ヘルシーで栄養満点な豆乳。身体づくりにもうれしい飲み物ですが、子どものころから愛飲し、お馴染みという方も多いかもしれません。日本農林規格(JAS)によると、豆乳は次のように定義されています。
大豆(粉末状のもの及び脱脂したものを除く。以下同じ。)から熱水等によりたん白質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料(以下「大豆豆乳液」という。)であつて大豆固形分が8%以上のものをいう。
つまり、豆乳とは「水に浸した大豆をすり潰し、水を加えた後に煮詰めた液体をろ過したもの」となりますが、ひと昔前はクセの強い味わいから豆乳を敬遠する人も少なくありませんでした。ですが、最近では飲みやすい豆乳が多くそろっています。コクのある味わいとその栄養素の高さから、男女問わず人気を集めています。
そこでこのページでは、豆乳に含まれる主要栄養素、豆乳の種類、そして、おすすめの豆乳をご紹介しましょう。美味しい豆乳を食生活に取り入れて、健康的な毎日にお役立てください。
豆乳と牛乳の比較:骨や筋肉の発達に良い
豆乳と牛乳は共にタンパク質を多く含み、アミノ酸スコア(食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価するための数値)も高いという共通点を持っています。比較されることの多いこのふたつですが、牛乳は動物性で豆乳は植物性という違いがあります。
牛乳は豆乳よりも脂質が多くコレステロールも多めのスコアですが、豆乳は脂質・コレステロール共に少ない飲み物です。また、牛乳と比べてより多いカリウムやマグネシウムを含み、牛乳は含有しない大豆イソフラボンが含まれることから、豆乳は丈夫な骨や筋肉の発達に強い味方になってくれる健康飲料と言われています。
豆乳に含まれる栄養素と期待できる効能
味もさることながら、豆乳の大きな魅力は多くの栄養素を含んでいる点です。豆乳に含まれる代表的な栄養素とその特徴、期待できることについてご紹介します。
「大豆タンパク質」が豊富なので満腹感が続きやすい
豆乳の原料である大豆はタンパク質を豊富に含む食品で、日本食品標準成分表2015年版(七訂)によると、100グラムあたり約3.6グラムのタンパク質を含みます。タンパク質は3大栄養素のひとつで、筋肉や臓器、血液や骨、髪などの身体を構成する大切な役割を担っています。
タンパク質には植物性と動物性がありますが、大豆が含む植物性タンパク質は動物性と比較して、身体への吸収速度が遅いので満腹感が持続しやすく、ダイエットにも適していると言われています。
「レシチン」で生活習慣病と脳の老化予防を期待できる
豆乳に含まれる「レシチン」は、不飽和脂肪酸とビタミンB群のコリン、リンが結びついたものでリン脂質と呼ばれています。「レシチン」はリポたんぱくの構成成分でもあり、「レシチン」を摂ることで、いわゆる善玉コレステロールと呼ばれているHDL(高比重リポタンパク)を増やしていくことが研究で発表されています。
また、「レシチン」には血管壁に付着しているコレステロールを乳化(水と油を混ぜ合わせて分解する作用)させて取り去る働きも確認されています。血管壁に沈着したコレステロールが酸化すると動脈硬化が促進されることから、その予防に役立つ成分というわけです。
また生活習慣においては、「運動不足や喫煙がHDLを下げる原因である」と考えられているので、そんな方におすすめとなります。
中性脂肪を抑える効果が期待できる「サポニン」
「サポニン」については、脂質の過酸化抑制と代謝促進に関与しており、高脂血症、高血圧症、動脈硬化症などの改善に効果があるという研究結果が出されています。ですが、ヒトにおける効果やその有効性、安全性に関しては、まだ十分な事実確認がなされるには至っておりません。さらなる知見の集積が期待されています。
その他にも「イソフラボン」や、腸内環境を整えて便秘が気になる方にうれしい効果が期待できる「オリゴ糖」などを含んでいます。上記でご紹介したもの以外で、豆乳が含む主な栄養素は以下のとおりです。
- ビタミンB群
- ビタミンE
- フィチン酸
- カリウム
- マグネシウム
- 不飽和脂肪酸
豆乳は太るのか? ダイエット効果は?
ヘルシーなイメージのある豆乳ですが、そのカロリーやダイエットへの効果とは?
無調整豆乳はおよそ46キロカロリー(100グラム当たり)
まず豆乳のカロリーですが、無調整豆乳は100グラム当たり46キロカロリー(日本食品標準成分表2015年版(七訂))となっています。参考までに、牛乳は100グラム当たりおよそ67キロカロリーなので、特別に高カロリーな飲み物とは言わないでしょう。しかし、砂糖やフレーバーが加えられた豆乳飲料は糖質も多めとなります。
豆乳のダイエット効果は?
前述のとおり、大豆が含む植物性タンパク質は動物性と比較して、吸収速度が遅いので満腹感が持続しやすいという特徴があります。間食予防にも効果的な上に食事前に摂取すれば、ムダ食いを防ぐことが期待できるでしょう。
痩せやすい身体づくり目指すのであれば、一定量のタンパク質を摂ることが推奨されています。植物性大豆タンパク質の豆乳は、動物性食品よりもカロリーが低いので、上手に活用すれば、痩せたいと願う人の強い味方になってくれることでしょう。
また腸内環境を整え、腸内活動を活発にする「オリゴ糖」を含んでいます。便秘にもうれしい効果が期待できる点も見逃せません。
豆乳を飲む上で注意したい点
1日に飲む豆乳の目安の量は200~300グラム
豆乳は1日に、200~300グラム(コップ1杯~1.5杯)以内で飲むことがおすすめとされています。内閣府食品安全委員会によると、大豆イソフラボンの摂取上限量は1日70~75グラムとされており、豆乳に換算するとコップ1杯~1.5杯に該当します。
豆乳を飲み過ぎるとどうなるのか?
タンパク質の摂り過ぎで、それが直接の原因となって病気になることはないでしょう…ですが飲みすぎると、胃腸に負担を掛けたり、体重の増加、栄養に偏りが生じる恐れがあります。特にプロテインを飲んでいる方は、摂取量には気をつけましょう。
無調整・調整・豆乳飲料の違いとは?
スーパーなどで豆乳を見かけると、パッケージには「無調整」「調整」「豆乳飲料」などと記載されているのを見たことはありませんか? 豆乳は製造方法によって3つに分類され、それぞれで性質が異なります。ここでは、「無調整」「調整」「豆乳飲料」3種類の豆乳の特徴と違いについてご紹介します。
無調整豆乳
油や砂糖などの調味料を加えることなく、水と大豆だけでつくられた大豆固形成分が8%以上の豆乳を「無調整豆乳」と呼びます。大豆固形成分とは、製品から水分を取り除いて残る大豆の成分量のことで、大豆固形分の%が高いほど大豆成分濃度の高い製品になります。
味わいの特徴ですが、調味料が加えられていないので、大豆本来の味を楽しめます。その一方で、豆乳に慣れていないと「飲みにくい」と感じるかもしれません。健康志向で余分な調味料を摂りたくない人には、無調整豆乳をおすすめします。
調整豆乳
調整豆乳はそのままでも飲みやすいように、糖分や油分が加えられた豆乳です。大豆固形成分が6%以上のものが、この調整豆乳と定義されています。クセの少ない味わいでほんのり感じる甘さが特徴。無調整豆乳は熱を加えると分離しやすいので、料理で使う場合やホットで飲みたい方には調整豆乳がおすすめとなります。
豆乳飲料
豆乳飲料とは、調整豆乳にいちごやバナナなどの果汁やコーヒーなどを加えて味つけされた豆乳です。大豆固形分は4%以上のものを指します(果汁系の豆乳飲料は大豆固形分が2%以上のものとなります)。
おすすめの豆乳5選
ふくれん 九州産ふくゆたか大豆 成分無調整豆乳
国産品種の大豆「フクユタカ」を使った無調整豆乳です。大豆固形成分は9%なので、大豆の栄養素をたっぷり摂ることができます。丸大豆をしっかりと水に浸してから搾汁し、ふくれん独自の大豆の旨味を引き出す製法でつくられています。
大豆特有の臭みはカットされ、さっぱりとした味に仕上がっているのが特徴。豆乳初心者の方でも「飲みやすい」と言える豆乳です。
- 種類:無調整豆乳
マルサンアイ タニタカフェ監修 オーガニック無調整豆乳
豆乳メーカー最大手のマルサンアイと、健康総合企業のタニタが運営するタニタカフェがコラボした豆乳です。栽培から出荷までの全てを厳しく管理し、農林水産省登録認証機関であるOCIAジャパンの有機JAS認証を受けている大豆を使用しています。
飲みやすくするための調味料も厳選されており、オーガニックシュガーと岩塩のみで製造。コクとまろやかな風味が楽しめる、身体に優しい調整豆乳です。
- 種類:無調整豆乳
プロヴァメル 調整豆乳
プロヴァメルは、人や環境に配慮したサステナブルな方法で製品を開発しています。有機大豆は契約農家でつくられた良質な大豆のみを使用し、着色料や保存料を使わず、不飽和脂肪酸の含有量が少ない豆乳になります。リンゴエキスが配合されており、自然な甘さで、とても飲みやすいのが特徴となっています。
- 種類:調整豆乳
トーラク おいしさスッキリきな粉豆乳飲料
こちらは、深煎りしたきな粉の香ばしい風味に、黒糖をブレンドした豆乳飲料です。豆乳のすっきりとした甘味と、きな粉の相性が抜群。さらにコレステロールがゼロなので、中性脂肪が気になる方やダイエット中の方でも安心です。
200ミリリットルのパックなので、オフィスなど外出先でも大豆の栄養を気軽に摂取可能。和菓子を食べるような感覚で、イソフラボンや大豆タンパク質が手軽に取り入れることができるでしょう。
- 種類:豆乳飲料
キッコーマン 豆乳飲料いちご
こちらは、甘酸っぱいいちご味がクセになる豆乳飲料です。大豆は契約農家の丸大豆のみを使用しています。栄養成分表示には、コレステロールがゼロと表記されているので、身体に優しいと言えます。ドリンク以外にも凍らせてかき氷機で削れば、ヘルシーな豆乳かき氷をつくることも可能です。この夏のヘルシーデザートとして、お楽しみください。
- 種類:豆乳飲料