※本記事は、「007」シリーズ最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』のネタバレを含みます。

ダニエル・クレイグが最後の007を演じた『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、プロット的にはかなり大事件だったにもかかわらず、クレイグの引退という話題の余波であまり騒がれることはありませんでした。

『ノー・タイム・トゥ・ダイ』のラストで、007が英雄として殉職したというプロットはクレイグの引退を華々しく飾りました。ラミ・マレック演じる悪役サフィンを倒すと同時に、自分の命を犠牲にして、恋人マドレーヌとその娘のマチルドを救うためにミサイル攻撃を要請します。その瞬間は、クレイグの在任期間を見送る美しい描写でした。

ですが、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』の制作チームは他にいくつかの選択肢も考えていたようで、その中には007ファンの間でちょっとした騒動になったであろうものもあったようです。

『Variety』誌が行ったキャリー・ジョージ・フクナガ監督、プロデューサーのバーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン、およびダニエル・クレイグを交えたインタビューで、ボンドの死因は"流れ弾"になっていたかもしれないことが判明しました。

「『ロケットで吹っ飛ばす…』、それか「どこからともなく飛んできた流れ弾にしよう」と言っていたことは覚えていますよ」とフクナガ監督。「ただ、普通の武器による死はふさわしくないように思ったんです。彼が今までどれだけの危機から逃れてきたか…ということを考えると、誰かが打った弾丸で終わるというのは現実的ではありますが、ボンドにとってはちょっと…。それをさらに超えた何か、つまり不可能な、ありえない状況でなければならなかったんです」とのこと。

「大事なことは、私たちは皆、悲劇的な状況をつくり出そうとしていたんです」と、クレイグが付け加えています。「乗り越えられない問題があって、もっと大きな力が働いていて、誰にもどうすることもできないという状況です…」とも言うクレイグの言葉を考えると、『ノー・タイム・トゥ・ダイ』があのような結末になったのも納得がいきます。

映画で観たボンドの殉職は、無差別に襲ってきた暗殺者の銃弾よりも悲劇的であり、しかも必然的かつ運命的にも感じられる味わい深さを持っています。

この映画のエンディングにも、「James Bond will return.(ボンドは帰ってくる)」というテロップが表示されました。果たして、次のボンドは誰になるのでしょうか? それが明らかになるのはまだ先のことかもしれませんが、「ESQUIRE」では時期候補を予想していますので、ぜひご確認ください。まさかマルチバースから再び…、ってことはありませんね(笑)。

Source / ESQUIRE US
※この翻訳は抄訳です。