2019年秋に、靴をいつもより目立たせることを提案したのは、「PRADA(プラダ)」でした。デザイナーのミウッチャ・プラダが名づけたテーマは、「ロマンティック ポップビジョン」。このテーマに隠された「ロマンティック」の由来は、19世紀に起こった社会運動「ロマン主義」からでした。自由を訴える運動の裏で、人々の心の中には「未知なるものに対する不安や苦悩」があったのです。
そこで彼女が思い浮かべたのは、社会に馴染むことができないフランケンシュタインのような人物像でした。彼に触発されたコレクションには、縫いあとの付けられたレースアップシューズや厚底のラバーソールが登場していました。
そうして今シーズンは、クラシックな精神を持ったオフロードソールの靴が、ファッションにスリルを求める人々の主流になっているよう。そんな中、オフロードカーのホイールにも似たソールのシューズコレクションを発表し、最初に目撃情報が上がったのがイタリアのブランド「Fendi(フェンディ)」でした。
レースアップシューズにラウンド型のつま先、といった一見クラシックなスタイルの靴ですが、ソールを見るとモダンで強靭なデザインです。ソールの色がアッパーと異なるものは、そのコントラストがソールの厚さを主張させ、さらに目立たせています。
一方、「MSGM」ではクラシックなローファーに同様の変化を施しており、全く新しいシューズのカタチを生み出しています。
「Hermès(エルメス)」も厚底ラバーソールのトレンドに加わり、今回はレザーのアンクルブーツと組み合わせることで、クラスとオリジナルのポイントを同時に備えた都会的なスタイルを生み出しています。
そして、このトレンドのレパートリーを網羅するように、「JIL SANDER(ジル サンダー)」と「EMPORIO ARMANI(エンポリオ アルマーニ)」は、個性的なソールを備えたミリタリースタイルのブーツを提案しました。
これらすべての提案の共通点は、このシューズをスーツまたはフォーマルなスタイルにコーディネートした場合、完璧と言えるほど適合しているという点です。この画期的なフットウエアがあれば、退屈なスタイルから脱出することができます。もちろん、クラシックなスタイルを崩すことなく、モダンにアップデートすることができるというわけです。さらに身長が低い方には朗報で、数センチ視線を上げることもできますので…。
しかし、このシューズを実際に履くトレンド重視の方であるなら、スキニーパンツはこの冬は収納したままにするといいでしょう(ファッションに敏感な方なら、もう既に気づいていますね)。単にこれは比率の問題ですが、ワイドパンツやオーバーサイズのパンツのほうがマッチしますので。
ぜひ2020年の冬は、オフロードソールのシューズを手に入れてください。どんな地域でもスタイリッシュに、そして安全に歩けるようになるでしょう。
Source / ESQUIRE ES