ジョルジオ・アルマーニが追求するエレガンスは、これみよがしな高級感やゴージャスさとは異なるもの。洗練されたアウトフィットの背景にある、豊かなパーソナリティやアティチュード。そうした立ち居振る舞いを含めたエレガンスにほかならない。
中綿入りのウールカシミヤコートは、さりげない光沢感とふっくらとした質感が魅力。スーツはアルマーニが全面協力した映画『アメリカン・ジゴロ』のイメージを再解釈しており、テクスチャーのあるカシミヤシルク素材が、1930年代の空気感を漂わせている。
どんなに立派な衣服を身にまとっていても、「知性」がなくてはエレガンスは“身にまとえない”。そして衣服はあくまで生活の一部なのだ。
アルパカ、モヘアなどの四者混素材で編み上げたこのカーディガンは、石畳のような織り柄を全面にあしらい、フロントはラフに開けて着る仕様。無地のインナーを合わせてコントラストを強調することで、グラフィカルかつ有機的な柄をスタイリッシュに引き立たせたい。
ソフトで滑らかなテキスタイル、ゆったり優雅なシルエットのアウトフィットに包まれることほど、心の底から「リラックス」できることはない。
何げないエフォートレスなリラックス感は、アルマーニ流のエレガンスにおいて欠かすことのできない要素だ。そしてアルマーニを語るうえで避けては通れないのが、どこかフェミニンな色気すら感じさせる、パンツのシルエット。トーン オン トーンのストライプが刻まれたワイドパンツは、身体の動きに合わせて美しく揺れ動き、リッチなドレープを描いて風になびく。
ダブルフェイスのカシミヤ仕立てによる極上の柔らかさを堪能できるロングコートを合わせれば、シルエットバランスも完璧。
オープンマインドでコネクティブな「社交上手」であること。これもエレガンスを醸す大切な要素のひとつだ。王道のクラシカルなタキシードも魅力だが、現代のフォーマル、セミフォーマルにはコンテンポラリーなエッセンスこそが必要だ。
アルマーニ流イブニングを象徴するカプセルコレクション“Giorgio's”のジャケットは、オーセンティックなベロアジャケットとは一線を画し、ラペルを埋め尽くすように散りばめられたストライプ(ラインストーン)が象徴的。
前合わせに浅いダブルブレストという仕様もユニークで、パンツに施されたGAモノグラムパターンとともに、遊び心にあふれたアウトフィットに仕上がっている。
テーラリングにおいて最も重要なのは、正しく「フィット」していること。それはジャージやブークレといった素材においても変わりない。洗練されたスタイルに不可欠の、アルマーニにおける絶対条件だ。
アルパカやウール、ポリアミドを混紡し、ブークレ調のふっくらとした生地感を表現したセットアップも、アルマーニの真髄を体現したアイテムだ。ボリュームのあるブランケットに包まれるような安心感、ウォーム感がありながら、身体の動きを妨げない軽やかさと柔らかさ。
そして肩から胸に掛けてピタリと寄り添う完璧なフィット感が味わえ、足の曲げ伸ばしもノンストレスだ。シワが寄りにくい組織のため、どんなポーズでもクリーンで都会的な佇(たたず)まいが手に入る。
●お問い合わせ先
ジョルジオ アルマーニ ジャパン
TEL 03-6274-7070
Photograph / Kazuki Nagayama(S-14)
Styling / Kazumi Horiguchi
Hair&Makeup / Kotaro
Model / Felix(THE MANAGEMENT), Sethu(WIZARD MODELS)
Text & Editing / AMERICA