日本同様、イタリア全土でも記録的な猛暑が続いています。いわゆる「異常気象」は年を追うごとに深刻になっていると言われ、石炭や石油など化石燃料によって発生した二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスは、高いレベルにまで達していると報道されています。なので、政府やマスコミなどが、「その解決には、抜本的な方向転換が必要だ」と声高に言うのも何ら不思議ではありません。

未来に対して考えるべき環境問題に対して、世界のいくつもの大国がその対策としての号令を表明していますが、それはそれとして、私たち個人レベルで取り組めることがきっとあるはずです。例えば肉を食べる代わりに、植物性食品を選ぶことなども持続可能な取り組みの一つと言えるでしょう。

「食品産業は、温室効果ガス総排出量のおよそ15%近くを排出している」とも言われていますが、果物や野菜、豆類を中心に摂取することで、憂慮すべき状況の実現に本質的な貢献ができるのでしょうか?

それでは、動物性食品を一切口にしないヴィーガンと、動物性食品も摂取する人(さまざまな食材を幅広く食べるという意味で、以降は「雑食主義者」と表記します)それぞれの食生活が環境に与える影響の違いとともに、ヴィーガンの食生活がもたらす利点について考えていきましょう。

雑食性の食事は環境への負担をもたらす

倫理的・個人的な事情を別に考えれば、ヴィーガンと雑食主義者それぞれの客観的な利点と欠点は、環境への影響を示すデータを通じて調べることができます。

1880年創刊のアメリカの科学雑誌『サイエンス』は、世界中の農場から排出されるガスと汚染を調査した研究結果を2018年に発表。それを英「ザ・ガーディアン」も掲載された記事には、「動物性食品はカロリーの約18%、摂取タンパク質の約37%を占めるに過ぎないにもかかわらず、生産のためにおよそ83%の耕地を必要とし、食品産業の温室効果ガスと水質・大気汚染の約60%を発生させていた」としています。

世界人口においては、2022年11月には国連によって80億人を突破したことが伝えられ、2037年には90億人、2080年代には104億人でピークを迎えると予想されています。その数値と1人当たりの肉消費量の増加を併せて鑑みれば、状況が悪化の一途をたどることは想像に難くありません。

もちろん植物性食品もまた、その栽培において地球に影響を与えています。ですが、栽培に使われる土地の多くが人が消費するための食材ではなく、飼料生産のために利用されていることを考慮しなければならないでしょう。

人の活動による温室効果ガス総排出量のおよそ14.5%が、畜産業や農業に由来すると言われています。食肉の消費量を減らす(もしくはゼロにする)ことで、それらによる汚染を削減できることは言うまでもありません。

ヴィーガンと地中海食でも、
環境に与える影響に大きな隔たりがある

ヴィーガン、あるいは動物性食品を「ほぼ」口にしない食事は多くの利点をもたらすと言われています。そこで重要視すべきは、環境汚染の削減に関してです。これは、旅行のために飛行機の使用を諦めることよりもはるかに、大きなインパクトがあるとされています。オックスフォード大学によって2016年3月に発表された研究によれば、「ヴィーガン食が世界の主要な地域すべてに広まった場合、2050年までに温室効果ガスの排出を70%削減できる」とのこと。

次に、倫理的な問題に関して。食肉をなくすことは、市場の需要を満たすために非人道的な扱いを受ける動物の残酷な搾取を中断することも意味します。そして最後に、植物性食品を中心とした食事は人間の健康にも役立つことを示す研究も数多く発表されています。

2023年に『Environmental Research and Public Health』が、ヴィーガンと地中海食(野菜や豆類を優先し、肉の摂取を最小限に抑えることを推奨する食事法)を比較する研究を発表しています。それによると、「地中海食を志向する人が動物性食品の摂取を完全に止めて、100%植物性食品を摂取するだけで環境汚染は44%も減少する」と言います。

Source / Esquire IT
Edit / Ryutaro Hayashi
※この翻訳は抄訳です