サーフィン…東京五輪で新競技として実施される、勘違いされやすいこのスポーツの真相

　いわゆる「波乗り」です。「サーフィン」とは言わず、いまもなお頑なに単語で話をする愛好家も多いことでしょう。

　ご存じのとおり、サーフボードという板を用いて波に乗り、そのテクニックを競うものになります。その板は、サイズによって大きく2つのタイプに分けられます。

　長さ9フィート（約274cm）以上のボードを使う「ロングボード」では、ボードの上を歩くテクニックをメインに競い、一方で「ショートボード」は長さ6フィート（約183cm）前後のボードを用い、いかに華麗にアクションを見せるかを競う競技になります。東京五輪では、この「ショートボード」のみを採用しています。

　数あるオリンピック競技の中でも、特に自然のコンディションに左右されるため、刻々と変化する自然といかに対話し、そして調和することによって、いかに自分が持つ最高のパフォーマンスを発揮するかが決め手となります。

　サーフィンのもともとの始まりは、西暦400年ごろ。つまり、実は非常に古い歴史を持つスポーツとされています。

　まず、高度な航海技術を持ち、“海の民”と呼ばれた古代ポリネシア人が片側に浮きのついた舟「アウトリガー・カヌー」を発明します。そして最初は漁業に使われていたそのカヌーですが、波乗り用の娯楽として独立して徐々に小型化し、木を削った板状のもの＝サーフボードの原形が誕生したそうです。

　大航海時代も過ぎた18世紀、「キャプテン・クック」の名で知られるイギリス人探検家ジェームズ・クックプテン・クック」の名で知られるイギリス人探検家ジェームズ・クックがハワイ諸島は発見。その際に、彼が初めてサーフィンを目撃したヨーロッパ人であると伝えられています。

　その後、キリスト教の布教活動の妨げになるとされ禁止されてしまうのですが、しばらくして復活…。五輪のストックホルム大会（1912）とアントワープ大会（1920）の水泳で金メダルを獲得した“近代サーフィンの父”こと、ハワイ出身のデューク・カハナモクによって広く世に伝わってゆくのでした…。

　1960年ごろには、日本に駐留中の米軍兵が藤沢や茅ヶ崎、鎌倉などでサーフィンを楽しんでいたそうです。

　それを見た地元の少年たちが、見よう見まねで「フロート」と呼ばれる自作のボードで波乗りを始め、それが定着したと言われています。その後、好景気の波に乗って、レジャースポーツとして一気に大衆化したということ。

　2020年の東京五輪では、ショートボード男子＆女子の全2種目が行われます。

　もう一度言いますが、開催地は千葉県の一宮町の釣ヶ崎海岸です。

　波を乗りこなす、ライディングの点数によって勝敗が決定します。1本のライディング中に、いかに難易度が高く創造性や革新性に優れた技をバラエティ豊かに披露できるか？ そのスピードやパワフルさなどを総合して、複数の審査員が採点します。

　各選手が時間内に獲得した得点のうちから、2本の高得点の合計により勝敗が決まる2ウェーブ制となります。技に対して。それぞれ得点が決まっているわけではないため、流れるように技を披露するとさらに高得点につながります。

　出場できるのは、男女20名ずつの計40名。

　サーフィンには、「1つの波には1人しか乗れない」という大原則があるため、波を待つポジションや誰がどの波に乗るかなど、海上で静かに繰り広げられる駆け引きにも注目してください。

　強さを誇るのは、やはりいい波の来る国、そう、海岸線も多いアメリカとオーストラリアでしょう。また、近年はブラジルも勢いを増しており、サッカーに次ぐ人気スポーツとして、実力派選手が多く輩出されています。なお各国で、2人しか出場できません。

　男子では、この写真のコロヘ・アンディーノ選手（アメリカ）やジョーディ・スミス選手（南アフリカ）、ルッカ・メシナス選手（ペルー）、フレデリコ・モライス選手（ポルトガル）、ビリー・ステアメンド選手（ニュージーランド）、ジェレミー・フローレス選手（フランス）らがすでに出場が内定しているほか、ジョン・ジョン・フローレンス選手（アメリカ）、ガブリエル・メディーナ選手（ブラジル）らが注目選手。

　また、過去何度も世界トップに輝き、2020年には48歳となるレジェンドサーファーであるケリー・スレーター選手（アメリカ）も、参戦が予想されています。

　女子選手では、サリー・フィッツギボンズ選手やステファニー・ギルモア選手（ともにオーストラリア）、ダニエラ・ロサス選手（ペルー）、エラ・ウィリアムズ選手（ニュージーランド）、アナト・レリオール選手（イスラエル）らが内定しているほか、コートニー・コローグ選手やカリッサ・ムーア選手（ともにアメリカ）らが注目株です。

　日本選手では、男子は五十嵐カノア選手（写真向かって左）と村上 舜選手（写真向かって右）が、女子では松田詩野選手が、条件付きで五輪出場内定をゲット済みです。

　五十嵐は、日本勢で最もメダルに近い存在とされています。そのほか、男子では大原洋人選手、稲葉玲王選手、女子では大村奈央選手、前田マヒナ穂乃香選手、脇田沙良選手らが注目選手となっています。

　3度目になりますが…東京五輪で会場となるのは千葉県一宮町にある、「釣ヶ崎（つりがさき）海岸サーフィンビーチ」（なんせ編集部担当スタッフの、生まれ故郷なので…）。

　ここの波は世界最高レベルとも呼ばれ、多くのサーファーたちが国内外から訪れる聖地的な地…会場カラーは藍色となっています。

　本来は4日で終了するスケジュールではありますが、波のコンディション次第であるため、予備日を含め日程は7月26日（日）～8月2日（日）の8日間を設定。その期間は、「オリンピックサーフィンフェスティバル（仮称）」が開かれます。

　東京五輪にあわせて開催されるフェスティバル「オリンピックサーフィンフェスティバル（仮称）」。サーフィンの大規模な大会では音楽ライブが行われ、飲食やサーフグッズのブースがあり、波を待つ間や試合中でも、観客は自由に砂浜で寛いだり食事をとったりするのが一般的です。

　今回の東京五輪では、サーフィンの魅力そのものを伝えるとともに、競技の一部としてのフェスティバルを提案するそうです。期間中は、毎日7:00～18:30の時間帯で開催を予定しているとのこと。

　他の競技よりもリラックスしたムードが味わえるので、サーフカルチャーを味わいに、気軽に足を運んでみてはいかがですか？ ですが、暑さ＆日焼け対策もお忘れなく。

　では、Youtube@五輪公式チャンネルで伝説のサーファーである、ケリー・スレーター選手のインタビューをご覧ください。

　ワールドチャンピオンに11回輝き、「70歳になるまでサーフィンをしたい」と語る彼が東京大会への意気込み、そしてサーフィンの魅力を語っています。

　最後に、Youtube@World Surf League公式チャンネルをご覧ください。これは2019年5月、バリ島で行われたCT第3戦『Corona Bali Protected』での準決勝Heat 2の模様で、ケリー・スレーター選手と五十嵐カノア選手との対決です。

　結果は…五十嵐選手がトータル15.07、対するスレーター選手が13.84で、五十嵐選手の勝利。その後決勝で、ジェレミー・フローレス選手（フランス）と対決。トータル15.10対14.63で、五十嵐選手の勝利。CT（チャンピオンシップツアー）初優勝を決めました。

サーフィンに魅了されたセクシーな美女たち

Youtube@ELLEgirlJAPAN公式チャンネルより【サーフィン／松田詩野】ミレニアル世代の注目アスリートをキャッチ！