2017年2月6日(日本時間)、アメリカ・テキサス州で行われたアメフトの頂点を決める、第51回スーパーボウル。ニューイングランド・ペイトリオッツとアトランタ・ファルコンズによる激しい攻防戦は、史上初となる延長戦までもつれ込むことに。

 そして、見事ペイトリオッツが大逆転勝利を収めたのでした。これまで数多くの怪我人を抱えてきたペイトリオッツが優勝したことに、NFLファンは興奮しているようですが、彼ら以上に興奮したのはおそらくドナルド・トランプ大統領では?トランプ大統領が出馬してから、様々な災いがペイトリオッツに 起きてしまっていたようで、トランプ支持派として知られるスター選手のトム・ブレイディも今回の件に関しては、安心していることに違いありません。

かつて、誇り高き強固なNFL(アメフト)チームが、あっけなく希望を失った瞬間をいつくも目の当たりにしました。

 しかしながら、先日行われた第51回スーパーボウル(NFLの頂点を決める最高峰の試合)では、その1チームだったニューイングランド・ペイトリオッツが、勝利したのです。皆さん、このことは記憶に新しいでしょう。今シーズンは怪我人などのトラブルが実に多く、彼らにとってかなり長く感じたシーズンではなかったでしょうか。

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ペイトリオッツの大逆転劇の立役者であり、MVPに輝いたトム・ブレイディ。

 2016年12月1日(木)の夜、チームと主力選手の1人である、タイト・エンドのロブ・グロンコウスキーの家族は共同声明で、グロンコウスキーが背中の手術を受けることを発表しました。

 つまり、彼の今季復帰と、2017年2月に行われるスーパーボールでプレイする可能性は極めて低くなったというになります。ファンとボストンのメディアはすぐに反応し、数週間前にシアトルで負った怪我から復帰させるのを急ぎすぎたのではないか?との憶測から、チームの責任を問い詰めていました。

 しかし、本当の原因はニューイングランド・ペイトリオッツのヘッドコーチであるビル・ベリチックよりももっと厄介な、ドナルド・トランプの呪いではないかと囁かれていたのでした。

 2016年は次期大統領として、大統領選の初日からスター選手のクオーターバックのトム・ブレイディ、ヘッドコーチのビル・ベリチック、そしてチームオーナーのボブ・クラフトとの友情を自慢し、これを大いに利用することにより、予期せぬことに権力の頂点に上り詰めてしまいました。

 彼らの関わり合いは、かなり昔にさかのぼります。2010年にはすでに…。当時のゲーム中、トランプがクラフトとボックス席に座っていた映像があります。そのとき、ウィッグ(?)がおかしくなった事件は印象的でしたね。その数年後、彼はチームのロッカールームに姿を現したのでした。

 トランプのウィッグ(?)がおかしくなっていた映像を、ここで振り返ってみましょう。

トランプ大統領がもたらしていた、ペイトリオッツへの災いとは?

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Donald Trump's Hair Blows on Monday Night Football MNF
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 投票日の前夜、呪縛のツケがついにやってきてしまいました。

 ニューハンプシャー州での決起集会で、トランプはペイトリオッツ信者の大衆に向かって、ブレイディとベリチックの支持を受けたことを表明し、さらに無口なことで不評なヘッドコーチから熱心な支持を表した手書きのメモを読み始めたのです。

 そのことについて、ヘッドコーチからはメモを読む許可を得ているとのことでした。クォーターバックもヘッドコーチも、選挙戦とは深く関わらないようにしていたようで、ベリチックは友人に対する単なる走り書きだと説明し、自分は「政治に関わるような人物ではない」とした一方、ブレイディは「繰り返される質問を意気地なく避け、妻に政治の話をするなとクギを刺されている」と語りました。

 それにしても両者の名声に寄り掛かり、それがトランプ選出の原因となったことは否めないでしょう。そして今、彼らと、この国全体がその報いを受けているのです。

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トランプ支持派として知られる、ペイトリオッツのクオーターバック、トム・ブレイディ。

 まさに、“良薬(?)口に苦し”な話だと言えるでしょう。特に、ニューイングランドに住む方々にとっては。周知の通り、民主党支持者の多い州であり、私自身(筆者)、自称ペイトリオッツのファンでありますからね。

 自分がスポーツファンだと思っている人は皆、特にすべてのチームオーナーが億万長者であるという事実であるからだけで、盗人成り金のクズであるという現実を無視する、心の柔軟体操をしなければならないですし。

 しかし、金持ちたちの間の抜けた友情が、実際大統領支持に変わったとき、ここにいる我々多くのペイトリオッツに対する考え方が、何かしら変わったのではないでしょうか。

 トランプがペイトリオッツとの友好関係を得意げに語り始めた当初から、状況が悪くなっていました。

 去年、トランプはペイトリオッツがスーパーボールで勝利すると予測しましたが、実際はAFCタイトル戦でデンバー・ブロンコスに負け、恥をかいてしまったのです。

 今年、トランプが繰り返し、彼の無実と人格の素晴らしさを訴えたにも関わらず、ブレイディは「デフレートゲート事件」で、ついに当然の報いを受けたのです(それが悪い兆候だったのかもしれない)。以来、これまで常に冷静だったペイトリオッツのキッカー、スティーブン・ゴストコウスキーも故障。彼は、このシーズンはいままでにない絶不調となったのです。自身のキャリアの中でも最悪の数字となり、フィールドゴールのチャンスを幾度も逃していたんでした。

 そして、ディフェンス陣も崩壊しました…。続いてベリチックにより、2人のベストディフェンスプレイヤーであるチャンドラー・ジョーンズとジェイミー・コリンズが不可解にも解雇されてしまいます。

 選挙後では、チーム状況は悪くなる一方で、ブレイディは膝の怪我で足を引きずり、歩くこともままならなかったのです。彼の投げるボールは、レシーバーの頭上を超えていくばかりでした。そして、グロンコウスキーのキャリアが今後どうなるのか断言するのはまだ早いのですが、27歳で背中の手術を3回行ったことが、彼の将来にとって良い兆候とは思えません。

 グロンコウスキーに関する限り、政治的バイアスを決して裏切っていませんが…。今年、トランプかクリントンのどちらかと食事をするか?との質問すると、「くじで決めるよ」と話していました。

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休日ゴルフを楽しんでいた、トランプ大統領とトム・ブレイディ。

 「トランプがフットボールチームに呪いをかけた」、でも、そういうことで言うなら、リーグ全体に大きなダメージを与えたのは、これが初めてではありません。

 我々は、この世界での呪いの予測に過敏になっています。言ってみれば、私はチームがAFCのベスト記録に並ぶことに、芝居がかったいるのでは?と感じようになっている…かもしれませんね。でも、スーパーボウルで劇的な逆転勝利を収めたペイトリオッツには、脱帽していますけれど。

Source / ESQUIRE US
Translation / Spring Hill, MEN'S +
※この翻訳は抄訳です。