故ルイ・ヴィトン氏(1821年8月4日~1892年日付不明)の物語は、常に旅と結びついています。彼の物語と作品は現代にまで残り、クラフツマンシップの真価を継承し続けています。これらの文化的かつファッション的な遺産は、フランスのトランクメーカーをラグジュアリーの代表的な存在へと導きました。また、ブランドに名を冠したルイ・ヴィトン氏は先見性に長けた人物であり、メゾンを最も偉大なラグジュアリー・トラベルの模範へと押し上げ、その基盤をつくり上げました。

 そんな創業者の誕生から200年を迎えた現在、メゾンは創業者に敬意を表してそのキャリアと遺産を祝うプロジェクト「LOUIS 200」を発表しました。

 ヴィトン氏は14歳のとき、生まれ育ったジュラ地方からパリへ向かいました。フランスの首都に到着するまでには2年かかったと言います。なぜなら、彼は徒歩で旅をしていたのです。その後、当時最も有名なブーツやスーツケースの製造者であったロマン・マレシャル氏のもとで見習いとして働き始めました。1854年、青年へと成長したヴィトン氏は、パリのヴァンドーム広場から数メートルのヌーヴ・デ・カプシーヌ通り4番地に自分の店を開くことを決めます。そこには、当時の最も重要なファッションハウスが集中していました。

 その場所に店を構えることで、ヴィトン氏は自らに重要な目標を課したのです。それは自分の製品が世界中を旅して、最もパワフルな男女の手に渡るようにすることでした。そうして彼はクチュリエのシャルル・フレデリック・ウォルト氏との親密な関係を築きます。さらに、ルイ・ナポレオン・ボナパルトと結婚したウジェニー・ド・モンティジョ皇后のトランクの公式製造業者としての地位を得ることに…。すると彼のメゾンは、瞬く間もなく成功への階段を上り始めたのでした。そうして「ルイ・ヴィトン」は、気づけはラグジュアリー・トラベルの生みの親となっていたのです。

maleta hombre louis vuitton
LOUIS VUITTON
ルイ・ヴィトン生誕200年を記念したポートレート。

 成功の理由は、「彼のビジネスに対する独特の嗅覚にある」と言えるでしょう。

 当時、交通機関には革命が起きていました。ヴィトン氏の創意工夫は、ラゲージ(旅行カバン)の世界に新たな規範をもたらしました。防水性のあるキャンバスを考案し、湾曲していないフラットな面を持つラゲージには堅牢な鍵前システムを開発し、装着しました。これによってラゲージの機能性を一変させたのです。この発想のおかげでスーツケースやバッグは、大切な必需品や貴重品を持ち運ぶのに大変心強いアイテムへと大躍進を遂げたのです。

ブランドの象徴的な
モノグラム・キャンバスによる宣伝

 ヴィトン氏は時代の進歩やニーズを先取りしながら、クラフツマンシップを兼ね備えた独創的な作品でそれに応えることができたというわけです。その結果、イギリスのヴィクトリア女王、スペインのイサベル2世、アルフォンソ12世など、錚々(そうそう)たる顔ぶれの顧客が増えていきました。メゾンの最も象徴的な作品であるモノグラム・キャンバスを通して、「ルイ・ヴィトン」はその名を世界へと広め、LとVのイニシャルはヴィトン氏の生涯を終えたあとも、100年以上にわたり歴史を持つブランドに引き継がれていきました。

maleta hombre louis vuitton
Francois GOUDIER//Getty Images
「ルイ・ヴィトン」を象徴するモノグラム・キャンバス。

 そうしてヴィトン氏の誕生から200年を迎えた今日、メゾンは彼の先見性を称えるため、一連のクリエイティブな取り組みを開始しました。まずは8月4日(水)には、スマートフォン向けゲーム『LOUIS THE GAME』(App StoreまたはGoogle Play)をリリース。

 ブランドのマスコットキャラクターである「ヴィヴィエンヌ」が、ルイのバースデーを祝う地を目指して冒険するストーリーになっています。そしてストーリー中には、30のNFTアート作品が含まれています。そして、そのうち10作品はNFTアート界を先導するBEEPLE(マイク・ヴィンケルマン)のものとのこと。2021年3月には、彼が制作した「Everydays - The First 5000 Days」というコラージュ作品がオークションで、6934万6250万ドル(約75億円)の値を付け落札。これで世界的な注目浴びることとなった、時代の寵児と言っていいでしょう。

instagramView full post on Instagram

 さらにBTSやNIGO®、藤本壮介、フランク・ゲーリー(Frank Gehry)、ジャン=ミシェル・オトニエル(Jean-Michel Othoniel)をはじめとする200名の優れたクリエイターたちがアイコニックなトランクをコンテナに見立てて、再解釈を加えるストアのウィンドウ・ディスプレイ企画「200 LOUIS」も、銀座並木通り店や表参道店、渋谷メンズ店など一部のルイ・ヴィトン ストアにてスタートしています。

 今後は、アメリカのポップアートの重鎮アレックス・カッツ(Alex Katz)が描くルイ・ヴィトンの大規模な3連画、フランスの作家キャロリーヌ・ボングラン(Caroline Bongrand)がルイの人生や意図についてつづったフィクション小説がガリマール出版社から10月に出版予定です。さらにルイの人生や生き様を回顧する初のドキュメンタリー「LOOKING FOR LOUIS(ルイを探して)」は、12月より Apple TVで公開予定となっているなどなど、「LOUIS 200」のプログラムは多岐にわたります。

 「ルイ・ヴィトン」は2021年末まで展開されるこれらのプログラムを通じて、メゾンがこれまで築き上げてきた歴史を現在のコンテクストの中で探求する…素敵な旅を提供してくれます。さらに詳しく知りたい方は、特設サイト「LOUIS 200」のゲートをくぐってください。

LOUIS VUITTON 公式サイト

Source / ESQUIRE ES

esquire japan instagram

Esquire Japan Instagram