アトリエの職人たちの手作業により、メゾンが培ってきた伝統、そして美意識がディテールに宿ったディオールのテイラリング コレクションにこそふさわしい言葉ではないだろうか。ひとりの役者として、またはリーダーとして妥協のない姿勢を貫く小栗 旬が、ディオール テイラリングの神髄を心と体に刻み込んだ。
今季のディオールは、メゾンを彩った歴代クリエイティブ ディレクターたちによるさまざまな時代からインスピレーションを得て、そこにメンズ クリエイティブ ディレクター、キム・ジョーンズならではのエッセンスをコラージュしたコレクション。
なかでもベージュのバージンウールで仕立てたこのジャケットは、ディオールが大切にしてきたテイラリングを讃える象徴的なモデル。胸元のボウや前身頃にあしらわれたプリーツ、ムッシュ ディオールの後継者としてデザイナーに就任したイヴ・サン=ローランにオマージュを捧げつつ、現代的なゆとりのあるシルエットで表現。
テイラリングにおける細部へのこだわりは、言わずもがな素材にも見て取れる。こちらは今季のコレクションにおいて最も象徴的なテキスタイルであるツイードで仕立てたネイビージャケット。
ピークドラペルを備えたダブルブレストはクラシックな趣ながら、ウールにコットンを混紡したツイードが適度な軽さと華やぎを表現してくれる。インナーはブルーのストライプシャツで。共地のトラウザーズを合わせたい。
ディオールのサヴォアフェール(職人技術)の中核を担ってきたフォーマルなテイラリングを、キム・ジョーンズが再構築した「ディオール エッセンシャル」コレクション。
ソリッドなネイビーのウールツイルによるスーツは、メゾンの卓越したテイラリングを余すところなく体感できる一着。ジャケットの洗練された美しい落ち感、立体的なトラウザーズのシルエットが際立ち、このようなエレガントなタイドアップはもとより、薄手のセーターとの合わせまで幅広く着用できる。
「僕はディオールの服が本当に好きで、一番はやっぱりシルエットのスマートさ。タイドアップしたスーツなんかは、あれを1着もっていればどんなシーンにも対応すると思いますし、かつ着ていて疲れない。そんなところに細部へのこだわりを感じるのと同時に、自分自身も格好いいと思える、気分が上がる服を着られるのは幸せなことですよね」
そう小栗自身も語るように、体に美しく沿ったスーツの装いからは、貫禄すら漂う。
「次に演じさせてもらうのがスーツをはじめ、着替えることが多い役で、監督から『格好いい体にしてほしい』と言われて。今はそれを目指して体づくりをしています」
そんな役づくりに対する細部へのこだわりは、台詞との向き合い方からも感じられる。
「『どう感情をのせるか』というつくり方をした時期もありましたが、それだと現場での振り幅が狭まってしまう。今は機械的に、なるべく感情を入れずに台詞を覚えて、頭の隅に残しておく。そんな状態を心掛けています」
そう語る彼が、ディオールのサヴォアフェール(職人技術)を体現する服と重なった。
今季ランウェイのファーストルックで登場したバージンウールの豊かな表情が伝わるネイビージャケットは、フォーマルとカジュアルが見事に融合した、まさにキム・ジョーンズの真骨頂といえる一着。
テイラリングをベースに美しいピークドラペルを備えながら、フロントのパッチポケットやゆとりのあるボックスシルエットは、ワークウエアを思わせる。裏地を極力排したつくりも実に軽やか。共地のトラウザーズ、そしてアイコニックな「カナージュ」をツイードで表現したローファーを足元に添えて。
キム・ジョーンズが得意とするスポーティなエッセンスと融合したのが、「モダン テイラリング」と銘打たれたカプセルコレクション。
オーセンティックなワークジャケットからディテールを引用しながら、ムッシュ ディオールが愛したプリンス オブ ウェールズのテキスタイルやパイピングポケットなど、クチュールメゾンらしい手仕事によってドレッシーな印象に仕上がっている。
ブラックの軽量なモヘア混ウールキャンバスで仕立てたダブルブレストジャケット、そして同素材のトラウザーズの合わせも「モダン テイラリング」コレクションから。
ディオールのシグネチャーである胸元のクロスストラップもさることながら、胸に施されたボタン付きのフラップポケットなど、手仕事を感じるディテールを随所にあしらい、メゾンのアイデンティティを表現。モダンに昇華した4ボタンのダブルブレストなら、こんなTシャツとの合わせもサマになる。
小栗 旬 / Shun Oguri
1982年生まれ、東京都出身。'98年のドラマ『GTO』で初めて連続ドラマにレギュラー出演。2020年、映画『罪の声』で日本アカデミー賞 優秀主演男優賞を受賞。'22年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』での主演も記憶に新しい。'23年には所属事務所であるトライストーン・エンタテイメントの代表取締役に就任。出演する映画『キングダム 大将軍の帰還』が7月12日(金)に公開予定。
●問い合わせ先
クリスチャン ディオール
TEL 0120-02-1947
公式サイト
[Staff]
Photographs / Yusuke Miyazaki (SEPT)
Styling / Shinichi Miter (KiKi)
Hair & Makeup / Takuya Takagi (OCEAN TOKYO)
Text & Editing / Satoru Yanagisawa
Videograph / Yu Nakajima
AC / Yuma Maehara
Gaffer / Yasuhiro Ishiguro
Online Editing / Yukino Takeuchi(HDJ)
Video Produce / Tomohiro Yasuda(HDJ)