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2010年代に置いていきたい10のトレンド − Facebook、セルフィー中の事故、電子機器の発火など…
Facebookや地球平面説の信者、そして爆発するスマホのない次の10年を想像してみてください…未来は明るいに違いありません。
新年の抱負にはあまり興味のない人でも、次の10年の抱負だったらどうでしょうか? 10年とは、そのうち消えてなくなる忌々しい文化的な流行と、私たちの集団意識に頑固として根づいてしまった悪しき習慣からおさらばするのに十分な長さと言えるでしょう。
「習慣が身につくには21日かかる」という「21日ルール」神話があります。この「21日ルール」は、1960年にアメリカの形成外科医であるMaxwell Maltz(マックスウェル・マルツ)医師著の『Psycho-Cybernetics』に記されています。
Maltz医師は、「通常、心の中でわかるまでの変化をもたらすためには、約21日以上かかる。例えば、整形手術の後には、彼の新しい顔に慣れるまで約21日かかる…」と説明しています。ですが、実際どうなのでしょうか?
それでは2020年代に突入する前に、2010年代でもう終わりにしたい10のことを確認していきましょう。
1. 科学の否定
現代の科学の否定の厄介なところは、その意見が主流になってしまうことです。
10年前なら薬は毒で、地球はパンケーキのように平たいと信じている人は、森の中をハイキング中に出くわす世捨て人くらいだったでしょう。しかし、ここ10年で、お正月におじさんが「地球の写真はNASAが捏造したものだ」と語るのも珍しいことではなくなってきました。
地球平面説の信者やワクチン反対派、気候変動否定派など…このような反科学的陰謀説が、この10年でこれほど人気となった原因はなんでしょう。そう、それはソーシャルメディアかもしれませんし、YouTubeのせいかもしれません。
しかし、本当の疑問はどうしてこうなったかではなく、親戚が「ワクチンは政府の陰謀だ」と熱弁するのをどうやってやり過ごすかです…。
反科学派と議論していて悲しくなるのは、2019年に生きる本来であれば、合理的な人間が科学的根拠に基づく事実に混乱しているということです。
「地球が丸い証拠がこれほどたくさんあるのに否定されると、議論する気力すらわきません。反論しようにも、どこから始めたらいいかわからないのです」と、NASAの天文学者ミッチェル・タラーさんは地球平面説についてのインタビューで話しています。「地球は平面ではありません。これは議論の余地すらない事実です」とも言っています。
それでも事態は悪化する一方です。
11月初め、オハイオ州の下院で学生の信仰の自由を守る法案が可決されました。これは、科学的事実が信仰にそぐわない場合、科学のテストで間違った答えを書いても減点されないというものでした。
これには驚愕せざるを得ません。
オハイオ州が、この先の未来の前兆ではないことを願いますが、この方向に進み続けたら人類が積み重ねてきた知識はすべて「意見の不一致」として簡単に反証されてしまうことになりかねません。
2. Facebook
もはやFacebookは色々な意味でひどい状態なので、一から説明するのはもはや困難です。
例えるなら、たばこを吸ったらガンになっただけでなく、個人情報がすべて盗まれて、敵対する海外政府が発信したフェイクニュースを頭の中に詰め込まれたようなものです。
しかし、多くの人が「やめたほうがいいのは分かっているけれど、なかなかやめられない」という状況に陥っています。
Facebookの催眠術のようなコントロールは、驚くべきものです。しかも、私たちがFacebookは有害だと知ったのは、ここ最近のことではありません。少なくとも10年前から分かっていたことですし、研究に次ぐ研究に次ぐ研究でも、Facebookが私たちをより孤独にし、落ち込ませていることが証明されています。当のFacebookでさえ認めているのですから…。
マーク・ザッカーバーグはもはや、素のままでも悪いことを考えているようにも見えてきました。
しかし、Facebookよりももっとひどいのは、反Facebook派の人々です。彼らは「Facebookは最悪だ」と口をそろえて言うにも関わらず、その直後にまたFacebookを開いてしまうのですから…。
3. セックスロボットの懸念
エンジニアのダグラス・ハインズ氏が、世界で初めてのセックスロボット「ロクシー」を2010年にラスベガスで行われたアダルト・アンターテインメント・エキスポで発表したとき、みな同じことを考えたはずです。
「それって7000ドルもする高価なセックスドールでしょう」と。
確かに「フットボールについて」など、事前にプログラミングされた会話をすることはできますが、それ以外はロボットとは程遠い製品でした。セックスロボットの技術の進化において、私たちはまだ、ライト兄弟が凧揚げをしているような状態だったというわけです。それから大きな進歩は見られていません。
カリフォルニアのRealbotix社が2017年から1万ドルで販売しているセックスロボットの「ハーモニー」は、市場に出ている中では最先端のセックスロボット技術が使われています。その姿は、おっぱいがついたSiriを想像してもらえればいいかと思います。
髪の色や乳首のカタチを選べるのは、ちょっと気味が悪いですが、機能的なロボットよりはセックスドールに近いと言えるでしょう。
本当のセックスロボットは未だ存在していませんし、実現には程遠い状態です。しかし、セックスロボットが性的無秩序の入り口であるという苦悩に満ちた論説は、止むことがないことは確かです。
彼らはセックスロボットがハッキングされれば、人間を殺すこともできるのだと警鐘を鳴らし、暴力や女性を物としてみなす風潮を助長させると主張します。
セックスロボットはあなたが思っているよりも、危険な側面を持つ破壊的技術であり、人間のデリケートな部位を“狂気の愛の営み”の最中に破壊する可能性もあるのです。
4. 発火するテクノロジー機器
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』にインスパイアされたホバーボードが、突然発火する事故が100件近く起こり、約50万台が米国消費者製品安全委員会によってリコールされました。
また、サムスンのGalaxy Note 7は、2016年に米国運輸省によって電源のオン・オフに関わらず、全航空機への持ち込みを禁止されました。発火する事故が起きており、サウスウエスト航空機で乗客が緊急避難するという事態にまでなったためです。そしてこの2つは、ほんの一例でしかありません。
2018年に「ワシントン・ポスト」紙が、世界中で「ゴミ収集車とリサイクルセンターが炎に包まれている」と報道しました。
我々が別れを告げたアップルやサムスンなどが製造した電子機器が、頻繁に発火事故を起こしているのです。
ほとんどの火災が、軽量で高エネルギーであるリチウムイオン電池が原因となっており、業界では「サーマル・イベント」と呼ばれているそうです。
5. 自撮り中の死亡事故
自分の姿をカメラに収めることに夢中になりすぎて、死期を近づけることになるというのは皮肉です。
セルフィー(自撮り)は、人によってはとても危険な行為になり得ます。
2018年、学術誌の「Journal of Family Medicine and Primary Care」に発表された調査によれば、2011年から2017年の間に137件の自撮り関連の事故で259人が命を落としたそうです。そしてその数は、年々激増しているとのことなのです。
2011年には自撮りでなくなったのは、世界中でたった3人でした。が、2017年には約100人にも増えているわけです。
多くの人が誰も見たがってもいない自撮りを撮りながら、信じられない方法で命を落としているわけです。電車にはねられたり、象に踏みつけられたり、川に落ちたり、動物園の囲いの中に転落したり、雷に打たれたり、溺れたり…誤って自分を撃ってしまったり、バイソンに襲われたり、感電したり…とキリがありません。
6. ストリーミングサービスの乱立
「ネットフリックス・アンド・チル(Netflixを観てくつろぐ)」という言葉が流行ったかと思えば、NetFlix、Apple TV+、Disney+、Hulu、dTY、Amazonプライム、Paravi、FODプレミアム、U-Next、WOWO、スカパー!、J:COMオンデマンド、ビデオパスなどなど、大量のストリーミングサービスが出てきまくりで、とても見きれることなどできません。
10年前は、大手ストリーミングサービスが3つあっただけでした。ネットフリックス、Hulu、そしてYouTubeです。しかも、世界の注目をかけて死闘を演じていたわけでもありません。
ネットリックスはローンチしたばかりのころ、6時間分のコンテンツを見るのに5.99ドルという料金でした。が、これでは『SUITS(スーツ)』の最初のシーズンも見終わることはできなかったわけです。
…ということで現在、市場には100以上のストリーミングサービスが存在しているのです。そしてもちろん、それぞれ利用料金がかかるわけで、費用がかさむようになってきました。
ウェブメディアの「MarketWatch」は、あなたがストリーミングサービスにいくら払っているのかわかる計算ツールをつくっています。
データ分析会社のUTA IQが新たに発表した調査によると、ストリーミングサービス利用者の70%が、選択肢が多すぎると感じているそうです。そして、87%がコストについて不安を感じていると言います。
今後も多くのストリーミングサービスが誕生する予定です。そして、それぞれがそこでしか観ることのできないコンテンツを抱えているわけです。
この10年で主流となった“イッキ見”という概念ですが、現在はコンテンツを観る時間よりも、見たい映画がどのストリーミングサービスで利用可能かを調べるほうに、時間がかかっているようにも思えます。
7. ロボコール(自動音声電話)
ロボコールは日本でこそあまり浸透していないものの、アメリカでは小さくも大きな社会問題となっています。
「共和党と民主党、自由主義派と保守派、社会主義者と自由主義者、菜食主義者と肉食主義者、オハイオ州とミシガン州のフットボールファンを合意させるものがあるとしたら、それは『ロボコールにうんざりしている』ということでしょう」と、米国連邦通信委員会の委員長アジート・パイ氏は昨夏の声明で述べているほどです。
これは誇張でもなんでもありません。これほどまでに嫌われているものが、なぜ未だに猛威を振るっているのでしょうか?
事前に録音したメッセージをロボコールに送り返した2011年のリバース・ロボコールキャンペーンや、2015年に連邦取引委員会が行ったロボコールをブロックする技術に賞金を与える“ロボコール・チャレンジ”のように、消滅させようという試みはこれまでも行われてきました。
そしてRoboKillerやNomoroboのような、かっこいい名前のアプリも登場しました。しかし残念ながら、どれも効果がなく、ロボコールの勢いが衰えることはありませんでした…。
ロボコールをブロックするサービスYouMailによると、2018年だけでアメリカでは478億件ものロボコールがかけられ、2017年から56.8%も増えているそうです。アメリカに住む赤ん坊を含む男女1人あたり、146件のロボコールを受けた計算になります。
まだ話せもしないのに、ロボコールを受けるかわいそうな赤ちゃん…。ロボコールが絶滅するかもしれないという兆候が、ここ数カ月で見られています。しかし、以前同じような兆候が見られたときも、ロボコールはしぶとく復活してきたので、誰も楽観的ではありません。
ロボコールを打ちのめしたと思っても、すぐに信じられないほどパワーアップして戻ってくるのです。
8. リブート
マーティン・スコセッシ監督や、口の悪いスーパーヒーローを非難するつもりは全くありません。みんなスーパーヒーローの映画が大好きですから…。
しかし2010年代の宇宙船や空飛ぶミュータントなどの映画ブームよりも厄介なのが、それらの映画のほとんどがオリジナルのストーリーではなく、リブートだったということです。
この10年には、オリジナルで面白い映画もたくさんあったかもしれません。ですが、文化的な注目を集めた映画や大ヒットした映画のほとんどは、既存のキャラクターや架空のユニバースのリブートの繰り返しだったのです。
ここ10年の大ヒット映画を観てみてみると、トップ30のうち1作品を除いてすべてリブート作品です。オリジナルのキャラクターで入っているのは、13位の『アナと雪の女王』のみ。それ以外はライトセーバーや魔法使いの杖、観たことのある恐竜や20世紀のスーパーヒーローだらけです。
「いつの時代もそうでしょう?」と思うかもしれませんが、1990年代の大ヒット映画を観てみると、『スター・ウォーズ』シリーズを除けば、トップ20はすべてオリジナルのストーリーが占めています。
『インデペンデンス・デイ』は1950年代のDCコミックが元にはなっていませんし、『タイタニック』は昔のディズニーの実写版ではありません。『シックス・センス』だって、ジェームズ・スチュアートが50年前に演じた映画のリメイクではないのです。
スコセッシ監督の、「映画は予想外のことをもたらすアートだ」という言葉は正しいのではないでしょうか。あなたが、映画館で初めてダース・ベーダーを観たときの衝撃を覚えていますか? そんな映画をもっと観たいものです。
9. ネットのチャレンジ
アイス・バケツ・チャレンジに文句があるわけではありません。馬鹿げていて、害を及ぼさない楽しいチャレンジで、ALSの研究のために1億1500万ドルも集まったのですから…。
しかし、この10年にネットで流行ったチャレンジは、善意のあるものばかりではありませんでした。
アルバイト先の冷蔵庫に入って写真を投稿するような「バイトテロ」から、わざとスーパーで牛乳を床に落とすような、ただただ馬鹿げたものもありましたが、多くのチャレンジが最大級の害を及ぼすのを楽しむようなサディスティックなものでした。
また、自分に火をつけるチャレンジや洗剤を食べるタイドポットチャレンジ、電動ドリルにつけたコーンを前歯が取れるまで食べるチャレンジなど、理解に苦しむものばかりだったことは否定できません。
10. 飛行機での迷惑行為
人々が飛行機で不適切な振る舞いをするようになったのは、ここ最近のことなのかは定かではありませんが…。確かに飛行機に乗るときには着飾って、豪華な食事が振舞われていた時代が遠い昔なのは事実です。
しかし、飛行機の乗客が人目を気にせず、まるで自分の家かのように振る舞うのは最近になってからではないでしょうか? 臭い足がシートの間から飛び出してきたり、周囲の人との境界線などお構いなしに振舞ったり、それはまるで寝不足の幼児のように…。
290もの航空会社が加盟する国際航空運送協会によると、手に負えない乗客が、この10年で「重大な問題になっている」と言います。
2017年には1053便に1人の割合でひどい乗客が存在し、この数値は前年比で35%の増加となっています。
2018年エクスペディアが行ったアンケートでは、迷惑行為の割合が明らかになりました。シートを蹴ったり殴ったり掴んだりする行為が51%、においの問題が43%とトップに並びました。
しかし、飛行機内で起きている様々な事件を投稿するインスタグラムアカウント@Passenger Shamingでは、それよりもさらに酷い現状を覗くことができます。ほとんど裸で眠る乗客や、後ろの席など気にせず長い髪の毛を背もたれに乗せるといった乗客など…。
原因のひとつは、座席クラスにあるかもしれません。
2016年に米国科学アカデミー紀要に発表された調査によると、エコノミークラスの乗客がファーストクラスを通らなければいけない場合、その優雅な特典を楽しむ人たちの姿を見ることで迷惑行為に走る可能性は2.18倍になるそうです。
しかし、飛行機の真ん中から乗って、足元の狭さや無料のお酒が振舞われなことに気づかなければ、無神経な行為をするのはファーストクラスの乗客のほうでした。彼らが飛行機の先頭から搭乗した場合、真ん中から登場してエコノミークラスの様子を目にしたときと比較して、11.86倍も迷惑行為をする可能性が高まったそうです。
この問題を解決するためには、どの航空会社も英国の航空会社Jet2に倣(なら)うべきではないでしょうか。飛行中にパニックになってドアを開けようとした乗客に、10万6000ドルの罰金を課したのです。
「全員殺してやる!」と叫ぶのがこの金額であるなら、下着を乾かす行為は少なくとも、2万ドルの罰金という感じでしょうか…。
Source / POPULAR MECHANICS
Translation / Yuka Ogasawara
※この翻訳は抄訳です。