過去数年にうちにスニーカーというアイテムが、正真正銘の「コレクターアイテム」の領域にまで昇格したことは全く驚くに値しないはずです。 もはや遊戯王カードやポケモンシールの収集のレベルではありません…。

 2020年6月現在、歴史をぬり替えるようなスニーカーがオークションに出品されては、美術品と同じように価格で落札されているのです。そしてこのシューズも、おそらくスニーカー史上最高落札額を新たに更新するに違いありません…。

 2020年5月、オークションハウスのサザビーズにて、1985年の新人シーズンの試合中にマイケル・ジョーダン本人が着用していた「Air Jordan 1」のサイン入りスニーカーが約6000万円で落札され、スニーカー史上最高落札額を記録しました。当初、落札額の予想落札価格は10万~15万ドル(約1070万~1600万円)でしたが、その予想をはるかに超えた額となったわけです。

  そしてその5月まで、オークションで販売されたスニーカーの最高落札額記録は、2019年7月24日にサザビーズにて43万7500ドル(約4680万円)で落札されたナイキ製「ムーン・シューズ」でした。

 サザビーズは世界最古の国際競売会社であり、美術品を主に取り扱うオークションハウスであり、この業界の権威的存在です。そんなサザビーズで歴史的記録がつくられることは、ナイキにとっても大きな歴史の1コマとなったはずです。

ナイキ、手づくりのワッフルスパイクシューズ
ハンドメイドによるワッフルスパイクシューズになります。

 そして今回、サザビーズはNikeの共同創設者であり、ブランドの画期的な革新の背後に存在していた男、ビル・バウワーマン氏が70年代に手づくりした1組の「ワッフルスパイクシューズ」をオークションに出品しています。 

 サザビーズはこの希少極まりない品を、バウワーマン氏が長年コーチを務めていたオレゴン大学のトラックチームのランナーであるジョン・メイズ氏より入手したとのこと。そしてその品には、バウワーマン氏直筆による、メイズさんに宛てた靴に関する詳細なフィードバックを求める短い手紙も含まれているのです。

故・ビル・ボワーマン氏の手紙
故・ビル・ボワーマン氏からジョン・メイズ氏に送られた手紙。

 興味深いことに、この1足のシューズは左右が著しく異なります。

 バウワーマン氏はこのシューズを送ってから数年後に、さらなる改良を加えていたそうです。ブランドのトレードマークであるワッフルソールの痕跡は残っていますが、絶え間ない進化を求めた続けた証とも言えるでしょう。

 シューズの踵(かかと)部には、バウワーマン氏の手書きで「MAYS」と書かれています。このパーソナライズされたタッチは先駆的で、ヴァージル・アヴロー氏がナイキとタッグを組んで爆発的人気を呼んだシューズにも、このアイデアが取り入れられていました。

instagramView full post on Instagram
ナイキ「ワッフルスパイクシューズ」
シューズのソール部を見てみると、右足のアーチの前方部あたりに、現在のワッフルソールらしきパーツが帯状に配されているのが確認できます。

 サザビーズは、この「ワッフルスパイクシューズ」の予想落札価格を再びおよそ15万ドルと設定しました。ですが、前回の「Air Jordan 1」の事例を考えると、この予想価格を超える可能性もあります。所有者の知名度が違うので、どう転ぶかわかりません。ですがこのシューズには、非常に価値のあるアペンディックスがあることは確かですので…。

 ちなみにオークションは、オンラインでのみ入札可能で2020年6月26日(現地時間)まで世界中から入札可能となっています。いかがですか?

落札する

Sotheby's Nike

Source / ESQUIRE US