[目次]
環境意識の高まりから、注目が集まっているコンポスト。この一見ゴミ箱のような見た目の容器を使用すれば、家庭から出る生ゴミを堆肥(たいひ)に変えることができます。
日本は家庭ごみが多く、OECD(経済協力開発機構)の行った2019年の調査では、その量は世界4位。コンポストはゴミの量そのものを減らす上に、70%以上が水分を占める生ゴミを減らすことでゴミが軽く燃えやすくなり、環境負荷の削減につなげることができます。そのため、購入補助を行っている自治体も珍しくありません。
また、コンポストによって堆肥を自作することができるというメリットもあり、家庭菜園や花の栽培に活用することも可能となります。そこでこのページでは、室内やベランダで使えるコンポストに絞っておすすめ製品を紹介すると共に、使い方のコツも解説していきます。
コンポストとは?
コンポスト(compost)とは、本来は英語で「堆肥(たいひ)」のことを意味します。「堆肥」とは、枯れ葉や生ゴミなどの有機物を微生物によって分解・発酵させてつくった肥料のこと。そしてこの堆肥を生ゴミなどからつくる装置のことを、英語で「コンポスター(composter)」と呼びます。
日本では、「堆肥」と「コンポスター」の両方を「コンポスト」と呼ぶのが一般的となっています。このページでは、微生物や菌の働きによって生ゴミを発酵・分解し堆肥化する装置の「コンポスト」についての説明となります。また、装置としてのコンポストは「生ごみ処理機」と呼ばれることもあります。
ベランダ・室内向きのコンポストは、好気型&嫌気型
コンポストは、家庭菜園やガーデニングをしている人の間では、以前から知られる存在でした。ですが、これまでは土に埋めて使う「土中式」のコンポストが一般的で、マンションなど庭のない集合住宅では使えませんでした。
しかし最近では、土に埋めずに使えるタイプのコンポストが登場しています。屋内やマンションのベランダでも使用できるとあって、人気となっています。また、ゴミを堆肥にする方法が「好気型」と「嫌気型」の2種類あり、それぞれ特徴が異なります。以下で、その違いを見ていきましょう。
「好気型」のコンポストとは、好気性微生物の力で生ゴミの分解を行うタイプで、生ゴミ臭がほぼありません。脱臭機能付きなら室内に置いても、十分使用可能でしょう。
微生物に酸素を届けるための定期的な撹拌作業や水分の追加が必要ですが、条件が良ければ発酵は1~2週間とスピーディに済みます。
微生物が活発になる温度を保つ機能が搭載されていたり、撹拌機能がついていたりするため、比較的高価な製品が多くなります。
「嫌気型」のコンポストは、嫌気性微生物が生ゴミを分解します。かき混ぜや温度管理は不要。生ゴミと「EM菌」を一緒に投入するだけでOKです。コンポストはただの密閉容器なので、安価に販売されています。
容器のフタを開けると生ゴミ臭がするため、容器は密閉には最新の注意が必要となります。有機物の分解に要する期間は、10日~3週間ほどです。
コンポストのおすすめ6選【ベランダ・室内での使用に】
グリーンパル EMエコペール 18L
嫌気型のコンポストとしてはスタンダードな製品で、Amazonでも200以上の口コミが寄せられています。価格がリーズナブルで耐久性も高く、使いやすいと好評。
半透明の本体は生ゴミが外から見えず、それでも中の状態はなんとなくわかる絶妙な透明具合。ゴミが堆肥に変化していく過程がわかるので、初めて使う人にもおすすめです。
- タイプ:嫌気型
サンコープラスチック EMワーカー 15L
構造は上記で紹介したグリーンパルと同じですが、コチラはやや小さめの15Lサイズ。使い勝手にも大きな差はありませんが、液肥を汲み取るカップ付きなので別途用意せずに済みます。
また、嫌気型コンポストにはめずらしいブラックカラーで、ベランダに置いても目立たないのもよいところ。嫌気型ならグリーンパルとコチラで、好みのものを選ぶとよいでしょう。
- タイプ:嫌気型
ONESTEP 堆肥コンポスター
本体をぐるぐる回して撹拌するタイプのコンポストです。庭に置いて枯葉や、伐採した小枝や葉っぱを入れる使い方がメインですが、ベランダでも使えます。
ベランダで生ゴミを入れて使う場合は、市販の発酵促進剤を入れて使ってもよいでしょう。中身が完全に逆さまになるため撹拌力が高く、発酵スピードも早いと評判です。
- タイプ:兼用型
Cis ボカシオルガンコ2
スロベニア生まれの、おしゃれなデザインのコンポストです。嫌気型の密閉型コンポストは実用性的な見た目の製品が多いのですが、この製品なら生活感が強くなりすぎません。
使い方は他の嫌気型コンポストと同じですが、液肥を取り出すのが蛇口ではなく、本体を持ち上げて傾けて取り出します。蛇口がない分、見た目もスッキリしています。
- タイプ:嫌気型
エコクリーン ル・カエル 基本セット
低温でも生ゴミを分解できる”エコパワーチップ”がセットになった、好気型コンポストです。外箱と不織布の巾着の2重構造で、微生物に酸素を届ける通気性を保ちながらニオイが出づらくなっています。
水分が多過ぎても、不織布の巾着ごと絞って調整することが可能です。また、撹拌(かくはん)に失敗することも防げるでしょう。撹拌は手動で行いますが、柄が長いしゃもじが付いているので、撹拌しやすいと評判です。
- タイプ:好気型
エコクリーン 自然にカエル S 基本セット
コチラもエコクリーンの製品で、エコパワーチップを使う好気型コンポストです。「ル・カエル 基本セット」と違う点は、撹拌用のハンドルがついていることと、約1.7倍の700gのゴミを毎日処理できることです。
上部のフタがワンタッチで開くので、キッチンの足元に置いておいて、サッと生ゴミを入れることができます。「ル・カエル 基本セット」に比べると割高ですが、撹拌作業を簡単にしたい人にはおすすめです。
- タイプ:好気型
コンポストの使い方のコツ
コンポストに入れる生ゴミは、下処理が必要です。5cm角以下の大きさになるよう生ゴミをカットし、水気をよく切りましょう。十分に水を切らなかったり、生ゴミが大きすぎると、発酵に失敗して腐敗する原因にもなります。
魚の内臓や肉、バターなど動物性のものや、玉ねぎやにんにくの皮などは分解するのに時間が掛かり、腐敗臭を発しやすくなるので注意が必要です。そういったイヤな経験があると、コンポストを使うことにためらいが生じてしまうこともあるので細心の注意を払ってください…。そこで最初は、野菜や果物から始めるとよいでしょう。早く分解され、ニオイもあまり出ません。
ベランダや屋外にコンポストを置く場合、防虫ネットで覆うことをおすすめします。フタの開け閉めや、液肥の取り出し時のニオイをかぎつけ、どうしても小バエや虫は寄ってきてしまいますので…。防虫ネットがあれば、外から来た虫が卵を産みつけるのを防ぐことができます。
まとめ
コンポストがあれば、家庭で出る生ゴミを減らせすことができ、季節や環境によっては生ゴミの処理そのものがラクになります。ガーデニングや家庭菜園をしている人なら、堆肥ができて一石二鳥でもあります。気になったものを1つ手に入れて、ぜひ、エコな暮らしへのきっかけとしてコンポストを取り入れてみてはいかがでしょうか?