のメンバーから去ることを公式に発表。この発表は、2人が第二子の誕生を望んでいることを明らかにした1週間後のことです。

ハリー王子とメーガン妃…当時の公爵と公爵夫人によって下されたその決定は、英中東部にある王室の別邸サンドリンガム城で行われたハリー王子、チャールズ(当時)皇太子、ウィリアム王子、エリザベス女王による緊急家族会議「サンドリンガム・サミット」で決定し、12カ月間のおよぶ王室審査の末に実現しました。そうしてこの夫妻はカリフォルニアへと移り住み、最初の声明で王室の職務から「休憩」することが確認できました。

「女王はプライベートで親しい友人に、『この騒動で疲れ果ててしまった』と打ち明けています。彼女はとても傷ついていて、『知らない、気にしない、もう考えたくない』と語っています」と述べられています。

著者によれば、「ウィリアム王子とキャサリン妃も、ハリー王子とメーガン妃が王室から退場することでこれ以上のドラマを引き起こすことなくなるだろうと安堵していた」とのこと。ウィリアム王子とキャサリン妃をよく知るある人物によれば、「ハリーとメーガンが英国を去った今、もうドラマがないことに2人ともほっとしていた」ともつづっています。

The New Royals: Queen Elizabeth's Legacy and the Future of the Crown

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ユーモアのセンスがあるエリザベス女王、気に入らないことがあると「ある視線」を送る

エリザベス女王の近くで働いていた人々の声として、「滅多には起こりませんが、女王はときおり明らかに不服とわかる視線を見せることもありました」とつづっています。 エリザベス女王が不快感を示すことは滅多にないようですが、さらにある職員によれば、「その場にいれば、誰もが感じるはずです。何か気に入らないことに遭遇したときに見せる、私たちが『あの視線』と呼んでいた女王陛下のあの表情――完全なる沈黙の中で行われる女王陛下が放つ長く厳しい視線は、その時間が永遠かと思えるほどいたたまれない気持つになるのです」ということ。

フィリップ王配からチャールズ国王への最後の願いは「女王をよろしく頼む」

2021年4月9日にフィリップ王配が99歳で亡くなり、エリザベス女王との73年にわたる結婚生活に終止符が打たれました。

著書によると、ふたりは同じベッドで眠ることはなかったようですが、女王は夫に疑いようのない愛情を注いでいました。夫も同じ気持ちであったことは明らかで、息子にもそれを伝えていました。

家族の友人によると、「最期の日々、フィリップ王配が心地よく眠れるようエリザベス女王はその配慮に努めていました。エリザベス女王自らフィリップ王配に本を読み聞かせ、音楽を聴かせ、そして一緒に家族のアルバムを観ながら思い出話をしていました。チャールズ国王も父フィリップ王配と一緒に過ごし、『何があってもお母さんの面倒を見ると約束してくれ』と言われたそうです。そのときチャールズ国王は、とても感銘を受けていました」とこの新著は伝えています。