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【20の質問】60歳以降もセックスを楽しむ秘訣を、セックスエデュケーターが解説
「年齢を重ねるメリット…年配の人は“自分が何を求めているか”をきちんとわかっているので、伝えることを恐れない人が多いのです」と言います。
子どもの頃は、早く大人になりたいと願うばかりでした。ですが、人生はあっという間で気がつけば成人期が始まり、中年期に突入しています。
セックスや人間関係に関して言えば、疑問や懸念はコミットする準備ができていないことから出会い系アプリを利用することや、満足のいくセックスには「歳を取りすぎている…」という心配に変わっていくのかもしれません。
哲学者で作家のシモーヌ・ド・ボーヴォワール(1908-1986)。彼女が62歳のときに書いたのが、『老い』という著書です。
ボーヴォワールはこの著書の中で、「老人=情欲から解放された清らかな(純白な)存在」という、(われわれが持つ)老人像に対して疑問を投げかけています。そして、老いてからの性愛の必然性と、近代になって(社会から)性欲を否定された人々について論じています。
その性欲を否定された存在は老人であり、子ども、そして障がい者であると。彼らの性は、社会的に刷り込まれた観念のような規範により、タブー化されているだと説明しています。
セクシュアリティカウンセラーによる監修記事
セクシュアリティカウンセラーであり教育者でもある、メラニー・デイビス博士によると、満足のいくセックスとロマンチックな関係は明らかに60歳以降に訪れ、黄昏時を楽しみに価値があるユニークな美しさを保持していることを証明しているそうです。
年齢を重ねるにつれて私たちは、セックスと親密さに関するニーズと欲望についてより多くを学び、出会いの場を広げて行く必要こそあるかもしれません。ですが、身体のほうはもっと快適になるようです。
そこでデイビス博士に、60歳以降のセックスや愛のある生活を充実させる方法について、20の質問を投げかけてみました。
【質問1】自己紹介と、あなたの仕事について教えてください。
米国・ニュージャージー州北部を拠点に活動しているメラニー・デイビスです。博士号を持っています。
私は(性健康に関する医学的・心理学的治療に加えて、セクシュアリティに関するトピックの教育的コンサルティングやプログラムも包括的に提供している)「New Jersey Center for Sexual Wellness」という機関の共同設立者で、セクシュアリティに関するカウンセリングと教育を行っています。
職場仲間は、セックスセラピストや性医学を専門とする産婦人科医です。私は「高齢者のための生涯の性教育」というタイトルのカリキュラムも実施しています。
【質問2】教えることが好きになった経緯などを教えてください。
マーケティングのためのコピーライターとジャーナリズムの世界で25年のキャリアを積んだ後、45歳で大学へ戻り、ヒューマンセクシュアリティ教育で修士号と博士号を取得しました。
教えるつもりはなかったのですが修士号取得から4日後、学部生に教える機会が訪れました。
そのときに自分には、その才能があることに気づいたのです。他の教授と同様に採点することは大嫌いです。ですが、教えているときや専門家向けの研修で、学んでいる人々が突然何かを理解したり、素晴らしいアイデアを思いついたりする瞬間を見ることがたまらなくうれしいのです。
例えば、トランスジェンダーであることを安心して打ち明けられたのは私が初めての教授だったと言ってくれた学生や、「どうしたらパートナーにまた愛してもらえるようになるのでしょうか?」と必死に質問してきた年配の男性など、人とのつながりが生まれる貴重な瞬間でもあります。
【質問3】セクシュアリティとエイジングに興味を持たれたきっかけは?
全米性科学カンファレンスで初めて開催された「セックスと老化」というワークショップに参加しました。
プレゼンターである性教育者のペギー・ブリック氏が、このトピックに焦点を当てた団体組織を結成することに興味がある人へ向け、希望者を募ったのです。
それをきっかけとして少数の性教育者やセラピストたちが、後にペンシルベニア州にあるワイドナー大学に場を移すことになる「セクシュアリティ&エイジング・コンソーシアム」となる組織を立ち上げ、私は2010年からその共同代表を務めています。
ペギーは当初、47歳の私がセックスとエイジングを理解するには若すぎると言っていました。ですが、私は今では62歳なので、専門分野としての私は熟成されたと思っています。今では妥当な年齢ですしね。
【質問4】年齢を重ねるごとに、多くの男性が性的に不安に思うことは何でしょうか。
私が診療している男性に聞いたところでは、彼らは自分が必要とされていない、評価されていないと悩んでいるようです。
【質問5】身体的な変化として、どのようなことが予想されますか?
テストステロンレベルが下がると男性は筋肉量だけでなく、活力や熱意も失う傾向にあります。集中力の維持や睡眠も難しくなることもあります。
体重が増加すると、陰茎(いんけい)の周りは脂肪のため、小さく見えてしまうこともあります。
定期的に運動していない人は、持久力が低下する可能性もあります。勃起と射精の変化は早ければ40代半ばから始まる可能性があり、ペニスが硬くなるのに多くの時間や直接的な刺激が必要となります。そうして硬さも弱くなり、さらにセックス中に萎えてしまうことも。おすすめ記事:泌尿器科医に訊いた、自宅で可能な「ED(勃起不全)」対策と5つのヒント
【質問6】バイアグラなどのED治療薬は、誰にでも合うのでしょうか?
それに向けての対策は、必ずしも「シアリス」や「バイアグラ」ではありません。多くの場合、解決策はこの正常な変化を受け入れ、医療従事者とともに医学的な問題がないか確認した上でそのことに対処することです。
勃起が弱くなったのであれば、挿入以外の方法でパートナーを喜ばせることに集中しましょう。全く勃起しない場合であれば、パートナーにディルド(大人のおもちゃ)などを使用することを受け入れてくれるかどうか?を相談してください。
【質問7】女性の更年期障害についてはよく耳にしますが、男性の場合はホルモン的にどうなるのでしょうか?
女性の更年期障害が最長15年続くように、男性のホルモンの変化も40歳前後から始まり、時間の経過とともに起こります。
典型的な変化として筋肉量と全身の強度の低下、骨粗しょう症のリスクの増加などがあります。
また性欲が減退し、勃起力に変化が見られるようになる人もいます。さらに睡眠パターンの変化、貧血、体重増加などを経験する男性もいます。
こういったことのほとんどは正常なことですが、糖尿病、心臓病、慢性疾患の指標となる変化もあれば、処方薬の副作用の可能性もあるため、気づいた変化については医療機関に相談することをおすすめします。
【質問8】若い男性が年齢を重ねても性的に活発で健康でいるためには、前立腺がん検診など、予防的にできることはありますか?
肥満、糖尿病、心臓病から身を守るためには健康管理をし、食習慣をメンテナンスすることが効果的です。
陰茎への血流が健康であれば、勃起も健康的になります。ですが、考え方や人間関係も重要です。不幸せだったり、身体に不調があったりすると、満足のいく性生活が送れなくなる可能性もあります。おすすめ記事:「前立腺がん」に対する戦略、期待できる8つの戦術
【質問9】男性、特に年配の男性の心のニーズが十分に満たされていると感じますか?
家父長制の社会では、男性が感情的な欲求を持つことは支持されていません。「泣く姿は見せるな」、「弱みを見せるな」などなどといった意見もありますので。
これは年齢とともに変化するものではありません。ですが、退職して職業上の立場を失ったり、離婚して配偶者としての立場を失ったりすると、より多くの感情的なサポートを必要とするようになることがよくあるものです。
【質問10】60歳以降のセックスに関する最大の誤解とはどんなことでしょうか?
「そんなことはしない」「年配者は性的魅力がない」「シックスパックの腹筋や引き締まったヒップでなければセクシーではない」「女性器は乾いていて、男性器はぐったりとしている」と思っている人も少なくないでしょう。しかしながら、そうひと括りにするのは大きな誤解でもあります。
この誤解は残酷で確かなものではありません。
【質問11】人々が正しく理解している加齢に対する不安とは何でしょうか?
これは文化によって異なります。
欧米文化では、年配者は性的でないという前提がよくありますが、他の人種や文化では必ずしもそうではありません。
メディアのイメージが、高齢者を「セクシーで好ましい」として表現しなくなるのは事実と言えます。また、身体が変化することも事実であり、必ずしも歓迎すべきことではありません。ですが、それに向けてするべき配慮はあるのです。
【質問12】社会は老いを恐れていますが、60歳以降に楽しみなセックスのことや人間関係の変化も話していただけますか?
高齢者は自分が何を望んでいるかをわかっているので、そのことを伝えることを恐れない人が多いです。
自分の身体についてあまり恥ずかしがらず、パートナーの身体についても受け入れる傾向があります。
たるみ、いびきを防止する装置、サポート枕、補助器具、夜中に何度もおしっこに行くことなど、若いカップルならうんざりするようなことも、笑って済ませることができます。
また、良い年配のカップルは行為やオーガズムよりも官能的な喜びに重点を置いているので、性的な交際は長く長く続くことが可能でもありますよ!
【質問13】なぜ人は老いを恐れるのでしょう?それは、すべて死への恐怖に帰結するのでしょうか?
孤独になることや社会的に役不足となることへの不安もさることながら、必要な医療や介護、医療的介助による尊厳死の適用を拒否できる米国の恐ろしい保険制度への現実的な不安から来る恐怖だと思います。
私の母の主治医が、肺の痛みであと半年生きるよりも死を選ぶような薬を拒否したとき、母は心臓を動かすための薬を飲むのを拒否したのです。
母は5日以内に亡くなりましたが、そのときは毎日「どうして死ぬまでこんなに時間がかかるの? もう生きていたくない」、と言っていました。
彼女や彼女のような人たちには、生きることがあまりにも苦痛になったとき、死ぬ権利に関しても考えるべきかもしれません。関連記事:死生観を考える。自死用カプセルとは?
【質問14】年配の男性が大人になり、ようやく性的指向や変態行為などのセクシュアリティを受け入れたという話を聞くことはありますか?
本来、自分が生まれ持った性的指向へ変更することに、遅すぎるということはありません!
「公表する」「公表しない」に関わらず、自分自身の性的アイデンティティや興味を受け入れる時期に、年齢制限などありません。
【質問15】セックスを楽しむには勃起は必要なのでしょうか?
勃起とオーガズムを「必須条件」から外せば、マッサージ、触り合いや愛撫、オーラルセックス(勃起しなくても楽しいものです)、いつもと違ったシチュエーション、指遊び、大人のおもちゃ、性的な話、ロマンチックな感じ、変態的なプレーなどなど、新たな楽しみも開花するでしょう。
【質問16】セックスの定義を広げた方がいいのでしょうか?
私が年配者の人とよく話すのは、「目標を持たないセックスはプレッシャーがなくなる」ということです。
「性的な活動」を「官能的な活動」に置き換えてみると、いろいろな新しい可能性が見えてきます。
【質問17】60歳以降の男性がよく経験する人間関係の変化とは?
定年退職は、自己認識、経済的自由、そして夫婦が共に過ごす時間において、大きな変化をもたらす可能性もあります。
今までうまくいっていた夫婦関係も、二人で一緒にいる時間しかなくなれば、崩れてしまう可能性も生じるでしょう。
【質問18】このような変化を、夫婦でどのように乗り越えていけばいいのでしょうか?
ボランティア、趣味、人付き合いなど、各自がそれぞれ外部で興味を持つことを見つけておくと、常にぶつかったり、同じ話を何度もしたりしなくて済むので役立ちます。
私の友人はずっと専業主婦でしたが、ご主人が料理や食器洗い機の最適な使い方についてアドバイスするのを止めないため、ご主人の定年退職後65歳で仕事を始めました。
夫婦の中には休暇を別々に取り、新たな気持ちでお互いのもとへ戻ってくる人もいます。