公開中の『デューン 砂の惑星PART2』は、映像化が難しいとされた原作を美しい映像とともに鮮やかな表現で仕上げられていました。さらに前作を超える加速感あふれるストーリー展開で、アメリカを含む世界中から高評価を受けています。また、全米における初日3日間のオープニング興行収入も、前作『DUNE/デューン 砂の惑星』の4100万ドルを約2倍上回る8150万ドルを記録*¹をするなど、映画業界で今年ナンバー1のヒットスタートを切りました。
そんな絶好調の同作ですが、アメリカでは映画のヒット以上に話題を集めている同作にまつわるニュースがあります。それがこちらのサンドワーム型のポップコーンバケツです。
観ていない人もご存じかと思いますが「サンドワーム」とは、未来を見る能力をもつ主人公ポール ・ アトレイデス（ティモシー・シャラメ）が降り立つ惑星アラキスに生息するミミズ状の巨大生物。
デヴィッド・リンチ監督の映画『砂の惑星』（1984年）にも登場するなど、作品の世界観には必要不可欠な存在。前作『DUNE/デューン 砂の惑星』でも強烈なインパクトを残したサンドワームは、最新作となる本作でさらにスケールアップし、登場シーンも増加するなど話題です。が、ポップコーンを食べるためのバケツにまでなるとは、誰も想像していなかったかもしれません。
バケツは2024年3月1日、本作の公開と共にアメリカの映画チェーン店AMCシアターによって 24.99ドル（約3695円）+ 税で販売されましたが、驚異的な人気で品切れする映画館が続出。一部の転売ヤーたちは eBay やEtsyに出品しており、価格はなんと 800ドルに達しているものも…*²。これは、映画館で正規に購入したときの価格のほぼ 30倍です。
ただし、今お伝えしたモノは最も高価なリストですが、小売店では現在、約55～100ドルで販売されているようです。バケツとしては決して安くはありませんが、忘れられないコレクションのひとつになることは間違いないでしょう。eBayやEtsyは日本配送もできるので、どうしても手に入れたい人は買うのもアリかもしれません。
※下記より実際にポップコーンバケツを入手することができたエスクァイアUS版エディターの正直なレビューになります。
『デューン 砂の惑星PART2』の劇場公開（2024年3月1日）の前日、2024年2月29日午後3時に私は科学的実験として、162分の上映時間中ずっとこの映画のグッズとして売られてるポップコーンカップからポップコーンを食べ続けようと心に決めました。
この話題のバケツをまだじっくり見たことない人のためにお伝えすると、カップの上部分にゴムでできた惑星アラキスに生息するサンドワームの正面（顔？ 口？ それとも肛門なのか？）がついていて、ポップコーンを食べるためにはその中に手を突っ込まなくてはならない代物なります。簡単に言うと、吸盤のついた触手が蓋になったような容器です。右腕のほぼ半分がポップコーンの油まみれになることを期待しながら、私は映画館AMCリンカーンスクエアに向かいました。
そこで残念な事件が起きました…お目当てのサンドワームのカップが早々に売り切れていたのです（なんて情けないことでしょうか。でも、本当のことを言うとホッとしました）！ その代わりと言ったら違うかもしれませんが、私は通常の大きなカップに入ったポップコーンを昔ながらの方法で食べきることにしました。
つまり、ゴムでできたワームに手を入れることなく、ポップコーンを通常のカップからつかみとりそのまま口に持っていく本来の食べ方です。でも、ありがたいことに『エスクァイア』のシニア・マーケット・エディター、アルフォンソ・フェルナンデス・ナヴァス*²が水曜日に映画館を訪れた際に、このカップを入手したのです！ 彼は私が依頼したレビューの中で、このカップを「デューンシー」と名づけています。私が今調べているところではレアな事例です。以下が彼の感想です。
10点満点で10点を取るとは思いませんでした。『デューン』のカップでポップコーンを食べたら酷い目にあったと言いたいところですが、それは難しそうです。上映時間中にポップコーンを4分の1も食べられなかったと思います（筆者注：ちなみに私は完食しました）。この映画の上映時間が3時間近いことを踏まえると、カップの仕様としてはポップコーンを長持ちさせることが重要です。2度目のおやつを補給するために席を立ち、映画の一部を見逃さずにすみます。膀胱が持たなくてトイレに行きたくなってしまったら、それはまた別の話です。
シャツの上に落ちたポップコーンを食べることに、個人的にはなんの問題も感じないタイプですが、このワーム付きのカップにポップコーンなら散らばるのを防いでくれる機能は注目に値します。開口部が小さいので清潔ではありますが、手と肘から下全体が覆われてしまうような感覚はそれを台無しにしてしまうような気もします。その理由がポップコーンを食べ進めると、さらに奥に手を入れなくてはならなくなるからです。ポップコーンをひと休みして飲み物を飲んだり、甘いものを食べたり、ただ単に腕を休めたりしたくなったらどうすればいいですか？ 至るところがポップコーンの油で汚れてしまうのはしょうがないことでしょう…。
また、服も汚れそうです。私は昨日厚手のセーターを着ていたのでセーターを脱ぎ、前述のエディター、アルフォンソのようにタンクトップ姿になって寒さに震えることになるか、右腕の血が止まるほど袖まくりしなくてはならなかったでしょう。もし『デューン』のポップコーンカップを買ってから映画を観ようと思っているなら、Tシャツを着ていくこと。もしくは、手術用のゴム手袋を持参するのが得策かもしれません。
さて、ゴム製のサンドワームでポップコーンを食べることには、感覚的な利点が存在する可能性があります。もしあなたが、ハンドスピナーのようなおもちゃで遊ぶのが好きな人なら特にそうです。映画を観ている途中でポップコーンを食べ終わっても、手が退屈することはないでしょう。でも、注意が必要です。もし隣の人がこのポップコーンバケツをリズミカルにもみ始めたら、どう思いますか？ たとえその人が柔らかい触手の感覚を悪気なく楽しんでいるだけだったとしても、気が散って仕方がないはずです。
さらにそれ以上のことをしてはいけません。逮捕される可能性があります。もしよからぬことを思いついて試したくなったら、家に帰ってからにしましょう。ただお願いですから、その使用済みのカップをebayに出品しないことを誓ってくださいね。
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Text / Yoko Nagasaka
Edit / Minako Shitara
