あなたが恋人とあるグループに属している場合、彼女はあなたとの関係の変化や出来事など、悪気なく全て話している(もしくは晒している)可能性が高いでしょう。元来おしゃべり好きな女性はスマートフォンを通じて、常に外の世界の群れとつながっていたいと考えている方が多い傾向にあります。

 その手段の1つに、(もしかすると、今での最大の手段かもしれない)Instagramがあります。映画 『2001年宇宙の旅』で重要な役割を果たす人工知能を備えたコンピュータHAL 9000のように、Instagramは若き恋人たちのあらゆる動きに注目して、それをクラウドに集積しています。交際関係を“公にすること”は、これまで有名人の特権でした。が、今では誰もが自分たちのプライベートをさらし、時にパパラッチされ、誰もがブランジェリーナのような状態となっていると言って過言ではありません。

 Instagramはもはや、コミュニケーションツールを通り越して、彼・彼女をまるでハリウッドスターのような気分にさせてくれるプラットフォームなのです。そして、そんなパートナーを持つあなたは、カメラマンとなる可能性も高いわけです。つまり彼女が、Instagramのストーリー用にラテアートやロゼワインを手にポーズをとる姿を撮影する係です。その代わり…と言ってはなんですが、もうあなたは、彼女の長すぎる買い物に付き合う必要がなくなるのです。なぜなら、買い物時の悩みもInstagramによって解決済です。ストーリーの投票システムを利用すれば、あなた以外の複数人から簡単に意見がもらえるようになっているからです。

instagram
YouTube
こちらのモーリッツとローレンスのパートナーは、上の写真の美女(インフルエンサー)です。

  今日、あなたは食事(もしくは食事を前に喜ぶ顔をする彼女を)の写真を撮るために、毎食前に携帯を取り出さなければいけなくなってしまいました。実際、レストラン経営者はどれだけインスタグラムに映えるかも考慮しなければならないほど、悪習慣となってしまいました。

 個人的な意見ですが、できることなら、こんな生活には参加しないほうがいいでしょう。まず人生は、カメラのレンズを通して体験するには短すぎます。レンズ越しに長方形の枠を切り取る作業を1時間おきに行うよりも、自然を感じたり、できたてのご飯をすぐに食べたり、カメラではなく、あなたに笑いかけるパートナーを見ているほうが、その瞬間を生きている感覚=快感が味わえるはずです。

 世界につながるプラットフォームで、あなたのかわいいパートナーを自慢するのは良い気分かもしれません。ですが次に、あなたではなくパートナーに向けたアドバイスがあります。

 SNSに投稿を行えば行うほど、当たり前ですがチェックする時間も比例して長くなります。つまり、その滞在時間は膨大に長くなるわけです。結果、デジタル新聞やニュースでさえもじっくりと読む時間がなくなります。そうして世間知らずのまま、SNSという不思議の国に迷い込んだアリスになってしまうのです。それでいいのでしょうか?

 そうしてSNSへのパフォーマンス力向上に対し常に努力し、さらにヒートアップするしかない美容の理想を追随しなくてはならない…。今日多くのミレニアル世代の女性たちが、そんな悩みに押しつぶされそうになっていませんか? 中には、「そのプレッシャーや悩むことが快感なんです」という方なら、心配する必要はありませんね…。

 最後に、パートナーとの関係が終わったときのことを考えてみましょう。彼女の長いタイムラインを振り返ると、彼女の素敵な顔(加工フィルターの有無に関わらず)や、味はよく覚えていないけれど見た目だけ印象的だったレストラン、美しい自然の中で写真撮影をしたら早々と引き揚げたことなど…あなたとの思い出の数々がラインナップされているのです。

 そして数カ月後、彼女の新たなストーリーが始まっていることを思いがけず目撃してしまう可能性だってありますので…。なので早めに、彼女を夢から覚めるよう誘うほうがいいかもしれませんね。でも、夢見るアリスが可愛いのであれば、そのままでもいいかもしれません。

Source / ESQUIRE NL